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「オープンソースよりオープンスタンダード」ミックス型で選択の幅を広げるのがベンダーの役割--富士通 |
日本のコンピュータ市場を創った富士通は、メインフレームのコア技術をオープンなプラットフォームに取り込んだ基幹IAサーバ「PRIMEQUEST」を提供するなど、OSSに対しても先進的な取り組みを進めている。
富士通はサーバ、ストレージ、ミドルウェア、ネットワークをインテグレーションしたIT基盤「TRIOLE(トリオーレ)」を掲げ、メインフレームからUNIX、Windows、 LinuxまでのOSに対応した数多くのサーバを提供している。
そのTRIOLEに基づき、基幹Linuxのサーバプラットフォームとして「PRIMEQUEST」を提供。Itanium2、Red Hat Enterprise Linuxという組み合わせで、ハイエンド市場に照準を合わせた。
常務理事でソフトウェア事業本部エグゼクティブアーキテクトの石田安志氏は語る。
「可変要素というか、パラメーターが増えるほど不安定要素は増えるわけです。従来のメインフレームでは自らこのパラメーターを減らすことはできても、オープンの世界ではなかなかそうはいきません。さらにミッションクリティカルということになると、切り口が多くなりより複雑になります。それがメインフレームとオープンの違いであり、そこで求められているのはエンジニアリング力です」
オープンソースの世界でも、エンジニア力により、こうした不安定要素を極力少なくするというのが富士通の基本的な考え方である。
その富士通がLinuxへの取り組みを開始したのは、1990年代後半。PCサーバ(現在のブランドは「PRIMERGY」)でのLinuxのサポートを日本でいち早く開始。2000年1月にはOSSを含むグローバルなシステムサポート体制として「Fujitsu Linux Center」を設立している。その後、2000年9月にはソフトウェア事業本部にLinux統括部を作った(現在はサーバシステム事業本部Linuxソフトウェア開発統括部に移管)。
こうした取り組みを踏まえて、2002年10月にLinux事業戦略を発表。さらに2005年11月にOSS技術支援センターを設立、「MySQL」や「PostgreSQL」などのデータベース管理システム、「Tomcat」「JBoss」「PHP」などのアプリケーションサーバまで含めたサポート体制をグループ全体で作っている。
こうした同社の取り組みの背景について石田氏は、「OSSそのものをどう捉え、どのようにビジネスとしていくかという形がさまざまあります。表面上は同じことをいっているようですが、本音のところはいろいろ違うようです」と話す。
OSSビジネスの形は、プロダクトとサービスをミックスしたソフトウェアのビジネス形態のひとつだ。
「プロダクトを販売すればそれでビジネスになるというものではありません。プロダクトにまつわるサービスを提供する、またはプロダクトを足がかりにしてサービスの収入を上げるということだと思います。オープンソースのビジネス形態はいろいろ考えられていますが、ひとつの例として、プロダクト側で収入を得ず、すべてサービスでビジネスをするということがいわれています。しかし、ソフトウェアビジネスというものは、プロダクトとサービスをどうミックスしてやっていくかという方向に行っているのです」
サービスというものは、顧客に何かを保証することだというのが石田氏の考えだ。
「OSSがすでにあり、それにサービスを加えて提供するというのと、1からプロダクトを作って、それをサービスとして提供するのではだいぶ違います。それをどうミックスするのかは、ソフトウェアビジネスそのものだと思います。ただ、OSSのようにソースをオープンにするかたちでビジネスをするのと、ソースはオープンにはしないが、インターフェースや品質を保証するビジネスとは、それほど変わらない面もあります。つまり、オープンソースと商用、またはアカデミアの世界とビジネスの世界というような対比で語るものでもなくなってきていると思っています」
ここで石田氏が強調したのはOSSというより、オープンスタンダードという考え方だ。
「お客様の要求はオープンソースなのか、オープンスタンダードなのかということが世の中でいわれますが、われわれも一番の基本はお客様の財産を守るという意味からいって、オープンスタンダードだと思っています。そしてその中にオープンソースという形もあるのだろうと思っているのです」
そのオープンスタンダードの形態もいくつかある。たとえば、国際的な組織を作って各ベンダーが集まり、相互運用性などを保証する仕様書を策定するというもの。その仕様書に基づいて各ベンダーがプロダクトを開発すれば、その相互互換性は保たれる。
同時に、業界の中で自然とできあがってくるスタンダードというものがある。いくら業界のベンダーが集まって協議しても、市場が自然発生的に決めた標準にはかなわないというケースはある。いわゆるディファクトスタンダードだ。
「オープンスタンダードといっても、この両方があるのです。このように業界の中、マーケットの中の思いが集まって作られていくスタンダード、成長していくスタンダードと、お客様の求めるものを考えれば、それも取り込んでいかなければなりません」
石田氏はこのように、どこかの標準化団体が決めたものを単にインプリメントすれば顧客にニーズに合致したものとはいえないと考えている。
「仕様に基づいてそれぞれのベンダーが異なるものを作っていくものと、また自然発生的に生まれてくるものはどのように自社のプロダクトに入れようかということがあるわけです。さらにお客様から“あれを使いたい”という要求が寄せられてときに、こちらのほうから“そうではなくて、これがいい”と一方的に押しつけるようなことも適当ではありません。OSSという大きな流れに対しても、われわれはこういうさまざまな選択できる形でお客様に提供しなければならないと考えているのです」
富士通は、各プロダクトのクオリティやパフォーマンスなどを考慮したアプリケーションサーバとして「Interstage」を提供している。これは富士通のプロダクトも、OSSのプロダクトも合わせて使える共通基盤であり、OSSに対しての富士通のひとつの回答と見ることができる。
「オープンのものと自分たちが作ったものを選択し組み合わせて使えるようにする、ミックスするというやり方があります。いろいろな人がアプリケーションを作っていくための土台作りとしてはこうしたものの方が良いだろうとの判断で、ミックス型でやっているわけです。これは、他社はあまりやられていないものだと思いますが、私はそれがOSSという考え方に対するひとつの回答だと思っています」
自社ですべてを担うという形でやればもちろんシステム全体の整合性も取れる。しかし一方にはOSSという大きな流れがあり、オープンなフィールドからさまざまな製品が提供されるようになってきている。こうしたプロダクトとの整合性を取るのはかなり大変な作業ではある。しかしお客様がそうしたものを求めているとすれば、それに答えるのがベンダーの役割というスタンスだ。
「どこかで育ってきたものも積極的に取り入れるということが必要だと考えていて、こうした取り組みを他社に先駆けて積極的に進めています。それが富士通の特徴ということです。その意味で、Linuxはアズイズ(As Is:現状)でやろうなどと思ってはなく、一歩踏み込み、コミュニティと協調してやっています。従来の手法とは合わない部分がありますが、ハードウェアとの整合性などかなりなレベルには達していると思っています。ミッションクリティカルに対しても、一般的にいわれているレベル以上にできてきていると思っています」
現在、富士通の中ではメインフレームやフォールトトレラント、またスーパーコンピュータなどを手がけていたエンジニアもこのOSSの世界に入ってきている。かつてのメインフレーマーが総力を挙げてOSSに取り組んでいることは間違いない。
富士通の常務理事でソフトウェア事業本部エグゼクティブアーキテクトである石田安志氏。
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