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デザイナーと開発者の円滑な共同作業が事業機会を拡大する--Microsoft Expression |
2月2日、3日に横浜で開催された「Microsoft Developers Conference 2006」(MDC)では、マイクロソフトが年内の発売を目指して開発を進める次期クライアントOS「Windows Vista」に関するスピーチやセッションが数多く設けられた。
中でも、観衆の興味をひいたのは、Windows Vistaに合わせて新たに用意されるAPIセット「WinFX」に含まれる、「Windows Presentation Foundation」(WPF)に関連した一連のデモだ。WPFは、エンドユーザーに対して従来とは比較にならないほどにリッチなユーザーインターフェース(UI)を提供するサブシステムであり、「見ればすぐに分かる進化のポイント」ということもあって、基調講演においても繰り返しデモが行われていた。

マイクロソフトでは、このWPFの能力をフルに生かしたアプリケーションを作成するためのデザイナー向けツールとして、「Expressionファミリー」と呼ばれる3つの製品を準備している。PhotoshopやIllustrator、Flashといったプロ向けのグラフィックツールに似た操作系を持ち、ウェブサイト上で表示するためのパーツを始め、インタラクティブな要素を持ったアニメーションを駆使したアプリケーションUIなどを作成できるものである。
一部では「アドビキラー」などとも呼ばれているExpressionファミリーについて、マイクロソフト、Expression Professional Designer ToolsテクニカルプロダクトマネージャーであるArturo Toledo氏に話を聞いた。
--Expressionと呼ばれるツールで何が可能になるのか教えてください。
マイクロソフトでは、常にユーザーに対してリッチなユーザーエクスペリエンスを提供することを目指した製品開発を行っています。次期クライアントOSである「Windows Vista」には、そのためのテクノロジーとしてさまざまなものが実装されますが、中でも新たなAPIセットである「WinFX」のサブシステムである「WPF」は注目に値するものです。WPFは、これまで別々だったコンテンツとアプリケーションの開発モデルを統合するものです。WPFにより、デザイナーと開発者のコラボレーションはより加速し、ユーザーに対してリッチなインターフェースを提供できるようになります。
例えば、従来であれば、プロのデザイナーによってグラフィックとして作成されたUIは、開発者に提出された段階で、再びソースコードレベルから書き直される必要がありました。この方法では、手間がかかるのに加えて、完全にデザイナーのイメージ通りのUIは作ることができなかったのです。
WPFでは、デザイナーと開発者のよりスムーズなコラボレーションを実現するためにXAML(eXtensible Application Markup Language)と呼ばれるXMLベースのマークアップ言語を使います。デザイナーがExpressionで作ったUIをXAMLで出力して開発者に渡すと、開発者はXAMLをVisual Studioで読み込み、プロジェクトの一部として利用することができます。また、XAMLはオープンな仕様として提供されるので、他社製のツールにもXAMLの入出力機能を実装することが可能です。
--Expressionには3つの製品があるそうですが、それぞれの役割について教えてください。
「Expression Graphic Designer」は、ビットマップとベクトルデータの両方を扱えるグラフィック作成ツールです。作成したグラフィックは、標準的な画像フォーマットのほか、XAMLとしても出力することができます。
「Expression Interactive Designer」は、WPFベースのWindowsアプリケーションやウェブ向けアプリケーションのリッチなUIを作成するためのツールです。3Dオブジェクトやビデオ、オーディオ、アニメーションなどのさまざまな要素をInteractive Designer上で統合できます。必要があれば、内容をXAMLでエクスポートし、開発者がそれをVisual Studioに取り込んで、より深いコーディングを行うことも可能になります。
「Expressin Web Designer」は、標準に準拠したサイト作成が行えるウェブデザインツールです。CSSやXHTMLといった標準のサポートに加えて、ASP.NETのパワーをフルに活用できるようにデザインされています。
また、開発者向けには、コードネームで「Cider」と呼ばれる技術を提供します。これは、WPFに基づいたアプリケーションのビジュアル開発を可能にするものです。DesignerファミリーとCiderとの連携によって、開発者側で作ったUIのモックアップをデザイナーがExpressionでリファインするといったコラボレーションも可能になります。Ciderは、次期バージョンのVisual Studioに取り込まれる予定です。
--Expressionによって、デザイナーと開発者の境界が曖昧になるということでしょうか。
いいえ。むしろ役割をしっかりと分けることが必要だと考えます。Expressionを3つの個別のツールとして提供する理由もそこにあります。リッチなUIを作るデザイナーと、コーディングを行う開発者の役割をしっかりと分けた上で、ワークフローをスムーズにつなぐことが重要なのです。XAMLによるデータの統合は、そのために不可欠だったと言えるでしょう。
--現在、グラフィックやウェブを作成するデザイナーには、アドビシステムズ(マクロメディア)のツールやテクノロジーが強く支持されています。それらに対するExpressionファミリーの優位点はどこにありますか。
ここでは、ウェブサイトを作るツールとグラフィックツールとを分けて考える必要があるでしょう。
例えばDreamweaverは、ウェブサイトを作るためのツールとして市場に導入されてから長い期間がたち、さまざまなことができる製品になっています。ただ、我々がWeb Designerの開発において注力しているのは、デザイナーが標準にのっとった形での成果物を作れるようにするという点です。もちろんそれは、マイクロソフトの技術に依存するものではありません。Web DesignerでのCSSの扱いは、Dreamweaverと比べても、はるかに信頼性が高いものです。これにより、ウェブデザイナーはクリーンなコードを生成することができ、そのコードを託された開発者は信頼できるコードを元に、より高度な開発に取り組めます。企業、法人サイトの開発にWeb Designerを使っていただければ、それは事業機会の拡大につながります。なぜならば、多くの開発者は既にマイクロソフトのツールを使っており、デザイナーと開発者がスマートに連携できるようになるからです。
Photoshopは、多くのデザイナーが伝統的に使っているツールで、写真の扱いについては非常に優れています。ですので、今後も写真に関する作業にはPhotoshopが使われていくでしょう。同様にIllustratorも良いツールですが、こちらはベクトルデータを扱うもので、印刷媒体向けの機能にフォーカスしています。また、Fireworksではベクトルとビットマップを同時に扱えますが、ウェブ上のグラフィックに特化したツールです。これらを合わせて考えると、ビットマップとベクトルデータの双方の扱いに優れたGraphic Designerと、安定した連携が行えるWeb Designerの組み合わせには大きなメリットがあると言えるでしょう。
--アプリケーションにリッチなUIを提供するという点では、Flashなども競合とはなりませんか。
Flashは、基本的にウェブ上でのコンテンツプラットフォームだと思います。それに対して、WinFXやWPFはソフトウェアのプラットフォームです。WinFXのほうが、より幅広い領域をカバーしており、機能も多岐にわたっているため、FlashとWinFXの単純な比較は困難です。WPF上でアプリケーションを作成する利点は、Windows Vistaやウェブで提供される最新APIのコアを呼び出して使えるという点です。そして、Windowsデスクトップにおいて、非常にリッチなユーザーエクスペリエンスを提供できることがWPFをベースに作られたアプリケーションの利点です。
--Expressionファミリーの現在の開発状況を教えてください。
Graphic Designer、Interactive Designerについては、英語版の開発者プレビュー版(CTP版)がリリースされており、Web DesignerのCTP版も近日中にリリース予定です。日本語版も提供する計画があります。いずれも正式な発売時期は決まっていませんが、3月にラスベガスで開催される「Microsoft MIX」というイベントでは、マイクロソフトのWeb全般についてのテクノロジーと、Expressionに関連する多数のセッションが行われることになっています。
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