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「ライバル関係の壁を超え具体的な製品連携を急ぐ」--MIJSの技術部会 |
2月1日、メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム(MIJS)が開催した「MIJSカンファレンス Japan 2007」では、MIJSにおける具体的な活動報告がなされている。この報告は、MIJS参加企業のひとつであるシステムインテグレータの代表取締役で、MIJSの副理事長と技術部会長を務める梅田弘之氏が「MIJSが提唱する製品連携ソリューション」と題した講演で行った。
冒頭、梅田氏は、MIJSの目的について、「日本のトップクラスのソフトウェア製品を持つパッケージベンダーが集結し、“海外展開”と“製品連携”を目標に活動している」ことを紹介した。日本のソフトウェアは国際競争力が無いというのが、海外では一般的な評価となっている。事実、国内企業におけるパッケージソフトウェアの利用状況も、海外の有力ベンダーに押されっぱなしといえる。
ただ、要素技術では勝てなくとも、アプリケーションソフトウェアの分野、特に使い勝手やきめ細かなつくりなど、“痒い所に手が届く”部分では決して負けてはいない、という考えが日本のベンダーの基本にある。そんな自負を持つ国内ベンダーは、これまでも単独で海外進出を試みてきた。だが、その度ごとに失敗し、撤退を繰り返してきたこともまた事実だ。
「そのような企業が力を集結して、海外勢と勝負しようとしたのがMIJSだ。ただし、多くが一気呵成に海外へ進出しただけでは、インパクトはあっても成功には結びつかない。そのため、MIJSコンソーシアム参加の条件は、日本でトップクラスの製品を持つベンダーであることを厳しく線引きし、各製品が連携して、より良いソリューションを提供することが重要と考えた」と梅田氏は語る。
2006年の8月7日に立ち上げ後、あまり表立っての活動は控えてきたMIJSだが、内部では活発にディスカッションを繰り返してきた。中でも、製品連携を担当する技術部会が発足し、各社の技術窓口が手弁当で互いのノウハウを提供しつつ、具体的な連携のための下地作りを検討していったという。
従来型のアプリケーション連携では、AベンダーとBベンダーの製品同士を個別に連携する、ピア・トゥ・ピア(P2P)型が主体となっていた。そのため、MIJSの参加企業間ではP2P連携は既に進んでおり、連携の仕組みを持っているパッケージも多かった。コンソーシアムになってからは、それが一層活性化し、当初梅田氏たちも予想していなかった効果が出始めている。
だが、MIJSではさらに効率よく、体系的な連携をとるべきとの認識により、今後は「トランザクション連携」「マスタの共通規格化」「横断的機能の共通インフラ化」といった3つのテーマを柱に活動をシフトさせる考えだ。
「これまでも鳴り物入りで多くのコンソーシアムが立ち上げられてきたが、成果もなく終息したものも少なくない。その原因は、仲良しクラブで満足し、具体的なアウトプットが何も無く、連携が絵に描いた餅になって終わってしまったことにある。その点、われわれは仲良しクラブではない、とキッパリ明言しているように、具体的なアウトプットを必須条件に据えている」(梅田氏)
では、具体的な連携とは何か。同氏は、トランザクションとマスタを分けて捉えることとに始まるという。従来のように、SFAと販売管理、生産管理などの製品がP2Pで個別に連携していくと、製品の数だけ連携のパターンが生まれてしまう。ひとつ目に掲げたテーマ、「トランザクション連携」では、連携エンジンとなるEAI(Enterprise Application Integration)を中心に、製品間のデータ連携のための標準アダプタを作成して、効率的な連携を実現させる。
このエンジンには、アプレッソの「DataSpider」を活用する。製品ごとにアダプタがひとつあれば、共通バスに差し込むだけで、他の製品とのデータ連携がいくつも可能になる。
一方、連携にはデータ連携の他に、プロセス連携というアプローチも存在する。データ連携では、データのサイズや型の違いをアダプタが吸収するが、プロセス連携では、与信管理や見積もりとの齟齬、承認確認などさまざまな基幹業務処理が存在し、それらをいくつものパッケージ間で流す仕組みが必要となる。そのため、MIJS技術部会では、BPEL(Business Process Execution Language for Web Services)によりプロセス連携する方法を採用した。
ここで梅田氏は、データ連携とBPELを利用したプロセス連携のデモを披露し、受注した情報がSFAから販売/生産管理、帳票出力まで、複数のパッケージ間でシームレスに流れる様子を公開した。
トランザクション連携の次に同氏が解説したのが、2つ目のテーマである「マスタの共通規格化」によるマスタ連携だ。マスタの規格化と、共通/個別マスタ連携のためのインターフェースを作成することで、各製品のマスタデータを自動トラッキングする。例えば、会計システムで社員の退職を入力すると、共通マスタ経由で各製品の社員マスタにもリアルタイムに反映されるようになる。
「一般にマスタ登録は、担当SEの意向に左右されてきたため、規格化されず製品ごとにバラバラで、その整合性が企業の大きな悩みだった。MIJSでは、新規製品では共通規格を採用して一元管理し、既存製品では部門マスタアダプタと社員マスタアダプタを用意することで、固有のマスタも他の製品と連携させるようにする」(梅田氏)
マスタの共通企画化が実現すれば、MIJSでの取り組みが日本で初めてのケースになる。
今後、大きく普及すると考えられているSaaSでは、シングルサインオンや共通サイト構築などの仕組みが必要となるが、MIJSでもSaaSモデルでの提供も視野に入れ、専用ポータルの準備をしている。
「SaaSを提供するには、このような製品連携は不可欠な要素だ。単にパッケージが陳列されているだけでは、利用の際に個別ログインの必要やマスタの入れ直しなど、利便性に問題が生じる。連携があるからこそ、SaaSでの利用価値があるといえる」と梅田氏が述べるように、今後新しいパッケージが参入しても、アダプタさえ用意すれば、SaaSでのサービス提供が可能になる。
また、MIJSの技術部会が議論を進める中で、依然として顧客の立場で不都合が生じると考えられたのが、各製品内の存在する独自インフラの問題だった。それが3つ目に掲げた、「横断的機能の共通インフラ化」というテーマだ。
会計や販売、生産、人事/給与製品などは、その基本機能のほかに一般的なインフラ機能(帳票、ジョブ、ID管理、ワークフローなど)を抱えている。であるならば、それらの機能をアプリケーションから独立させて共通モジュール化し、機能インフラとして共用すれば、各社のアプリケーションを組み合わせて、ひとつのユーザーインターフェースで利用できるようになるのではないか、というのが彼らの考えだ。
次に梅田氏は、MIJSの技術部会におけるロードマップを明らかにした。これまで示した3つのテーマごとにワーキングチームが活動する中、各テーマの基本方針は今年1月ほぼで終了し、2月からは個別の設計/開発フェーズへと移行している段階だ。そして、テストおよび第一段階のサービスリリース目標を、今年の8月に予定している。
「コンソーシアムが成功するためには、ある程度のノウハウの提示が大切な条件」と語る梅田氏。特にマスタなど、パッケージベンダーにとっては重要なノウハウを開示することには、当初、各社でかなりの抵抗感があった。
「しかし、そんな都合を言い合っては、海外展開などは永遠に不可能になってしまう。その点、参加各社すぐに理解を示し、オープンな関係でディスカッションを進められている」(梅田氏)
最後に梅田氏は、「個性的な企業が参加するコンソーシアムのため、MIJSの行く先を危ぶむ声も聞かれる。しかし、誰かが実行に移さない限り、日本のIT業界の地位は変わらない。それを待つのではなく、自分たちが立ち上がるのだという覚悟で参集したのがMIJSだ。この取り組みをぜひ皆さんにも応援していただきたい」と語り、講演を終了した。
「日本のIT業界の地位を変える覚悟で参集したのがMIJS。この取り組みをぜひ応援していただきたい」と語る梅田氏。
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