掲載日時: 2010-07-29 08:00

変わりゆくIT業界--注目すべき5つのトレンド

ITのコンシューマライゼーションやネットワークのボーダーレス化など、IT業界における注目すべき5つのトレンドについて説明する。

著者 : 文:Jason Hiner(TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

URL : https://japan.zdnet.com/article/20417491/

 筆者は、2010年7月に開催されたイベントTechRepublic Live 2010において「The Changing Face of IT」(変わりゆくIT業界)と題するプレゼンテーションを行い、IT業界における配備や管理、要員配置の変化にまつわる5つの重要なトレンドについて紹介した。本記事はその概要である。

#1:ITのコンシューマライゼーション

 TechRepublicでは2007年からITのコンシューマライゼーションについて採り上げてきている。なお2007年というと、The Wall Street Journalがビジネスパーソン向けにIT部門の裏をかくためのティップスに関する記事を掲載した年でもある。当時は、職場にPalm Treoを持ち込んだり、承認されていないウェブツールを使って仕事を行ったりするユーザーの数は限られていたため、そういったティップスはたいていの場合、単なる迷惑行為として捉えられていた。

 ところが現在では、ITのコンシューマライゼーションが本格化してきているため、(セキュリティポリシーの厳格な企業や、中央集中型のITインフラを有している企業を除けば)ほとんどすべての企業が何らかの対処を余儀なくされている。従業員は私物であるノートPCやスマートフォンを職場に持ち込み、会社のシステムに接続している。また、在宅勤務や、週に1〜2日自宅で仕事を行う人の数もかつてないほど増えてきている。さらに、さまざまなウェブベースのツールが登場してきており、EvernoteやDropbox、Googleドキュメントをはじめとするツールの多くは、ビジネスユーザーにも好んで用いられるようになっている。

 こういった状況においてはIT部門の役割として、現実的かつ効果的なコンピューティングポリシーを策定するとともに、どういったツールや作業が安全であるのかをユーザーに理解してもらうことが重要になってくる。

#2:ネットワークのボーダーレス化

 ITにおける従来のセキュリティモデルは、企業ネットワークの周囲に巨大な堀を築き、厳重に警護された跳ね橋からしか城内に入れないようにしたうえで、信頼でき、かつ許可を受けた従業員のみがその橋を渡れるようにするというものであった。しかしこういったモデルは、VPNを利用した在宅勤務や、社外でのスマートフォン利用、パートナー企業間のエクストラネット使用など、企業が例外扱いする必要のあるものが増えるに従い、破綻していった。

 その結果、現在のITセキュリティモデルは、ネットワーク保護よりもリスク管理に重点が置かれるようになっている。つまり、最も重要なデータを特定したうえで、誰がどこから、あるいはどのようなデバイスでアクセスしようと、そのデータを保護できるようにするという考えに重点を置くわけである。

#3:クラウドのデータセンター

 企業の本社にとって(あるいは大きな支社にとって)最も費用がかかり、重荷となるものとしてデータセンターを挙げることができる。オフィスビル内の再編時には、データセンターのことを常に考慮する必要があるため(コストが跳ね上がったり、制約が課されたりすることもある)、その作業は困難なものとなる。

 このため一部の企業はこういった状況を打破する道を模索しており、自社内にあるデータセンターの統合や最小化、あるいはデータセンターそのもののアウトソーシングに目を向けるようになってきている。また、企業によっては、Salesforce.comのようなクラウドコンピューティングアプリケーションに軸足を移そうとしている。また、Amazon Web Services(AWS)やRackspaceといったベンダーからサーバをレンタルしようとする企業もある。一方、電力や冷却、通信の冗長性といった問題にわずらわされずにすむよう、サードパーティーのデータセンターから場所を借りるという従来型のオプションを選択する企業もある。

 こういった状況を目の当たりにしたEMCやMicrosoftといったベンダーも、この分野で強力な存在になろうと考えており、サーバをすべて仮想化したうえで、クラウドというソリューションが持つ柔軟性と、自社サーバというソリューションが持つ機密性とセキュリティを兼ね備えた「プライベートクラウド」を作り上げるよう企業に対して働きかけている。

#4:アウトソーシングの状況

 ITプロフェッショナルが「アウトソーシング」という言葉を口にする時には必ず、(特に米国において)あるお約束の言葉が続く。ほとんどの場合、「オフショア移転」という言葉がセットで用いられるのだ。つまり、エントリレベルのヘルプデスク業務や、プログラミングといった作業を、労働コストの低い海外(たいていの場合は東南アジア)に移転するというわけである。

 しかし、アウトソーシングというものは、より大きなトレンドとなっており、オフショア移転はその一部に過ぎない。アウトソーシングはすでにさまざまな形態で活用されており、今後さらに発展するものと見て間違いないだろう。IBMやHewlett Packard(HP)、Verizon Businessといった大手企業は、IT部門の保守業務を肩代わりするサービスを提供している。多くの場合、該当IT部門の人材は同じ場所で働き続けることになるものの、その給与はベンダーから支払われるようになる。そしてこういったサービスを利用することで、常時監視が容易になるという利点がもたらされる。これらの大手ベンダーは、技術者を自社の高度なネットワーク運用センターに常駐させているうえ、より困難な問題に対処できるスペシャリストも必要に応じて用意できるようにしているためである。

 企業がIT部門の保守業務を外部企業に委託した場合、社内のIT部門には業務アナリストやプロジェクトマネージャーが残ることになるわけである。

#5:モバイルというパラダイム

 コンピュータが飛躍的に進化したことで、企業のどの机の上にも、そしてセールスカウンターから倉庫、診察室にいたるまで、人が働くさまざまな場所にもPCが置かれるようになった。ナレッジワーカーにとっては、PCが机の上に置かれているのは自然なことであるものの、常に動き回りながら日々の業務をこなしている他の人々にとっては、PCのあるところにまで行ってデータの入力や何らかの作業を行うというのは効率の悪い業務の進め方となるのである。しかし、そういった状況も変わろうとしている。

 スマートフォンや、(iPadといった)タッチスクリーンを搭載したタブレットに代表されるモバイルコンピュータは、この4年間で大きく進歩した。これらのデバイスはスイッチを入れればすぐに使用でき、タッチスクリーンのお陰ですぐに操作を学習でき、タッチスクリーンを使用するアプリケーションのまったく新たなエコシステムを開拓している。今後は、こういったモバイルプラットフォーム上での開発がさらに増えていくだろう。そして、人々は職場の机に置かれたPCから解放され、より自然なかたちで人々や製品とやり取りできるようになるはずだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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