掲載日時: 2007-06-07 21:21

PostgreSQLは充分成熟--今後必要なのは周辺ツール

5日、日本PostgreSQLユーザ会主催の「PostgreSQLカンファレンス2007」が、秋葉原UDXにおいて開催された。今年は3トラック、計10講演と規模も拡大し、導入企業の事例から技術的な話題まで、非常にバラエティ豊かなイベントとなった。本稿ではその中から、「PostgreSQLの明日はどっちだ?!〜現状と課題と期待〜」と題するパネルディスカッションの模様をレポートしたい。

著者 : 鶴田展之(qnote)

URL : https://japan.zdnet.com/article/20350427/

 5日、日本PostgreSQLユーザ会主催の「PostgreSQLカンファレンス2007」が、秋葉原UDXにおいて開催された。今年は3トラック、計10講演と規模も拡大し、導入企業の事例から技術的な話題まで、非常にバラエティ豊かなイベントとなった。本稿ではその中から、「PostgreSQLの明日はどっちだ?!〜現状と課題と期待〜」と題するパネルディスカッションの模様をレポートしたい。

 パネラーには、日本PostgreSQLユーザ会会長の片岡裕生氏、SRAOSS, Inc.取締役日本支社長の石井達男氏ら、これまでPostgreSQLコミュニティを牽引してきた重鎮に加え、スターロジックCEOの羽生章洋氏、ミュートスCTOの宗近龍一郎氏、さらにPostgreSQL開発コアメンバーJosh Berkus氏も名を連ねるといった豪華な面々。PostgreSQLの最新動向を知る最高の機会とあって、会場には多数のユーザがつめかけた。

 さて、今回のテーマは「現在のPostgreSQLに不足していること」、「今後PostgreSQLに求めること」が中心だった。しかし、PostgreSQLがバージョン8.0以降、機能面・性能面ともに急速な進化を遂げたことを反映してか、ディスカッションも終始和やか、現状に対する大きな不満は殆ど提出されなかった。

 PostgreSQLは、以前から「商用データベースに遜色ない」データベースシステムとして高く評価されてきたが、やはりそこには「オープンソースでありながら」とか、「フリーソフトウェアにも関わらず」といった但し書きが付けられるのが常であった。しかし、十分豊富な機能を持ち、なおかつバージョンアップ毎に性能面の改善が達成されている現状では、もはやこれらの但し書きも不要なほど、PostgreSQLは成熟したと言えるだろう。

 PostgreSQL自体に対する不満が出ない分、周辺の改善に関しては各パネラーや参加者からいくつかの意見が出された。宗近氏は、高可用性を求められる分野への適用には必須となるレプリケーション技術に関して、「例えばSlony-IがPostgreSQL本体に取り込まれると便利」と語る。PostgreSQLにもPGCluster、Slony-I、pgpoolといった優れたレプリケーションのツールがあるが、本体から独立している分、MySQLのレプリケーション機能のような手軽さが無いのは事実だろう。

 また、羽生氏からは、PostgreSQLに対応したERDツールの不足が指摘された。氏の「テーブルの継承など、PostgreSQLのオブジェクト指向機能を全開で扱えるような設計・データモデリングツールを作ってもらいたい」という意見には、Josh Berkus氏も大きな関心を持ったようだった。

 石井氏は、今後の課題として特にEU圏を中心とした国際化の改善と、DTraceのような管理ツールへの対応強化、定量的な判断に基づくチューニングに向けた機能強化を挙げる。ソフトウェアのコモディティ化が進むことを睨み、PostgreSQLもよりユーザフレンドリーなシステムとして進化していく必要がある、と考えているようだ。

 また、ディスカッションではPostgreSQLに関わるビジネス上の問題についても、様々な意見が交換された。現在、PostgreSQLのシェアはワールドワイドで拡大しつつあるようだが、日本国内での割合に比べると、やはり海外ではMySQLの方が多くのユーザを獲得している事実がある。これは、羽生氏や宗近氏が指摘するように、LAMPアプリケーションの構成要素としてMySQLが採用されてきたことが大きいだろう。こと、Movable TypeやWordPressのようなブログツールの人気が、MySQLのインストールベースを伸ばす大きな要因になっているのは間違いない。つまり、PostgreSQLの普及を進める上で、対応アプリケーションを増やすことが重要なのは、ほぼ自明なことと言えるだろう。

 ただ、興味深かったのは、参加者やパネラーの間には「なんとしてもシェア拡大が必要」という危機感が全く見られなかったことだ。普及が進んだ場合のエンジニア不足や、技術者認定制度「PostgreSQL CE」の社会的認知など、参加者からも様々な問題点の指摘があったが、会場全体に流れる空気は「PostgreSQLのユーザであることへの自信」に満ちており、数年前のような「MySQLの後塵を」的な焦りは微塵も感じられなかった。そういった意味では、今回のパネルディスカッションは、PostgreSQL自体の成熟に加えてコミュニティの成熟も感じられ、今後の発展にさらに大きな期待がもてる内容であった。

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