掲載日時: 2010-02-19 08:00

アメリカンドリームに学ぶ外資系企業への転職術--エリック松永の英語道場(43)

American Dreamとは、努力次第でどんな夢でもかなうことを象徴しています。転職を考える際、まずは自分がどのような夢に向かっているのかを見直してみましょう。

著者 : エリック松永

URL : https://japan.zdnet.com/article/20408507/

 前回はアメリカでの就職事情についてお話しましたが、どう感じましたか? マスコミ報道による妙な先入観で、どうも即Fire(首切り)といったNegativeなイメージが強い外資系企業ですが、私としては明確な基準で評価されることはFairだと思うし、失敗しても自分が次に何をすべきか明確なのである意味安心できる心地よい場所だと思っています。もんもんとリストラに脅えるより、成果でやばいと思ったタイミングに先手を打って転職活動できますしね。つまり物事は考え方次第ということです。

 さて今回は、転職活動でTargetとなる転職先企業をどう決めるかについてお話しましょう。

American Dreamは絵に描いた夢?

まつながみか イラスト: まつなが みか

 基本的に、どうも日本人は転職をリセットと考える傾向が強いようです。そのため転職においても今までの仕事より、「夢」や「やりがい」といったようなMeasurable(数値化可能)ではないInvisible(目に見えない)なものに幻想を抱きがちです。

 夢と言えば、American Dreamとよく言われますよね。私はAmerican Dreamのような考えが大好きです。まずは少しAmerican Dreamについてお話しましょう。

 American Dreamがヨーロッパ諸国のDreamと大きく違う点は、出身や身分が将来の方向性を決定するのではなく、個人の努力によってどんな成功をももたらすことができるという考え方です。例えば、貧しい農民の家庭に生まれたAbraham Lincolnは、独学で法律を学びアメリカ大統領になりました。借金から逃げるようにスコットランドからアメリカに移住し、12歳で学校にも行かず工場で働いたたAndrew Carnegieは、鉄鋼会社を設立し世界一の金持ちと言われるほどの巨額の富と名声を手に入れました。このようにアメリカは、努力次第でどんな夢も実現可能な国。こうしてかなう夢のことをAmerican Dreamと呼ぶのです。

Positiveなアメリカ人

 さまざまな国の同僚と仕事をしてきた私が経験的に感じる日本人とアメリカ人の違いは、日本人には夢を持った人が圧倒的に少ないということです。もう少し具体的に言うと、「将来こんなことがしたい、こうなりたい」という像がないんです。

 私は今42歳ですが、同年代の多くの日本人からは、もう「あがり」といった雰囲気が感じ取られたり、「あきらめ」や「忍耐」といった言葉ばかり聞こえてきます。就職に関して言えば、終身雇用の考え方がまだ染みついていて、新卒で入った会社に最後までいようと考えている人が多いようです。

 しかし実際には厳しい経営環境の中、会社がいつまでも雇用してくれるとは限りません。終身雇用の考え方と現実が乖離する不幸が起きているのです。こんな状況にあるにもかかわらず、転職に夢も希望もないというのは面白くありません。

 アメリカでは、転職で上のポジションを得て有利な条件をつかむというPositiveな現実があります。もちろん、そういった成功をつかめる人は一握りかもしれません。しかし、それを他人事と考えて疎ましく思うのか、自分にも可能性があるはずだと思うかで、転職のパワーは明らかに違ってくるのではないでしょうか。少しでも可能性があればチャレンジするのがアメリカンスピリッツです。しかも、実現の可能性にかかわらずPositiveに夢を見れるのがアメリカン。私の大好きな考え方です。

夢を現実に変えるために

 では、転職の時に描く夢とは何でしょう。American Dreamの象徴が地位、名誉、そして富だとすれば、あなたのDreamは何でしょうか?

 転職で一番重要なのは、自分にうそをつくことなく夢を明確にすることです。古き良き時代のAmerican Dreamの象徴といえば、高級車のキャデラック、現代ならフェラーリやランボルギーニでしょうか。しかし、人によって価値観は違います。高級車を持つことで夢を体現できる人もいれば、何も感じない人もいる。転職先も同じです。コンサルティング業界は報酬が高く、派手に見えるのであこがれる人も多いのですが、実際にはひどく長時間労働ですし、地味な作業も結構多いもの。外観だけを見ているのと実際に中を見るのとでは大きく違います。転職先を選ぶ際に重要なのは、可能性のある夢をもつこと、そして、その夢を実現するチャンスは1回ではないことを前向きに考え、実現するためのステップを具体的に考えることです。

 まずは、American Dreamの地位、名誉、富という指標で、夢を整理してみてはいかがでしょうか。これはあくまで考えるための機軸であって、違うところに価値観があっても全く構いません。とにかく一度はAmerican Dreamを頭に思い浮かべること。そうすれば、自分の将来像がぼんやりと見えることもあるのです。努力すれば夢に近づける――そう思うだけでやる気が出てきませんか? これがPositiveな考え方のコツなのです。今は雲の上にあると思っている企業も、他の会社で実績を積めば入社できるかもしれないのです。

 もうひとつ大切なことがあります。転職する場合、まず自分がなぜ今の会社を辞めたいのか深く自己分析することです。Negativeな転職がうまくいく可能性は低いですし、Negativeな理由で動いても楽しくありません。まずは、今の会社を辞めることでどのような夢に近づくのか、きちんと納得した上で前に進むべきでしょう。この分析が十分でないと転職先でもっと苦労することになります。

 転職にあたって、いきなり業界分析までする必要はありません。まずは夢を見つめ直してみるのです。そんな前向きで気楽な気持ちで転職先を考えてみてはいかがでしょうか。あんまり堅苦しいとプレッシャーに負けてしまいますし、「暗い」という印象を与えてアメリカ人との面接では評価されませんよ。Take it easy!!

Peace out,
Eric

Eric
筆者紹介

エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。著書に「クラウドコンピューティングの幻想」(技術評論社)がある。

イラストレーター: まつなが みか
つぶやく日本人や音楽にまつわる「人」のイラストを描く。CDジャケット、ショップ、雑誌等で活動中。エリック松永の愚妹。

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