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2010年の有望ビジネス--こんな仕事にチャンスあり? |
筆者は2008年1月、年頭記事を執筆するにあたり、ありきたりの「予想記事」は書きたくないと思いながら頭を悩ませていた。そして最終的に書いたのが、当時新たに登場しつつあったクラウドコンピューティングが花開いた暁に創出されるであろう7つのビジネスについて、ユーモアを交えて解説するという記事だった。今になってこの記事を読み直してみて、採り上げたビジネスのほとんどが(すべてではないとはいえ)、かたちこそ異なるものの2010年にも出現しそうだということに驚いている。
以下に2008年の記事の内容を再掲載し、それぞれの項目に2010年版の注釈を追記する。
既存のエンタープライズアプリケーションから、近頃流行している新しいSaaSツールに乗り換えようとした場合、データの移行が必要になる。そして乗り換えてはみたものの、そのSaaSベンダーとは付き合いきれないという結論が出た場合、また同じような移行コストをかけて他のベンダーのサービスにデータを移行する羽目になる。ひょっとすると、SaaSに嫌気がさし、従来のエンタープライズアプリケーションに回帰するということも考えられる。ぼろもうけだ。
この項目では、SaaSにおける選択肢のほとんどがプロプライエタリな(あるいは、オープンソースの場合であれば「単一のプラットフォーム」を用いた)データベーススキーマ上に構築されているという残念な事実を浮き彫りにしていた。この事実に目を向けるだけでも、高度にカスタマイズされた社内人事アプリケーションから企業データを取り出してクラウドに移行する、あるいはクラウドをあきらめて元の状態にデータを戻すには、高度な技術スキルが必要になるということを理解できるはずだ。筆者は現時点でも、こういった移行ビジネスが、特に企業運営と切っても切り離すことのできない人事や財務といった分野において、システムインテグレーターにとっての大きな収益源になると考えている。
どれほど豊富な機能を提供しているSaaSベンダーがあったとしても、ただその1社を利用するだけで済むということはあり得ない。必ずインテグレーションというものが必要となるのである。しかし、そういったインテグレーションはどこで、どのようにして実現されるのだろうか?こういったことを考えれば、ブラウザベースのインテグレーションという道を選び、成功を目指すしかないだろう。Force.comやMicrosoft、Google、Amazonなどが提供しているサービスよりも安価かつ高速で優れたものを実現する方法を考え出せばよいだけだ。
EAI(Enterprise Application Integration)をクラウドで実現しようという優れた取り組みは既にいくつか存在している(例としてBoomiを挙げることができる)一方、2010年中にはIBMやMicrosoftといった企業がこの分野に進出を果たすことになるだろう。また、AmazonやSalesforce.comが何らかの動きを見せたとしても筆者は驚かないだろう。この分野の重要性を考えた場合、いつまでも無視を決め込んでいるわけにはいかないはずだ。
上記2番の項目で述べた問題を考えた場合、請求書が5つ、あるいは6つものベンダーから送られ、ベンダーをまたがったトランザクションコストが追跡できないような状況を良しとする人などいるだろうか?こういったことを考えれば、ベンダーからの料金請求を一元管理し、コストと収益の内訳をベンダーごとに分類、分析する機能を有した課金サービスを提供するのがよいだろう。そして、ベンダーによって生み出された所有権の壁(下記4番の項目を参照)から自らを守るための準備も整えておこう。
このサービスは、本記事で採り上げているビジネスのなかで、2010年に提供される確率が最も低いものだろう。とは言うものの、この項目で述べている問題が一般にも認知されつつあるという兆しが見え始めている。あなたのアプリケーションのフロントエンドがGoogle App Engine上で稼働しており、ビジネスロジックがForce.com上で、そしてデータ解析がAmazon Web Services上で稼働している場合、そういったアプリケーションのコストを単一の請求書で管理する方法はあるだろうか?こういったサービスを考えた場合、筆者は通信会社に分があるはずだと思っているものの、彼らは未だそのことに気付いていない様子である(関連英文記事)。
Robert Scoble氏がFacebookで経験したトラブルの事例(関連英文ブログ)を見ても分かるように、「誰が何を所有しているのか」ということに関しては、法律上の厄介な問題が山積みとなっている。データの所有権や、ベンダーの契約上の義務、法律上のプログラムコードの扱いといったことに関する訴訟の専門知識を提供することは、おいしい仕事となるはずである。
2008年1月、Robert Scoble氏はFacebookからアカウントを停止されてしまった。Scoble氏が自動化されたスクリプトを用いて同サービスから自らのソーシャルネットワークデータを読み出そうとしたため、Facebookは規約に抵触していると判断したわけである。その後に起こった騒ぎを見れば、クラウドコンピューティングには実に厄介な問題が存在しているということが分かるというものだろう。すなわち、パブリックなクラウドサービス上に置かれているデータを所有、統括するのは誰なのかという問題だ。
残念なことに、この問題に対する答えはまだ出ていない。このため、米国や欧州をはじめとする世界中の裁判所において、今後の判例となる訴訟が複数展開されるだろうと筆者は考えている。また、クラウド企業側の何らかの事故や契約違反行為にまつわる訴訟ももちろんビジネスになると言っておきたい。
上記4番の項目を前提とした場合、業界内の各団体は自らの利益を保護/拡大するために、議会での発言力を高めたいと考えるはずである。このため、オンライン上での平等さや個人の権利を台無しにするような法律の制定を推進するビジネスは有望ということになる。
筆者と意見を異にする人もいるだろうが、筆者はクラウドに関する政策をめぐって大きな争いが起こることになるだろうと考えており、いくつかの大手クラウドプロバイダーが自らのビジネスに有利な政策の制定に向けて、既にロビイストを手配しているという事実も知っている。一方、コンシューマーやエンタープライズの立場を代弁するロビイストの存在は耳に入ってきていないものの、そういったロビイストが登場するのも時間の問題であると確信している。
クラウドコンピューティングの隆盛によって多くのシステム管理者が仕事を失うことになる。このため彼らを再教育し、外部ベンダーが管理している自社の資産に対するサービス品質保証契約(SLA:Service Level Agreement)の遵守状況をまとめて監視できるようにしたり、顧客サービス担当者に電話が通じるまで辛抱強く待てるようにする必要がある。
実際のところ、システム管理者の「再教育」は既に始まっている。ただしそれは、それはシステム管理者の自主的なクラウドサービス試用や、実際のプロジェクト参画、およびデータセンターの仮想化による影響といったものの組み合わせによるものである。とは言うものの、システム管理者にとってのクラウドを楽なものにする、PuppetやChefといった新たなテクノロジによって、高度なアプリケーションに取り組む機会が与えられるだろう。また、開発者がクラウドコンピューティングで一歩先んじるために必要となるアーキテクチャや運用の教育といった素晴らしいビジネスチャンスも拓けるはずだ。
「専用の」新ハードウェアが続々と登場するようになったことで、携帯機器が陳腐化していく速度もさらに加速されていくだろう。このため、こういった機器に使用されている貴金属や希少金属、シリコン、LCD画面も、ほとんど使用されないうちに廃棄されることになる。これらの資源を回収することで大もうけする人が出てくるはずだ。あなたもそのチャンスを狙ってみてはどうだろうか。
もちろん、さまざまな慈善団体や企業が既にこの分野で活動している(関連英文記事)。とは言うものの、ここで2つの重要な事実を述べておく必要があるだろう:慈善団体の活動のほとんどは発展途上国を支援するものであるということと、携帯電話テクノロジが陳腐化するスピードはまったく衰えていないということだ。
誤解しないでほしい。筆者は、こういったビジネスが確実に成功すると予測しているわけではない。それどころか、これらのビジネスのいずれが成功しても、筆者を含むほとんどの人は驚きをもって受け止めるだろう。とは言うものの、2010年に目を向けるこの時期、2008年に問題となっていたことの多くにやっと手が付けられ始めたという事実に驚きを覚える。こういった問題に取り組んでいる人たちの2010年の幸運を祈りたい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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