![]() |
インターネットはテクノロジーか? - “grown up digital”出版に寄せて |
ドン・タプスコットの『grown up digital – how the net generation is changing your world』が出版された。ドン・タプスコットは、最近では『ウィキノミクス』『ウィキノミクス』が日本語に翻訳されているので知っている方も多いだろう。今回出版された『grown up digital』は、同氏がおよそ10年前のまだインターネットが”1.0”であった頃に執筆した『growing up digital』(日本語訳は『デジタルチルドレン』『デジタルチルドレン』)の後継にあたる著作となる。今回ドン・タプスコットは、およそ10,000人を対象としたリサーチを実施したという。そこまで行うことの意義は、インターネットと共に育った(”growing up”)世代が、いよいよ成人し(”grown up”)、社会へ影響力を持ち始めたことにある。
『grown up digital』に、アラン・ケイの言葉を引用した次の一文がある。
“technology is technology only for people who are born before it was invented” (『grown up digital』19ページ)つまり、テクノロジーとは、それが発明されるより前に生まれた人にとってのみテクノロジーである。逆に言えば、生まれたときに存在している技術というのは、もはやテクノロジーとは認識されず、その人々にとってみれば空気のような存在ということである。従って、私にとってインターネットはテクノロジーであるが、ドン・タプスコットがその著書の中で定義するネット世代(現在11才〜31才)にとって、インターネットはテクノロジーではない。
ちなみに、ドン・タプスコットは、ネットと共に育った世代のことを”Net Generation(ネット世代)”という呼び方をする。しばしばこの世代は”Generation X”に続くものとして、”Generation Y”という呼び方もされるが、ドン・タプスコットは、この新しい世代は、”X”に単に連なるものではないという考えから、あえて”Y”ではなく”Net Generation”という言葉を使っている。
米国でオバマの優勢が伝えられた時、その支持者に多く含まれる若者は実際には投票行動を取らないだろうと言われた。また、黒人であっても支持するというポーズを取りながらも、やはり実際には投票しない白人がいると言われた。しかし、実際にオバマが勝利した背景には、ネット世代の影響力が予想以上に大きいことと、特にその世代においてはマイノリティに対する偏見が少ないことがあると考えられる。
タプスコットによれば、調査を実施した12カ国においてネット世代は驚くほどに似た特徴を示したという。同氏も著書の中でトーマス・フリードマンの『フラット化する世界』『フラット化する世界』にも触れているが、ネット世代をして真の意味で最初のグローバル・ゼネレーションであると定義している。ネットによりグローバルなコミュニケーションが容易になる中で、人種に対する偏見は米国だけではなく世界のネット世代全体において低下しつつある可能性がある。
ネットを後天的に学んだ私も属するGeneration X以前の世代は、確かにこのインターネット・テクノロジーを使いこなしているかもしれない。そして、Web2.0を議論しているかもしれない。しかしながら、これをテクノロジーとは認識しない世代がどのような思考パターンをするのか、分かったつもりになっても、決して分かることは出来ないだろう。そして、彼らが”Web2.0”を議論することはないだろう。それゆえに、ドン・タプスコットの行った調査には敬意を払う必要がある。
ドン・タプスコットは、ネット世代が示す特徴のキーワードとして次の8つの言葉を挙げている。
ZDNET Japanは、Ziff Davisからのライセンスに基づき株式会社4Xが運営しています。
ZDNET Japan is operated by 4X Corp under license from Ziff Davis.
Copyright © 2026 4X Corp, Inc. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.