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クラウドコンピューティングにおける差別化--他社との違いを伝えるための5つのヒント |
クラウドコンピューティングプロバイダーはマーケティング面で困難な課題を抱えている、というのが筆者の意見だ。考えてみてほしい。プロバイダーは、提供しているサービスモデルや導入モデルがどのようなものであれ、できるだけ多くの顧客の「コモディティ」を求めるニーズに応えつつ、自社のサービスを差別化する必要がある。こうしたプロバイダー各社は、最小公倍数的なサービス機能を提供することと、顧客を意図的に囲い込んでいると非難されることの間で、板挟みになっているように思える。
提供:Jake Shepherd/Flickr
顧客の立場から見ると、「サーバやストレージを探す」とき、Linuxまたは「Windows」を搭載し、ファイルを保存するという本質的に同じ特徴を持つ多くのサービスの中から1つを選択することも同様に困難なことだ。顧客は何を基準に選べばよいのだろうか。また、クラウドプロバイダーが顧客の目に見える形で差別化を図るには、どうすればよいのだろうか。
ここでは、クラウドコンピューティングにおいて競合他社との差別化を図るべき5つの重要項目を紹介する。ここで挙げるものがすべてというわけではないし、筆者もすべてのベンダーがこの問題を同じ観点から検討しているとは考えていない。しかし、クラウドサービスの導入を検討している人は、それがSaaSであれ、PaaSであれ、IaaSであれ、サービスを評価するにあたって、まずはこの5つの要素を検討すべきだと思う。また、これらのサービスを販売している人は、次回、要件に関する書類を作成するとき、このリストを概略として使ってほしい。
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運用のしやすさ:これは単純に「使いやすさ」と表現してもよかったのだが、クラウドコンピューティングサービスにおいて「使う」ということは、単に人間がシステムとやりとりすることだけでなく、もっと多くのことを意味している。例えば、10社以上のベンダーに分散されたクラウド上に膨大な数のアプリケーションを展開している企業が、管理可能なサービスレベルで、それらのアプリケーションの監視と管理を行うには、どうすればよいかということだ。
確かに、傑出したユーザーインターフェースを提供する一部のプロバイダーは、他社と差別化を図ることができるだろう。しかし、プロバイダー間の最も重要な違いを決定づけるのは、API、パブリッシュとサブスクライブのイベントストリーム、透明性と監査のためのシステムなど、「舞台裏」のインターフェースだ。
今後、この「運用のしやすさ」の多くの側面が標準化されていくことは間違いないだろう。Open Cloud Computing Interface(OCCI)は、この課題の多くに対処しようという試みの一例だ。しかし、拡張、機能の質、そして一定のカスタムインターフェースによって差別化を図ることは、これからも可能なはずだ。
構成可能性:クラウドコンピューティング環境とは基本的に、インフラストラクチャとソフトウェアアーキテクチャのフレームワークであり、その上に構築されるアプリケーションアーキテクチャに大きな影響力を持つものである。これが現在のクラウドコンピューティング環境について、最も知られていることの1つだ。例えば、「Amazon Web Services(AWS)」の「Elastic Compute Cloud(EC2)」では、各サーバを1つの大規模な共有ネットワーク上に配置することができ、管理トラフィックが(少なくともOS側から見て明示的に)非武装地帯(DMZ)トラフィックから分離することもない。
しかし、アプリケーションアーキテクトが考えければならないのは、自らに与えられたインフラストラクチャアーキテクチャの中で、いかにアプリケーションを構築し運用するかということだ。このことを考慮に入れた優良な書籍も書かれているが、究極的には、ITによって解決したいと願っている問題の複雑さが、自社のインフラストラクチャシステム(サードパーティーからサービスとして提供されているとしても)に求められる構成可能性の水準に、大きな影響を及ぼすだろう。
これに関してIaaSベンダーが容易に改善できるのは、ネットワークアーキテクチャやデータストレージオプション、サーバオプションなどだ。セキュリティシステムやメッセージキューイング、ストレージの階層化といったインフラストラクチャを強化するサービスも効果的である。
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パフォーマンス:筆者は先日、非常に興味深い話を聞いた。あるホスティング企業から電子メールを受け取ったのだが、それによると、AWSからそのホスティング企業へ乗り換える顧客が増加しており、それらの顧客はAWSよりもその企業のパフォーマンスの方が実際に優れていると感じているという。筆者はこの主張が事実かどうか確かめたわけではないが、それでも興味深い主張であることに変わりはない。
処理速度、メモリ速度、ストレージアクセス、読み書き速度、レイテンシ、帯域幅といったものはすべて、テクノロジの買収、あるいはエンジニアリングや運用に関する高度な専門知識を得ることで、クラウドプロバイダーがチューニングできることだ。そして、サーバやストレージと同様に、1ドルあたりの速度が最も優れているものが概して勝利を収める。
クラウドコンピューティング、特にIaaS分野で、RDBMSベンチマーク戦争のようなパフォーマンス戦争が起きても不思議ではない(PaaSやSaaSの分野でも十分に起こり得ることだ)。
信頼性とセキュリティ:この2つの要素をひとまとめにして扱うべきかどうかについては、筆者も迷った。信頼性とセキュリティは同じ概念の異なる側面を表しているからだ。しかし、その核となる概念、つまりリスク軽減は、パブリッククラウドサービスがプライベートデータセンターよりも優れているかどうかを判断するとき、その根拠の大きな部分を占めるため、信頼性とセキュリティは同じ観点から検討されることが多いと筆者は考えている。
クラウドプロバイダーが、信頼性とセキュリティの両方で他社とは違うことを実証するには、まだ時間が必要だろう。しかし、どのようなプロバイダーでも、運用とセキュリティの両方の透明性を向上させる機能を導入することは、今すぐにでもできる。例えば、冗長化された分散データストアや、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃の検出イベントにおける「初期警告」、監査のためのAPIといった機能だ。これらはすべて、管理された方法で「情報開示」を行うものだ。また、顧客のデータや機能を保護し可用性を確保する能力が、ほかのプロバイダーにはまねできないレベルであるという点で、顧客からの信頼度を高めることにもなるだろう。
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顧客サービス:筆者が「big rethink」シリーズの最後の記事を執筆した後、ZeroTouch ITの最高執行責任者(COO)であるKevin Magee氏がある記事を書いた。Magee氏はその中で、クラウドコンピューティングがITへ与える影響について、いくつかのことを新たに予言している。中でも特筆すべきは、クラウドは「ベンダー関係管理がIT組織において重要な案件になる過程」に変化をもたらすと指摘していることだ。まさにそのとおり。筆者は全面的に同意する。
筆者は2008年前半に冗談半分で書いた記事の中で、システム管理者に求められるのは「顧客サービス担当者に電話をかけて、保留状態で待たされることを苦にしない能力」だと述べた。現実問題として、筆者のその意見には真実が含まれているが、プロバイダーにはそうした顧客体験を改善する余地が多く残されている。
プロバイダーができることの1つに、顧客セルフサービスと運用の透明性という点で、技術的な強みにさらに磨きをかけることがある(本稿で「透明性」という言葉が頻繁に出てくることに気づいた人もいるだろう)。筆者は過去の記事の中で、これに関するアイデアをいくつか紹介している。賢明なプロバイダーなら、ほかにもアイデアを思いつくはずだ。
クラウドコンピューティングは、真に破壊的な市場機会の1つであり、企業を生かしも殺しもする。差別化する方法を見つけた者が勝者となるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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