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クラウド導入の決定と行動経済学--あらゆるバイアスを乗り越えるために |
クラウドコンピューティングの経済学的側面を理解することは、あらゆる規模のIT組織において、運用上適切な判断を下すために不可欠だ。
AT&Tのコーポレートストラテジ担当バイスプレジデントJoe Weinman氏は数カ月前、入門書のような記事の中で、コンピューティングユーティリティに関する数学的手法を説明した。IT組織は、パブリッククラウドコンピューティング、またはストレージユーティリティをいつ選択すべきか。自社アプリケーションの専用システムを選択すべきか、それともパブリッククラウドと社内のクラウドコンピューティングリソースを組み合わせたハイブリッドクラウド環境を選択すべきか。Weinman氏の記事では、こうした疑問などの解決に役立つ公式を紹介している。
提供:Flickr/Tracy O
Weinman氏は6月、その記事へのフォローアップ記事で、クラウドノミクスを別の角度から見ている。今回は行動経済学の観点からだ。この記事では、デューク大学の心理学および行動経済学の教授であるDan Ariely氏の研究に多く言及している。Ariely氏は、著書の「予想どおりに不合理(原題:Predictably Irrational)」で、人間の行動に見られる、さまざまな不合理なバイアスを取り上げている。
Weinman氏は、そうしたバイアスの中で最も関連性の高いものを選んで、クラウドコンピューティング導入に関する意思決定に当てはめた。予想通り、経済学的に望ましいものと、精神的に心地良いものの間には、さまざまな興味深い矛盾が生じる。次のような例がある。
授かり効果--自分がすでに所有しているものを、その購入額以上に高く評価すること。Ariely氏が示したところによると、学生らは、入手困難なデューク大学のバスケットボールの試合チケットに約170ドルまで払っても良いと思う一方で、同じチケットを2400ドル未満では売りたがらないという。選択支持バイアス(選んだ選択肢を正当化し、選ばなかった選択肢を軽視すること)とあわせて考えれば、既存のITテクノロジや組織の資産にかたくなな愛着を抱く気持ちは理解できる。
クラウドが(常にとは言わないまでも)多くの場合より良い経済的選択だということには、覆しがたい証拠があるにもかかわらず、この例が示すように、ITマネージャーはクラウドを導入しない理由を数多く見つけられる。Weinman氏の記事では、こうした「認知バイアス」を10例説明している。
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Hyperstratusの最高経営責任者(CEO)のBernard Golden氏も、評価の高いクラウド関連ブロガーだ。Golden氏もこの議論に加わっており、ITマネージャーに対して、そうしたバイアスを認識し、適切である場合は必ずクラウドを採用するよう熱心に訴えている。
確かに、公表されているケーススタディや事例は、クラウドコンピューティングをインフラストラクチャイニシアチブの基盤として積極的に考慮すべきだとしているようだ。しかし多くの場合に出会うのは、さまざまな実世界での成果に対して経済学者が示す、ジョークとしか見なせないような態度だ。「確かに現実ではうまくいくが、理論的にうまくいくだろうか」
筆者はどちらかといえば、Weinman氏とGolden氏の両方に賛成だ。しかしこの話題には、パブリッククラウド導入の決定という以上の意味がある。両氏は実際、人間性の側面を考えなければパブリッククラウドの導入の方が簡単だという理由を論証する一方で、唯一の不合理な点は、その展開モデルを受け入れることにあるという印象を残している。実際のところ、専用システムやハイブリッドシステムのアプローチを取る方が合理的な場合には、パブリッククラウドサービスの導入は同程度に不合理かもしれない。
Weinman氏が最初のクラウドノミクスの記事に記した計算に注目してほしい。同氏は、専用システムとオンデマンドユーティリティとで、あるアプリケーションを何パーセントずつ稼働させるべきかを決める公式を記載している。つまり、あるアプリケーションの少なくとも何パーセントかを、専用システムで稼働させるべき場合があるということだ。
クラウド導入について多くの人が抱く警戒感は、ある程度は不合理なバイアスが原因であることは間違いない。しかし、パブリッククラウドのコンセプトに最も肩入れしている人々もまた、専用システムが最も合理的である場合には、それを所有あるいは賃借するという正しい判断を避けないよう、注意すべきだ(成功しているインターネット企業の何社かは、すでにこのことに気づいている。ほかの企業は、すでにこの数式で、専用環境での運用の方が自社にとって合理的になるのはいつごろかを特定している)。
全体としてみれば、Weinman氏のクラウドノミクスの研究は画期的なものだ。Weinman氏は、7月にサンフランシスコで開催のStructure 2010で、この話題についてのパネルディスカッションに登場した。筆者もStructure 2010に参加した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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