掲載日時: 2009-01-07 11:00

メインフレームを使う--フレパー、IBM System z10 EC活用した仮想データセンター事業開始

システム企画開発のフレパー・ネットワークスは、インターネットデータセンター事業者(iDC)やシステムインテグレーター(SIer)を対象に、IBMのメインフレームを活用した仮想データセンター事業「ZDC」を始めたことを発表した。

著者 : 田中好伸(編集部)

URL : https://japan.zdnet.com/article/20386092/

 経済が好調な時でさえ、情報システム部門には常にコスト削減圧力が容赦なく降りかかってくる。これが現在のような、円高・金融危機・景気後退が同時進行で加速している、いわゆる「100年に一度」の経済状況ともなれば、その圧力は凄まじいものであることは誰の目にも明らかだろう。

 しかし、これまでにないコスト削減圧力をかけられても、情報システム部門は企業の成長を考えた戦略的なIT投資を打ち出していく必要がある。そうした視点から注目すべきサービスがこの1月から始まった。

 システム企画開発のフレパー・ネットワークスは1月7日、インターネットデータセンター事業者(iDC)やシステムインテグレーター(SIer)を対象に、IBMのメインフレームを活用した仮想データセンター事業「ZDC」を始めたことを発表した。同社では、iDCとSIer向けにZDCの無料説明会を1月20日から毎月1回程度、定期的に開催することをあわせて発表している。

 フレパーが今回開始したZDCは、IBMのハイエンドメインフレーム「IBM System z10 Enterprise Class」(System z10 EC)を、iDCやSIerの顧客であるユーザー企業に貸し出すというものだ。System z10 ECの仮想化技術を活用して、1台のSystem z10 ECの中にユーザー企業ごとの専用環境を構築することができる。

システム概要 ZDCのシステム概要※画像をクリックすると拡大表示します

 ZDCの場合、System z10 ECをベースにしてシステムを構築し、監視もフレパーが行うが、これに同社独自の遠隔複数拠点データ保管サービス「DIGITAL DATA BANK」と広域負荷分散配信ストレージサービス「DIGITAL DATA DAM」を組み合わせて利用することができる。こうしたシステム構成を取ることで、ユーザー企業はインターネット越しに企業独自のシステムを利用することができる。

 ここで注目したいのが、System z10 ECに搭載されている、IBM製メインフレームにこれまで長年培われてきた仮想化技術である。ソフトウェア上での仮想化はもちろん、ハードウェア上での仮想化技術を駆使することで、堅牢なシステム運用が可能だということだ。今回フレパーが事業としてのZDCのベースにSystem z10 ECを活用しているのも、そうしたIBMの経験や実績、技術力の高さがあるからだ。

 「System z10 ECに代表されるIBM製メインフレームに搭載される仮想化技術はもちろん信頼できるものです。また、IBMでは、メインフレームの今後の継続性を考えた時、ロードマップを含めて今後を約束しています。さらにメインフレームでは、24時間サポートが当然であり、絶対的安心感を与えることができます。今回ハイエンドのSystem z10 ECを選択したのも、サポートに代表されるIBMの見えない力が集約されるからです」(フレパー取締役で事業統括本部本部長を務める川口明裕氏)

 フレパーでは、ZDCで提供するサービス内容について(1)仮想プラットフォームサービス(2)試験運用サービス(3)3D仮想空間サービス――の3つを考えているという。同社は当面、これら3つのサービス内容を提供していきたいとしているが、ユーザー企業の需要に応じて、サービス内容を拡大していきたいとしている。

 (1)の仮想化プラットフォームサービスは、現在企業が稼働させているシステムをSystem z10 EC上に集約・統合してしまうというものだ。(2)の試験運用サービスでは、System z10 ECの中に短期的な開発環境、あるいは研究用の環境を構築できる。(3)の3D仮想空間サービスは、既存の3D仮想空間はエンドユーザーのクライアントPCの処理性能に大きく依存することになるが、そうした3D仮想空間の描画処理をメインフレーム上でさせることができるというものだ。

 フレパーがZDCで提供するサービスの中でやはり注目したいのが、仮想化プラットフォームサービスになるだろう。

 仮想化技術でサーバを集約・統合するという大きな潮流となっているのは誰の目にも明らかだ。この潮流は、IT投資の最適化という目的が込められているわけだが、集約・統合したいとしても、サーバルームやデータセンターの中で数多くのラックにシステムを収めている大規模システムとなると、集約するための場所を探すだけでも大変な労力を要することになる。そうした大規模システムを運用している企業が、ZDCにシステムを集約できるとなれば、そのコストメリットは大きいものになるだろう。

 今後始める事業のシステムを試験運用が必要となった場合に、サーバを購入して、そこからシステムを構成していくという労力やコストもバカにならない。こうした局面でZDCの試験運用サービスを利用すれば、試験運用にかかるハードウェアや時間などの諸々のコストを削減することができるだろう。

 ZDCを利用するユーザー企業は、月額の利用料を支払うことになるが、料金の目安としては月額100万円(税別)から、としている。「iDCの契約などは1年の縛りがありますが、ZDCでは1カ月単位の利用ができます」(川口氏)。

z10 EC フレパーのオフィス内に設置されたSystem z10 EC。データセンターの中ではなく、こうしたオフィスルームの中に設置されているのは極めて異例だという

 改めて言うまでもないが、現在の企業活動はシステムに直結しており、さまざまなビジネスがシステム化されている。システムの増大や複雑化は、ハードやソフト、サポート要員、設置スペースなどデータセンターの運用管理にかかる維持コストは約4倍になると言われ、電力・冷却コストは約8倍になるとも言われている。そのおかげで、企業のIT投資の7〜8割は、既存システムの運用維持にかけられているという状況を招いている。

 一方で、こうしたシステムの増大や複雑化は、ITガバナンスが効かなくなっているという事態ももたらしている。ITガバナンスが混乱しているために、企業活動をサポートするはずのシステムが、逆に企業活動の足かせになりかねないという事態すら起きつつある。

 冒頭に指摘したような、これまでにないコスト削減圧力の下では、どうしてもIT投資は一律カットという判断を下しそうになるが、それでは長期的視点に立ったIT戦略を打ち出すことはできない。企業全体としてシステムの総所有コスト(TCO)を考慮した上で、既存システムの運用維持にかかるコストを削減すると同時に、将来のための新規システムの開発に必要となるコストを捻出していくべきである。そうした視点で考えると、このZDCでのシステム集約・統合という手段は、有効な対策の一つと分析できる。

 「大規模なシステムであればあるほど、仮想化技術によるシステムの集約・統合はそのスケールメリットを活かすことができます」(川口氏)

 今回のZDCでは基本としてSystem z10 ECでデータベース(DB)などの基幹系システムを担うとしているが、たとえばそのほかのウェブサーバやアプリケーションサーバ、メールサーバなどのシステムについては、フレパーが提携するデータセンターで各種サーバを運用することができる。この際も、ユーザー企業がそれぞれのサーバごとにデータセンターとやり取りする必要はない。ユーザー企業はZDCにワンストップで対応すればいいように配慮されている。ユーザー企業のITガバナンス確立という点を考慮したものだ。

ZDNET Japanは、Ziff Davisからのライセンスに基づき株式会社4Xが運営しています。
ZDNET Japan is operated by 4X Corp under license from Ziff Davis.

Copyright © 2026 4X Corp, Inc. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.