掲載日時: 2009-09-07 09:30

マイクロソフトがWindows 7で超えねばならない「3分の1」の壁

9月1日、Windows 7の法人向けライセンス販売がいよいよ開始された。早期採用表明企業も、過去最大規模でスタートを切っており、マイクロソフトでは今後の普及にも自信を見せている。

著者 : 大河原克行

URL : https://japan.zdnet.com/article/20399519/

 9月1日、Windows 7の法人向けライセンス販売がいよいよ開始された。

 一般向けパッケージ版の発売は10月22日からだが、ひと足先に開始された法人向けライセンス販売によって、本格的にWindows 7時代がはじまったことになる。

 マイクロソフトの発表によると、今後半年以内にWindows 7を導入すると発表した早期採用表明企業はすでに163社に達し、Windows Vistaの際に公表された18社に比べると約9倍の規模。早期採用表明企業が、過去最大規模でスタートを切ったことに、マイクロソフトでは今後の普及にも自信を見せる。

 マイクロソフト社長の樋口泰行氏は、「日本経済が低迷するなか、Windows 7によって、PCに関連する市場を活性化させたい」と、この製品を景気回復の起爆剤にしたいとの意気込みを語る。

 Windows 7導入によってもたらされる効率化や、企業競争力の強化という観点だけでなく、Windows 7関連ビジネスで2兆3000億円の経済効果が発生するという観点からも、景気回復の起爆剤になるとする。

 マイクロソフトは、Windows 7の発売を前にして、市場規模予測などの数値を積極的に開示している。

 例えば、9月1日の法人向けライセンス販売の開始に合わせて開かれた会見では、IDCの調査としながらも、2010年末までに日本国内だけで1000万本のWindows 7が導入されるとしたほか、国内の大企業の60%が3年以内にWindows 7を展開するとの見通しを明らかにした。さらに、国内IT企業の3500社、17万人がWindows 7に関する製品およびサービス展開に携わり、法人IT利用者の16%にあたる52万人がWindows 7を使用するとの予測も発表した。

 Windows Vista発売の際には、ここまで明確な数字を、マイクロソフトの正式なコメントとして出すことはなかった。だが今回、これだけの具体的な数値目標や、想定される市場規模を積極的に公表する背景には、マイクロソフトが、これまで以上に綿密なマーケティングを行い、より明確な形で市場ターゲットを設定していることがある。

 そして、Windows Vistaの失敗を繰り返さないという決意が、ここに見てとれるともいえよう。実は、マイクロソフトが積極的に情報を開示するなかで、Windows Vistaの「失敗」が浮き彫りにされている。

 同社が、8月19日にパートナー企業を対象に開催した「Windows 7 Partner Marketing Day」において、Windows 7のコンシューマー市場ターゲットを示すなかで、現在のインストールベースを次のように分析した。

 購入後5年以上を経過しているWindows XPおよびその他OSを搭載したPCが1540万台。5年未満のWindows XP搭載PCが930万台。Windows Vista搭載PCが1060万台。これを別の角度から見ると、メモリ1Gバイト未満またはDirectX 9非対応のPCが1980万台、メモリ1Gバイト以上またはDirectX 9対応PCが1550万台となる。

 つまり、1980万台は、PCの買い換えを想定したアプローチ、1Gバイト以上のメモリを持つ1550万台はそのままWindows 7へのアップクレードあるいはネットブックなどによる新たな買い増しが期待されるというわけだ。

 ここで明らかになったのは、国内のコンシューマーPCユーザーのうちWindows Vista搭載PCを利用しているのは、わずか「3分の1」の1060万台ということだ。Windows XPなどの旧OSを利用しているユーザーが3分の2を占めているのである。

 これを企業ユーザーに当てはめてみると、さらにWindows Vistaの利用比率は減ることになるだろう。また、Windows Vista搭載PCを導入していても、Windows XPにダウングレードして利用しているユーザーが、実はそのまま「Windows Vistaユーザー」としてカウントされることから、実際のVistaユーザーの数はさらに減少することになる。

 マイクロソフトでは、法人市場では約1631万台のWindows 7未対応PCからの買い換え需要、約1820万台のWindows 7がそのまま動作するPCのアップグレードおよび買い増し需要が期待できるとしているが、企業におけるイントールベースでのWindows Vistaユーザーの構成比は明らかにしていない。だが、これらのことを考え合わせると、実際にVistaを利用している企業ユーザーが全体の3分の1以下になることは容易に想像できる。

 その点でも、マイクロソフトにとっては、まずはWindows 7のユーザー比率が早期に「3分の1」を超えることが、その成功を評価する、最初の通過点になるといえるだろう。

Windows 7の市場規模予測 マイクロソフトにとって、Windows 7の導入率がVistaの導入率をどれだけ早く超えられるかが、その成功を評価する最初の通過点となる。

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