掲載日時: 2010-01-18 20:31

「クラウド周辺に全く新しいビジネスが生まれている」--セールスフォースがパートナーに力説

セールスフォース・ドットコムは1月18日、「Partner Summit−OEM Program」と題したイベントを開催。同社のクラウドプラットフォームを活用するOEMパートナーなどに対して、パートナー戦略の考え方や事業方針、新たなパートナープログラムなどを紹介した。

著者 : 大河原克行

URL : https://japan.zdnet.com/article/20406849/

 セールスフォース・ドットコム(セールスフォース)は1月18日、東京六本木のグランドハイアット東京で、「Partner Summit−OEM Program」と題したイベントを開催した。「誰にでもチャンスを!」をテーマに、セールスフォースのクラウドプラットフォームを活用するOEMパートナーなどに対して、同社のパートナー戦略の考え方や事業方針、新たなパートナープログラムなどを発表した。

宇陀栄次氏 セールスフォース・ドットコム、代表取締役社長の宇陀栄次氏

 冒頭にあいさつに立った代表取締役社長の宇陀栄次氏は、「2011年にはグーグルなどが取り組むクラウドオンライン広告で650億ドル、当社が取り組むようなビジネスアプリケーション分野の市場規模の950億ドルとあわせて、クラウド全体の市場規模は1600億ドル(日本円で約16兆円)に達すると見られている。だが、今までにはなかったような、全く新たなビジネスがクラウドのまわりに登場している。自動車産業の発展も自動車メーカーの市場だけではなく、保険や駐車場、中古車、ガソリンスタンドなど関連市場を創出し、一家に一台の時代になることで、建設住宅産業にも影響を及ぼした。これらをあわせると130兆円の市場規模に広がっている。クラウドの市場規模が16兆円というのはまだまだ小さい。様々なパートナーが参入するという点では、“Cloud”ではなく、知の集合体を示す“Crowd”という言葉の方が適しているのかもしれない。当社の最新決算はまだ発表前の段階だが、日本では営業目標を超える実績となっており、対前年実績も上回っている。しかし、私は、クラウドの今年の市場規模は、目標としている市場規模の100分の1程度にようやく達した状況であり、これからまだまだ伸びる」と述べた。

 セールスフォースでは、日本郵政から5年間に120億円規模の受注実績を獲得したが、「これとは別にDWHで60億円規模の発注があった。この部分は、我々のビジネスではない。SIerやISVは、導入コンサルティングやForce.comアプリケーションビジネスの展開、SaaS連携アプリケーションの提供、ERPやDWHに関するインテグレーションおよび再構築といった、クラウドのまわりにある大きなビジネスチャンスを獲得することができる」(宇陀氏)とした。

 現在、Force.comアプリケーションとして、13万5000種類のソフトウェアが用意され、カスタムクラウドとして活用されているというが、「わずか半年前には7万5000種類と言っていた。様々な会社がクラウドプラットフォームの上にアプリケーションを開発しており、いま発表している数値も、近いうちに小さな数字になるだろう。ASPIC JapanのASP・SaaS・ICTアウトソーシングアワードでは、当社が第1回目のアワードを獲得したが、最新のアワードでは、我々のプラットフォームの上で利用できるマーケティングツールがノミネートされている。我々の役割が変化してきている例のひとつだ」などと語った。

 宇陀氏は、「従来のビジネスモデルは、ISVアプリケーションとライセンスと、当社のプラットフォームライセンスを一緒に提供していくものだったが、新たなビジネスモデルでは、当社からパートナーに対して、プラットフォームライセンスを提供し、ソリューションやアイデアを持っている企業と組んで、パートナーがワンストップでソリューションを提供できるようなものになる。従来のようながんじがらめのパートナー制度ではなく、ネットワーク時代に適応したパートナー制度が必要である。小さな規模のISVともOEMを結べるものにしていくほか、サポート&サービスについても、当社が全面的に行うのではなく、オープンソースのようなコミュニティ型の体制が求められるようになる」と、同社が目指す新たなパートナープログラムの概要について説明した。

 また、同社の常務執行役員、アライアンス&サービス統括本部長の保科実氏は、「Force.comプラットフォームの可能性と優位性」をテーマに、新たなパートナープログラムの具体的な内容について説明した。

保科実氏 セールスフォース・ドットコム常務執行役員、アライアンス&サービス統括本部長の保科実氏

 保科氏は、「クラウドビジネスにおいては、完全にマルチテナンシーに対応したプラットフォームの開発が重要であり、セールスフォースは10年間に渡って、これを構築してきた。そこが、最大のコアコンピタンスになる」とし、「こうした高度なプラットフォームの開発や、セキュリティをはじめとするインフラ部分への多大な投資といった、クラウド事業参入における課題を解決できるのがセールスフォースである。特に、エンタープライズユーザーが、ビジネスアプリケーションを開発するという点では、グーグルやアマゾンなどのクラウドサービスと比べて圧倒的な強みがある。セールスフォースは、ビジネスアプリケーションの素早い作成にフォーカスしたものであり、豊富な標準サービスを提供できる」とした。

 保科氏によれば、新たなOEMパートナープログラムでは、教育プログラムを半額にする特別ディスカウント、OEM開発パートナー専用の開発環境の無償提供、開発者向けサポートメニューの提供、各種技術支援などを行っていくという。

パートナープログラム セールスフォースによる新しいパートナープログラムの概要

 中でも、CRMを除くForce.comのプラットフォーム全機能をパートナーに提供し、これを含めてパートナーのアプリケーションパッケージとして提供できる環境の提案は画期的だ。これにより、パートナー独自のブランドや料金体系で、Force.comを組み込んだ製品の投入が可能になるという。

御代茂樹氏 セールスフォース・ドットコム、アライアンス事業本部シニアディレクターの御代茂樹氏

 同社アライアンス事業本部シニアディレクターの御代茂樹氏は、このパートナープログラムについて、参加の容易さを強調。参加ISVには「無償の統合開発環境や技術情報を提供するとともに、開発者同士の議論や質疑応答ができるディスカッションボードを来週にもオープンする」という。

 OEM契約のための初期費用やプログラム費用は不要で、固定費にとらわれずに、パートナーの月額サービス価格の一定比率をライセンス料として徴収する仕組みという。また、Force.comは30日間のトライアル期間中も販売活動に利用できる。

 「当社にとっては、OEMパートナーが、どんなアプリケーションを、どんな市場に投入してくれるのかが大切である」(御代氏)とした。

ZDNET Japanは、Ziff Davisからのライセンスに基づき株式会社4Xが運営しています。
ZDNET Japan is operated by 4X Corp under license from Ziff Davis.

Copyright © 2026 4X Corp, Inc. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.