掲載日時: 2008-12-08 08:00

外国人部下が働いてくれない!--エリック松永の英語道場(14)

「外国人は働かないくせに文句ばかり言う」と嘆いている日本人上司の方々、なぜ彼らが働かないように見えるのか、考えてみたことはありますか? きっと彼らは、あなたと同じ船に乗っていないのです。

著者 : エリック松永

URL : https://japan.zdnet.com/article/20384444/

 What's up, man?

 金融危機から世界的な不況と、景気の悪い話ばかり飛び交っていますね。最近のニュースによると、野村ホールディングスのアジア拠点の要職や欧州株式部門の責任者に旧リーマン・ブラザーズ出身者が就いたようです。「グローバル」という言葉が本当に身近になってきたと感じる人も多いのではないでしょうか。今回は企業のグローバル化をより身近に感じるために、吸収合併などで突然自分の部下に外国人がアサインされた時のことを考えてみましょう。

「外人は働かない」のウソ・ホント

 よく日系企業の海外オフィスの人が「外国人は働かないくせに文句ばかり言う」と嘆いているのを耳にします。本当にそうでしょうか。私は、アメリカ人やフランス人、ドイツ人などの部下として働いたこともありますし、上司として8各国出身の外国人部隊を率いていたこともありますが、彼らがパフォーマンスで日本人より劣ると感じたことはありません。逆に、ワーカホリックじゃないかと疑うほどのアメリカ人やフランス人を何人も見てきました。

 確かに彼らは仕事の仕方がスマートなので、さっさっと切り上げる時は切り上げます。それが時に薄情だと思われたり、仕事をしないように見えたりすることがあるのでしょう。また、彼らには日本人のように「周りが残業しているから自分も残る」といった感覚は全くないので(私もありませんが)、勝手に行動しているように見えるのかもしれません。

個人主義とチームプレイ

 日本人はチームプレイを大事にするといいます。だから勝手に行動する外国人はおかしいと。しかし彼らにとっては、日本企業の働き方こそおかしく映っているかもしれないのです。

 私が日本の企業で一番ストレスに感じるのは、仕事のGoalが明確でない所です。本来であれば企業としてのVisionやMissionを出発点とした明確なGoalがあり、そのGoalを達成するためのStrategy(戦略)があるはずです。Strategyは、株主に対してのAccountability(説明責任)を満たすために作っているのではなく、企業という大きな船でいかにして海を渡るかを決定する大事なチャートなのです。

 Goalを達成するためには事業部ごとのStrategyも必要ですし、最終的には個人単位で何を達成すべきかがQuantitative(定量的に)設定されなければなりません。グローバルな組織では特にQuantitativeであることが重要です。なぜなら、国籍の違う人達の間でお互いを完全に理解し合うことは至難の技だからです。Qualitative(定性的)な表現は国によって違うので、外国人は数字にこだわるのです。

Goalを明確にすればチームとして結束できる

 私の経験では、例えばアメリカ人はGoalを明確にすると、日本人よりよく働きます。しかし、Goalをあいまいにしたり、Goal設定をきちんとしないでプロジェクトを開始すると、とことんサボります。彼らは、着手すること=Commitmentと理解するので、不明確な仕事に手を出さないし、そういうマネジメントをする上司に服従することを拒否します。怪しい船長の船には乗らない、正しい判断だと思いませんか? 逆に、一度船に乗ってしまえば運命共同体です。船に乗るまでは仕事をしなかった外国人も、船が沈みそうになれば自分たちのRole(役割)やResponsibility(責任範囲)を超えて助けてくれるはずです。まぁ、時にはほかの船に乗り換える人もいますけどね……

上司として最低限やるべきこと

 では、外国人を部下に持った場合、上司として何をすればよいのでしょうか。そのヒントをいくつか挙げますので、参考にしてください。

方向性と役割を理解する

 まず、企業や事業部が目指しているものを理解した上で、部下のRoleとResponsibility、そしてQuantitativeなGoalをお互いに納得した上で設定しましょう。ここでは、お互い合意することが重要です。合意した内容は必ずDocumentで確認してください。口頭での確認は愛のささやきのように幻と化してしまいます。

明確なGoalを設定し合意する

 何度も言いますが、GoalはできるだけQuantitativeに設定します。例えば、「Aに対する技術的な理解を深める」ではなく、「Aに対する技術的な理解を深めるために、その技術を使ったプロジェクトに3件参画する」といったように数字を入れましょう。

Goal達成の際のご褒美を明確にする

 日本人が一番あいまいにしがちなのが、QuantitativeなGoalに対するReward(報酬)です。制度上、明確にできないことがあるのは仕方ないことです。しかし、典型的な日本企業で最終的な金額がHR(人事部)の最終決定までわからないのであれば、そのことを企業の決まりとして納得してもらう必要があります。「仕方ないんだよ」で済ますのではなく、「日本の人事制度はこうなっている。だから報酬はこの時期にならないとはっきりわからない」と、理解してもらえるまで話しましょう。

 一番重要なのは、上司には部下が納得するまでAccountability(説明責任)があるということ。これだけは忘れないでください。チームの一員として部下が一隻の船に乗り込んでくれるかどうかは、プロジェクトや仕事を始める時にいかに部下に納得してもらうかで決まるのです。あなたは上司であり船長です。もし部下が全く動かないと感じたら、それは彼らがあなたの船には乗っていないということなのです。

精神的にチームの一員となってもらう

 せっかく色々な国の人がメンバーとして集まったのです。ざっくばらんに国の話ができる環境を積極的に作りましょう。月に一度ランチパーティーを開くもよし、メンバーの誕生日にチームでランチをするのもいいでしょう。ディナーはプライベートな時間にかかるので、ランチを活用するのがコツ。少し長めにランチタイムを取れば、グラスワインくらいは許されるのではないでしょうか。ちょっとした気遣いが、国籍を超えたチームワークにつながるのです。

最後に、コミュニケーションの基礎として、英語はどう考えても必須としかいいようがありません。英語はTOEICの点数を上げるために勉強するのではないのです。あなたのプロジェクトを成功させるために必要であることを忘れないで下さい。

Peace out,
Eric

※ 著者・エリック松永に、英語関連の質問がある人や、英語談義をしたい人はいませんか? エリックへのメールは、tips@japan.cnet.com にて受け付けています。面白い質問や話題には、エリックが直接あなたの元を訪問して対応するかもしれません。

Eric
筆者紹介

エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。

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