掲載日時: 2007-08-06 20:49

“裏方”として意見交換・議論の場を提供する--日本MySQLユーザ会

「LAMP」という言葉が示すように、すでに情報システムで欠かすことができなくなっているOSSのRDBMS、MySQL。日本で普及拡大の一翼を担っているのが日本MySQLユーザ会だ。同会の活動は、ユーザー間の意見交換・議論の場として続いている。

著者 : 田中好伸(編集部)

URL : https://japan.zdnet.com/article/20354230/

 オープンソースソフトウェア(OSS)でシステムを構築する際に、必ずと言っていいほど出てくる選択肢が「LAMP」といわれるスタックだ。これはOSにLinux、ウェブサーバはApache、データベース(DB)がMySQL、スクリプト言語としてPerlやPHP、もしくはPythonを利用するというものである。LAMPという言葉が示す通りに、MySQLはOSSのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)としては世界的に最も有名である。

 その高速性や堅牢性から、Yahoo!のような巨大なウェブサイトを支えていることからも、MySQLがいかに信頼されているRDBMSであるかが分かるだろう。最近では、OSSのコンテンツ管理システム(CMS)である「XOOPS」や、やはり同じくOSSのブログソフト「WordPress」ににも必須のソフトとなっている。

もともとはML

 スウェーデンのMySQL ABという単一の企業に保持されているMySQLだが、日本での普及促進の一翼を担ったのが、ユーザー団体の「日本MySQLユーザ会」(MySQL Nippon Association:MyNA)であることは間違いないだろう。そのMyNAの活動はもともと、1998年からメーリングリスト(ML)による意見交換という形態から始まっている。MyNAの特徴について、副代表を務める堤井泰志氏はこう語る。

 「MyNAはカチッとしたものがない、本当にOSS的な、草の根的な活動をずっと続けています。ユーザー団体を立ち上げたのも、MLでの話し合いから『そろそろユーザー団体をやる?』といったことから始まったようなもの。同じOSSのDBのユーザー団体である“日本PostgreSQLユーザ会(JPUG)”よりも緩い集まりだと思います」

書店で専用コーナーができるほどに

 MyNAの源泉は、1998年1月にMySQLのMLがスタートしたことから始まる。同じ年の11月に関連文書の翻訳プロジェクトが始まっている。これは「英語の情報しかなかったために、MLに参加する個人の有志から翻訳することになった」(堤井氏)。それから2000年にMyNAとしてウェブを公開している。ちなみに堤井氏によれば、その2000年前後でMySQLに関連した日本語の書籍は1〜2冊しかなかったそうである。

 バージョンアップを重ねMySQLは機能を追加・改善することで、またMyNAの草の根的な活動が続いてきたおかげで、MySQLに関連した書籍も現在では「書店で専用のコーナーができるほどに増えてきていて、私らでは追い切れないほどになっている」(同氏)。そうした状況を反映してか、MyNAの現在のML参加者は「4000〜5000人ほど」(同氏)になっているという。

 関連書籍やML参加者の増加でも分かるように、MySQLに対する注目度が以前に比べて高まってきていることは間違いない。その注目度は、同じくOSSのDBの雄であるPostgreSQLを抜いている。

 「3〜4年前ぐらいから、注目度は逆転していると思っています。というのは、Googleでのヒット件数では、PostgreSQLよりもMySQLの方が圧倒的に多い。日本だと2倍の開き、世界全体では10倍の開きとなっています」(同氏)

MLでのトラブルはこれまでに数件

 注目度が高まるとともに、MySQLの普及の度合いも高まっている。そんな中で、MyNAのMLの中身は変容してきている。現在では、交わされる質問や意見の内容が、中級者を対象としたものになっているのである。

 「5年前だと、たとえば『コンパイルできません』といった質問が多かった。だが、現在ではMySQLはビルドされていて、すでに立ち上がった状態になったうえで、『こういうシステムを作りたいんですが、どういうテーブル構成がふさわしいですか』といった具合の質問がほとんどですね」(同氏)

 そうした質問に対しても、MyNAの場合未解決のまま、放置されることは少ないという。この種のMLでは珍しいことだろう。また、システム開発関連のMLでは、議論がヒートアップしてか、もめ事や罵り合いといったトラブルにつながることはそう珍しいことではないが、MyNAでは、そうしたトラブルもほとんど起こらず、「この9年間で3件程度」(同氏)だという。

裏方としてのMyNA

 「悪い言葉で言えば『議論が活性化していない』とも言えるかもしれないが、よく言えば『私たちのML参加者はとても紳士的』と言える。私にとって今のMyNA MLの状態は、ある意味理想的だと思っています」(同氏)

 そうしたMyNAの活動は、MySQLの普及拡大について表舞台に立って主導的に進めるというよりも「裏方としての役割になっている」(同氏)。MySQLの普及拡大で「主導的な役割を果たすのは、MySQL ABの日本法人であるMySQL株式会社」(同氏)だからだ。MyNAは“裏方”として、意見交換や議論の場であるMLを展開して、その蓄積としてMLのアーカイブをウェブで公開しているのである。

堤井泰志氏 「MyNA MLの状態はある意味理想的」と語る堤井泰志氏

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