掲載日時: 2007-02-20 08:00

噂は信じるな!Windows Vista10の誤解

Windows Vistaが個人ユーザー向けにも販売されるようになった。話題の大きさゆえか、不正確な情報も多く流れているようだ。今回は、著者が耳にした例をもとに、Vistaに関する10の誤解を解決する。

著者 : 文:Deb Shinder 翻訳校正:吉井美有

URL : https://japan.zdnet.com/article/20343405/

 個人向け販売が公式に開始されたことで、Windows Vistaが皆の話題に上っている。しかし、残念なことにWindowsのファンからも「Microsoft以外であれば何でもいい」派の人々からも、話半分にしか聞けないようなことを多く耳にしている。多くの場合、センセーショナルにとり上げられているのは、語られている情報の不正確な部分である。それでは、大げさに語られている不正確な情報に一切惑わされずに、新OSがあなたのためにできることとできないことを見極めるためにはどうすればよいのだろうか?

 本稿では、Vistaに関してわたしが耳にした誇張や誤解、とんでもない間違いをとり上げている。

誤解#1:Vistaを使うには、新たにハイエンドPCを購入する必要がある

 大手メディアの多くが、Vistaを使用するためには新しいPCの購入が必要になる場合が多いと主張している。この誤解はハードウェアベンダーによって助長されていることに間違いないものの、事実ではない。わたしは既存のDell Dimensionシリーズのミッドレンジモデルに何の問題もなくVistaをインストールできたし、既存のビデオカード(ATI x600)でも「Aero Glass」(以下Glass)を利用できている。

 現在お使いのPCが旧型、あるいはローエンドのものであったとしても、Vistaをインストールし、利用することはできるかもしれない。しかし、Glassインターフェースは使えないかもしれない。Glassは多くの「すごい」要素をもたらしてくれるものの、作業上不可欠なものではない。Glassを利用できなくても、Vistaを導入することでセキュリティの向上や検索機能、新機能の恩恵を受けることができる。また、どうしてもGlassの見た目がほしい人も、新システムを購入する必要はないかもしれない。Glassに推奨されている1GバイトまでシステムにRAMを追加してGlass対応のビデオカードを新たにインストールすることもできる。

 わたしが耳にしたもう1つの誤解は、Glassに対応しているビデオカードはPCI Express(PCIe)だけであり、PCにPCIeスロットがなければVista導入はあきらめるしかないというものだ。この話も事実ではない。ビデオカードベンダーは、Glassに対応した通常のPCIカードも発売している。わたしがVistaを稼働させているシステムでは、比較的安価なGeForce 5200カード(256Mバイト)を通常のPCIスロットに差し込んで使用している。

 新たにPCを購入するという場合でも、Vistaのために何千ドルもするハイエンドマシンを購入する必要はない。Vistaが発売された数日後、小売店はVista Home Premiumのプレインストールマシンを、安い店ではLCDモニター込みで600ドルという価格で売り始めた。

誤解#2:Vistaを導入すれば、すべてのセキュリティ問題が解決される

 MicrosoftはVistaでセキュリティが強化されたと謳っているが、完全にセキュアなOSは存在しない(そして今後も存在することはない)。Vistaを導入したからといって、ファイアウォールやウイルス対策などのサードパーティ製セキュリティ製品が不要になるわけではない。

 ネットワーク技術も含め、OSの大半が再設計され、コードが新たに記述されているため、従来のOSに存在した脆弱性の多くが修正されているとはいえ、今までにはなかった脆弱性もあるはずだ。こういったことは、セキュリティに注力したどのような新しいソフトウェアでも、Microsoftが全力で取り組んだVistaであったとしても、例外なく起こるのだ。

 実際、Microsoftは1年前、Vistaの最初の重要なセキュリティアップデートを、ベータテスト中であったにもかかわらずリリースしている。最新のアップデートを常に確実に適用することは、他のOSと同様Vistaでも重要だ。ここで取り上げた誤解がもたらす危険は、Vistaでセキュリティが強化されたと聞いた初心者ユーザーが警戒を緩め、攻撃やウイルス感染を防ぐために必要な保護策を講じなくなることだ。

誤解#3:VistaはWindows XP SP2よりもセキュアというわけではない

 一方、Vistaのことを悪く言う人の中には、Vistaを導入してもセキュリティ上の利点はまったくないと主張する人もいる。わたしは、ラジオでコンピュータの「専門家」らがVistaについて「Windows XP Service Pack 2セキュリティ強化機能搭載(SP2)」よりもセキュアというわけではないと発言しているのを聞いたことがある。また、2006年夏のeWeekの記事で、Vistaは「さまざまな脆弱性の温床となることで、セキュリティレベルがこれまでのWindowsよりも劣ってしまう可能性がある」とSymantecのセキュリティ研究者たちが主張したという記事を読んだこともある。

 適切にアップデートされたWindows XPはかなりセキュアなOSだということは事実である。しかしVistaには、XPにはない新たなセキュリティ強化策がいくつも盛り込まれている。例えばVistaの「User Account Control(UAC)」は、実行権限の昇格を悪用する攻撃からPCを保護してくれる。Vista上で動作する「Internet Explorer 7(IE 7)」は、UACによって保護モードで実行されるため、ウェブアプリケーションによるシステムフォルダへの書き込みを防いでくれるのだ。これに対して、XP上で動作するIE 7は保護モードでは実行されない。

 「Windows BitLockerドライブ暗号化」はVistaのEnterpriseエディションとUltimateエディションで提供されており、この機能によって、盗難あるいは紛失したノートPC上の機密データに権限のない人間がアクセスすることを防止することができる。また、Vistaの「Windows Firewall」では、着信トラフィックだけではなく、発信トラフィックをブロックすることもできる。さらに、Windowsサービスが強固になったことで、そのサービスのいずれかが外部からの攻撃によって信頼性を失った場合に起こり得るダメージを軽減することもできる。これらの他にも、Vistaでは「Network Access Protection(NAP:ネットワークアクセス保護)」クライアントが提供されており、管理者はこれを利用することで、適切にアップデートされていないPCや、ウイルスおよびスパイウェア対策ソフトウェアやファイアウォールを備えていないPCの企業ネットワークへの接続を制限することができる。

 ここに挙げた機能は、Vistaで新たに提供されるセキュリティ強化策のごく一部に過ぎない。

誤解#4:Vistaの新しい点は見た目だけだ

 OSの第一印象は、人に会った時の第一印象のように、見た目に左右される場合が多い。そしてVistaは、強烈な第一印象を与える見た目を誇っている。Glassインターフェースによる透明なウィンドウ枠や3Dアニメーションなどの視覚効果によって、これはまったく新しいWindowsシステムだとクリア(ガラスのことではない)に印象づけるのだ。

 しかし、Vistaで新しくなった点は格好の良いインターフェースに留まらない。前述のセキュリティ強化策に加え、OSのさまざまな側面が見直され、再実装されたことで、使い勝手が向上するとともに新たな機能も提供されている。例えば:

画像の説明
図A:Windows Explorerでは、ファイルをオープンせずにプレビューすることができる

 Windows Explorerでは、必要に応じて自動的に水平方向のスクロールが行われるようになっている。また、ファイルを複数選択する場合には、従来のようにCtrlキーを押しながら選択する代わりに、チェックボックスを使用できるようになった。さらに、ユーザーエクスペリエンスをよりスムーズにするちょっとした工夫が数多くなされている。例えば、Windows Explorerでファイル名の変更を行うと、デフォルトではファイル名のみが変更され、拡張子はそのまま残る。

 こういった機能は、Glassインターフェースでなくても利用できるVistaの新機能のほんの一部でしかない。

誤解#5:Vistaでは他のOSとのデュアルブート環境を構築できない

 Vistaに関してわたしが聞いた中で最も奇妙かつ不正確な話は、「Vistaでは、従来のように1台のPC上で2つのOSを稼働させることができない」というものである。VistaとXPとのデュアルブート環境を構築したPCを2台使用しているわたしは、この話を聞いて驚いた。従来のバージョンと同じく、PCを立ち上げるとブートメニューが表示され、ユーザーはVistaかWindowsの旧バージョンのいずれかを選択することができるようになっている。

 とはいえ、ブートメニューからXPをブートできるにもかかわらず、Vistaの「システム構成ユーティリティ」の[ブート]タブには、なぜかVista OSしか表示されないということが実際に発生している。XPと同様、システム構成ユーティリティにアクセスするにはコマンドラインで「msconfigat」と入力する。図Bは同ユーティリティを示したものである。

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図B:Vistaでも他のOSとのデュアルブート環境を構築することは可能だが、システム構成ユーティリティの[ブート]タブ上には他のOSが表示されない

 なお、従来Windows NTやWindows 2000、Windows XPでブート設定情報を編集する際に用いていた「boot.ini」ファイルがなくなっていることに気づかれた方もいるだろう。Vistaでは、ブートオプションは「Boot Configuration Data(BCD)」ストアに格納され、「Windows Boot Manager」がシステムを起動するようになっている。また、ブート情報を変更するには「Bcdedit.exe」というツールを使用することになる。

誤解#6:VistaにはOffice 2007が必要だ(または、同梱されている)

 わたしは最近、権威のある全国紙で、Vistaの気に入らない点を執筆者が順に挙げている記事を読んだ。その記事では、Wordの「リボンバー」も挙げられていた。おやおや--それはVistaの機能ではなく、Office 2007の機能だ。どうも、執筆者がテストに使用したマシンにはVistaだけではなくOffice 2007もインストールされていたようである。

 また、VistaをインストールするとOffice 2007へのアップグレードが必要になると書かれた文書もいくつか見かけたことがある。もちろん、アップグレードは可能であるものの、それは決して必要条件ではない。Office 2003はVista上で問題なく動作する。この誤った情報は、Vista導入の予想コストを大げさに語る記事でよく見かけるように感じられる。つまり、Office 2007へのアップグレードの費用も算入すれば、そういったコストを高く見せかけることができるというわけだ。

 さらに、Microsoftは競合であるオープンソースのオフィス製品が実行できないようにVistaを作ったという噂もあるが、わたしの場合は逆に、「Microsoft Office」の代替ソフトウェアであるオープンソースの「OpenOffice.org」のインストール、実行において何の問題も発生しなかった(図C)。

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図C:Microsoft Officeを購入したくなければ、無償のOpenOffice.orgをVistaにインストールすることができる

誤解#7:既存のアプリケーションや周辺機器の大半は、Vistaでは動作しない

 Vistaについて広まっているFUD(Fear:恐れ、Uncertainty:不安、Doubt:疑念)で、あちこちで言われていることの中には、アップグレードによってアプリケーションにおけるあらゆる種類の互換性問題にさらされるというものがある。XP向けに開発されたプログラムの中にはVistaでは動作しないものもあり、中でもウイルス対策プログラムやシステムユーティリティのようにカーネルをフックするプログラムは動作しない可能性が高い。しかし、XPで動作するアプリケーションの大半はVistaでも動作するはずだ。

 場合によっては、既存プログラムをVistaで正しく動作させるために「互換性」モード(互換性のオプションを選択するためには、プログラムファイルを右クリックし、[プロパティ]を選択し、[互換性]タブをクリックする)でインストールや実行を行う、そして/または管理者として実行する必要があるかもしれない。

 互換性の問題のほとんどは、ユーザーが自分で解決策を探る必要のないものだ。Vistaに搭載されている「プログラム互換性アシスタント(PCA)」は、プログラムを実行するために設定変更が必要になるかどうかを診断したり、プログラムの正常な動作を妨げている可能性のあるUACとの競合を解決したりしてくれる。PCAは、互換性の問題を抱える既存のプログラムを検知するとこうした問題を自動的に解決してくれる。また、「コントロールパネル」の「プログラムと機能」セクション(初期設定の場合)から手動で実行できるツール「プログラム互換性ウィザード」を使用することもできる。

 また、Vistaでは動作しない周辺機器、特にプリンタやスキャナについての報告も数多くなされている。Vistaのベータテスト期間中にVista用のドライバをなかなか提供しなかったハードウェアベンダーもたしかにある。しかし、Vistaの個人向け発売開始時点では、多くのハードウェアドライバがインストール用DVDに収録されていたし、今後数カ月の間にもさらに多くのドライバが提供されるはずだ。

 わたしの持っているHP OfficeJet g55はVistaでも問題なく動作しているし、Vistaがサポートしているプリンタの一覧を調べてもらえば(「コントロールパネル」の「プリンタ」にある「プリンタの追加ウィザード」)、VistaがHPやIBM、Brother、Canon、Citizen、Dell、Epson、Fujitsu、Konica、Kyocera Mita、Lexmark、Minolta、NEC、Oki、Panasonic、Ricoh、Samsung、Sharp、Sony、Xeroxといった大手プリンタベンダーのさまざまな製品をサポートしていることがわかるだろう。

誤解#8:デュアルコアマシンに搭載するVistaはPremiumバージョンでなければならない

 VistaのHomeエディションがサポートするのはシングルプロセッサのみだという仕様に関して、当初はちょっとした混乱があった。この仕様を、Homeエディションはデュアルコアマシン上では稼働しないという意味にとった人々もいたからである。

 デュアルコアCPUには2個のプロセッサが搭載されてはいるが、その2個のプロセッサは1個のチップ、すなわちダイ上で結合されている。これはチップレベルのマルチプロセッシングと呼ばれるものであり、物理的に2個、すなわち別々のプロセッサを1台のマシンに搭載することとは異なっている。デュアルコアマシンの動作状況は、Windowsのパフォーマンス監視ツールでは2個のプロセッサのものとして別々に表示される(図Dでは、プロセッサごとの動作状況が別々のグラフとして表示されている)ものの、Microsoftによる「プロセッサ」の定義では、コアの数ではなく、物理的なCPUの数が用いられている(このポリシーは「マルチコアプロセッサのライセンス」で説明されている。関連する日本語情報としてはこちらを参照されたい)。

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図D:デュアルコアマシンの動作状況は、パフォーマンス監視ツールでは2個のプロセッサのものとして別々に表示される

 実際、Vistaのすべてのエディションはマルチプロセッサ搭載マシンで動作する--ただし、Home BasicエディションとHome Premiumエディションでは1個のプロセッサのみが認識され、使用されることになる。

誤解#9:Vistaではリッピングした楽曲を再生することができない

 Vistaのデジタル著作権管理(DRM)に関する恐ろしい噂話を聞いたことがあるだろうか?Vistaでは、オンラインでダウンロードと支払いを行った楽曲/映画ファイルしか再生することができないとほのめかす人々もいた。また、購入したメディアでさえ再生できないかもしれないと考えている人々もいた。

 興味深いことに、こういった話を広めている人々は皆、いまだにVistaを使ったことがない(そして彼らの多くは自ら、今後もVistaを使うことはないだろうと述べている)ようにみえる。本当のところは--わたしは何の問題もなく、CDからリッピングした楽曲をWindows Media Player 10やVistaのWindows Media Centerアプリケーションで再生している。実際のところ、わたしは合法的にCDを所有しているとはいえ、Vistaがそれを知ることは不可能だ。また、XPのWindows Media Centerからインポートしたメディアも、録画したテレビ番組を含め、問題なく再生できている。

 Vistaにおけるコンテンツ保護についてのより詳しい議論については、CreateDigitalMusic.comの記事を参考にしてほしい。

誤解#10:Vistaの価格はXPよりも格段に高い

 Vistaの各エディションの価格が発表になって以来、わたしはその価格の高さについて不平不満の声をたくさん耳にしている。Windows XPでは、小売店で販売されるバージョンは2つしかなかった。つまり、199ドル(アップグレード版は99ドル)のHome Editionと、299ドル(アップグレード版は199ドル)のProfessional Editionである。

 VistaではXPよりも多くの選択肢が用意されている。

 皆がUltimateの価格に着目しているが、XPの2つのエディションと直接比較できるエディション(Home BasicとBusiness)に目を向ければ、それらのエディションの価格は、5年前のXPのものと同じであるとわかるはずだ。

 Home PremiumにはGlassインターフェースや、「WindowsムービーメーカーHD」「Windowsミーティングスペース」「Windowsモビリティセンター」といったアプリケーションやスケジュールバックアップ機能も標準で同梱されているのに加え、「Windows Media Center」や「Windows Tablet」テクノロジも搭載されている。

 Ultimateには「BitLockerドライブ暗号化」や「リモートデスクトップ」、「Windows Complete PCバックアップと復元」といったビジネス向けの機能に加え、Windows Media CenterやWindows Tabletテクノロジも標準で装備されている。事実、UltimateにはHome Premiumのホームエンタテインメント機能すべてに加え、BusinessおよびEnterpriseの企業向け機能すべてが含まれている。そしてUltimateへのアップグレードコストは、XP Professionalへのそれと比較すると、より多くの機能が提供されているにもかかわらず59ドル高いだけなのだ。

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