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MIJS企業訪問(第5回)エイジア--MIJSに期待するソフト連携と海外進出 |
エイジア(AZIA)という社名にはAsiaの文字が隠れている。かつて日本を代表する音響機器メーカーで経験を積んだ社長には、ソフトを日本のモノづくりの智恵で“改善”し、それをアジアを含めた世界へ発信するという意気込みがあるようだ。
エイジアの代表取締役、えとう あきら氏はかつて、日本を代表する音響機器メーカーに在籍していた(ちなみに、同氏の名前のひらがな表記は、このメーカー時代から音楽関係者になじみやすいということで使っている)。
そのメーカー時代にインターネットに出会い、一転してIT業界に足を踏み入れる。メーカーから独立、エイジアを立ち上げたのは1995年だ。当初の事業の柱は、ホームページ制作だった。
「紙のカタログからホームページへのリプレース市場を見込んで会社を立ち上げたのです。しかし当時から、志としてはメーカーになりたいと思っていました。インターネットの世界でも、いずれモノづくり、つまりアプリケーション開発の時代が来るのではと考えていたわけです」(えとう氏)
当時は、インターネットでのビジネスはホームページ制作に限られていた。しかしその後、ECサイトやコミュニケーションサイトへの移行機能などが加わり、同社の事業もホームページ制作からシステムの受託開発へと拡大する。
そして、1998年にJavaサーブレットが登場すると、えとう氏は「これを使って何かできないか」と考え、自社商品としてCRMソリューション「WEB CAS」の開発に取り組んだ。最初の製品はメール配信システムの「WEB CAS e-mail」で、2001年に発売している。
「今は、パッケージとして販売していますが、将来はそれを当社の受託開発の部門がソリューションとして提供する形を考えています。そのため、今はアプリケーションのビジネスをさらに大きくしたいと考えているわけです。それを自社の他の製品と連携し、さらには他社の製品とも連携し、そのシナジーを発揮したいと思っています」とえとう氏。
現在、WEB CASシリーズはデータアクセスツール「WEB CAS connector」、オペレータ権限設定ツール「同 manager」、Webアンケートシステム「同 formulator」、携帯メール配信エンジン「同 mobile express」、メール共有管理システム「同mail center」へと広がりを見せ、同社の売上の約半分を占めるまでになった。
エイジアの代表取締役、えとう あきら氏
そのエイジアがMIJSに参加した理由は何か。理由は2つある。そのひとつは、他社のソフトとの連携だ。
「企業で必要なソフトは、もちろん当社が提供しているような営業支援ツールだけではありません。財務会計から資産管理ソフトなど、それこそいろいろあるわけです。それを全部当社が作ることは不可能です。そこで、今後はいろいろなソフトが連携し統合されてくると思うのです。そこで、各分野のソフトベンダーが集まるこのMIJSは意義があると思いました。われわれはCRMソフトベンダーですから、多くのソフトと連携することができると考えました」(えとう氏)
アプリケーションを大きく分ければフロントエンド系とバックエンド系となる。基幹系がバックエンド。それに対し、エイジアのソフトはフロントエンドということになる。つまり、バックエンドまでつながってこそ、同社のソフトは真価を発揮するというわけだ。エイジアは、その連携の基盤をMIJSに求めている。
同社取締役の中西康治氏がMIJSの活動状況をこう説明する。
「すでに技術部会では、これまで独自のノウハウであった各社アプリケーションのマスタ情報に関しても、ユーザーのメリットだけを考え、惜しみなく出し合って各社アプリケーションの統合に向けて技術討論を真剣に行っています。これまでは、各社アプリケーションのピア・ツー・ピアの連携を個別にやってきましたが、MIJSではアプリケーションごとにアダプタという概念を作り、それをつなぐことで、すべてがつながるという設計をしています。そのため、システム上の共通のマスタを公開し、標準化する作業を進めています」
特にエイジアのフロントエンド系のCRMソリューションは、この連携が重要である。えとう氏も連携の重要性を力説する。
「CRMは、財務会計など他のアプリケーションにつながらなくてはなりません。たとえば、ウェブから収集された見込み客が顧客に変わったときには財務のデータにつながらなくてはなりません。それら、さまざまなアプリケーションと同期してこそ、本当のCRMなのです」
MIJSで、その全体最適化されたような根幹を作るということだ。「個々のアプリケーションが作られているテクノロジが一様ではなく、ハードルはたくさんある」(中西氏)というが、ソフト連携は多くのソフト会社の願いでもある。
エイジア取締役、中西康治氏
エイジアがMIJSに参加する理由はもうひとつある。それは海外進出の布石をこのMIJSに求めるというものだ。MIJSは海外展開を活動の重要な柱と位置づけている。しかしエイジア単体で海外に進出することは難しい。そこで、その布石を打つためにMIJSを有効利用しようというわけだ。
「1社のアプリケーションだけでしか動かないという世界では、これから通用しません。特にCRMはいろいろなアプリケーションと連携してこそ生きてくるわけですから。また、海外の進出も1社ではなかなか難しいのが現状です。われわれがMIJSに参加したのは、この2つの理由があります」(えとう氏)
エイジアの英文名AZIAは、Asiaの「s」を裏返して「z」にしたもの。起業時から、グローバル展開を考えていたことが、この社名からも分かる。
えとう氏は、この海外展開には自信を持っている。かつてのメーカー時代の経験が、その自信を裏打ちしている。
「メーカー時代に経験したことは、多くのメーカーが企画開発は日本で行っても、それぞれの部品は海外で生産しているということでした。今、世界的にはグローバルの流れができてきています。その中で、日本のソフト産業が、オフショアとしてだけしか海外を見ていないことが間違いだと思います。私は、生産だけでなく、研究開発を海外でやってもいいと思っています。グローバル化の中で、日本人の良さもあれば、他国の良さもある。日本にこだわってやっていては、世界には進出できません」
えとう氏は、もうひとつメーカーで体験したことがある。日本の製造業が成功したのは、単に安くて性能も品質もよいものを作ったということだけではなく、そこにサービスがあったということである。日本の製造業は、海外進出にあたり、まず修理などのサービス拠点を作ったという。それで、海外の人も安心して日本製品を買うようになった。
「つまり、日本の製造業は海外進出にあたって、その国の人も使いながら、商品プラスサービスという武器を持っていたということなのです。ソフトでも、商品とサービスの全部を日本で固めるのではなく、もっと海外の企業も巻き込んで活動する必要があると思っています」(えとう氏)
MIJSを基盤に、かつての製造業のように、ソフト産業の海外進出が始まる可能性がある。
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