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クラウドコンピューティングのスケールメリット--大規模プロバイダーを選ぶ利点 |
クラウドコンピューティングはIT運用の経済的側面を変えるとよく言われるが、このテーマに関する決定的な情報ソースを特定できることはあまりない。しかし、クラウドコンピューティングが非常に大きな変化をもたらすと考えられている決定的な理由は、スケールメリットがコンピューティングインフラストラクチャのコストと品質に与える影響である。
提供:James Hamilton
AmazonのバイスプレジデントJames Hamilton氏は、著名なエンジニアでもあり、大規模データセンターのプラクティスに関する真の専門家の1人でもある。Hamilton氏は4月、MIX 10でプレゼンテーションを行っているので、この内容を振り返りたい。それはスケールメリットの概要に関するこれまでのプレゼンテーションの中で、最も有益で影響力の大きいものの1つかもしれない。同氏は運用コストに関して、Amazonのようなパブリッククラウドプロバイダーの方が企業データセンターより有利である根拠を明確に説明した。
しかし、Hamilton氏は自説を展開するなかで、データセンターの設計から、企業とサービスプロバイダーにおける人件費の違いまで、さまざまな話題について多様な見解を示している。
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Hamilton氏のプレゼンテーションの要点を以下に紹介する。
平均的な企業よりも大規模サービスプロバイダーの方が、あらゆるものを(おそらく)安いコストで提供できる。これは「スケールメリットの初級講座」で教わるようなことだ。しかし、Hamilton氏はこの命題を裏付ける独自のデータを示し、平均的な企業のサーバ、ネットワーキング、管理のコストは、大規模プロバイダーのコストの5〜7倍になると主張した。Hamilton氏はこのデータのソースは明示しなかったが、企業の評価については筆者も同意見だ。
データセンター運用のコストでまず挙げられるものは、サーバのコストとサーバに電力を供給するコストだ。Hamilton氏は、サーバの電力コストとサーバ自体のコストの対比に関して一部のベンダーが主張してきたことと幾分異なるコスト計算を示し、データセンターの10年という寿命(サーバ、ネットワーキング、データセンター自体を適切なサイクルで償却している場合)のなかでは、サーバ自体のコストが非常に大きな部分(54%)を占めており、サーバが消費する電力の実際のコストは小さな割合(11%)でしかない理由を説明した。しかし、サーバへの電力供給コスト(とサーバの冷却コスト)を追加すると、サーバの電力に関するコストは大幅に増大する(34%)。つまり、サーバとデータセンターの電力と冷却の設備から、より大きな価値を得ることに注力すれば、データセンター事業者は投資金額あたりの効果を最大化できるということだ。
サーバの電源を切ることは、サーバを常時フル活用することに比べると経済効率が低い。Hamilton氏は、Amazonがスポット料金モデルを採用するに至った経緯を説明した。Amazonが同社のサーバを常時稼働させ、料金を支払っている顧客がそれらのサーバを利用できれば、経済的な観点から見て非常に好都合だ。スポット料金モデルは利用を促進するほか、リソースがほかの目的に必要になった際にリソースの再利用も可能にする。もちろん、既にご存じのこととは思うが。
大規模なコンピューティングプロバイダーとそのベンダーの関係は、ユーザーとベンダーの関係とは異なる。まず、膨大な量を取り引きするので、価格が安くなる。しかし、そのように量が多いことから、サーバベンダーはカスタムサーバ設計に関しても、積極的に大規模プロバイダーと協力している。そのため、市販のコンポーネントを使用するよりも、はるかに効率的になる。
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これまでいろいろと述べてきたが、職務怠慢と言われないように、Hamilton氏がこのプレゼンテーションで言い紛らわしたこともいくつか紹介しておこうと思う。
「好きな色を選んでくれて構わない。ただし、黒色であることが条件だが」。これはHenry Fordが1909年、「Model T」に関して述べた有名な言葉だが、今日の大規模インフラストラクチャとプラットフォームクラウドに関する基本的な事実を踏まえてFordの言葉を言い換えると、「好きなアプリケーションを構築してくれて構わない。ただし、プロバイダーが指定したインフラストラクチャアーキテクチャに適合することが条件だが」となる。インフラストラクチャ自体の構成を変更できる余地は、全く存在しないというわけではないが、極めて限定的である。例えば、「Tomcat」の一部のユーザーは、そのアプリケーションサーバのクラスタリングメカニズムに手を加えて、「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」で機能するようにしなければならなかった。なぜか。Amazonはマルチキャスティングを認めておらず、近いうちにそれを認めることにも興味を示していないからだ。ほかにも、セキュリティ構成オプションが限られていることや、大規模なIaaSサービスのユーザーが「自分でしなければならないこと」の多さ、といった例がよく見られる。それが導入を中止する理由になり得ると言っているわけではない。なぜなら、提供されているもの以外で必要なものはあまりないかもしれないし、「enStratus」のような管理プラットフォームを通して追加のセキュリティ機能を利用できるからだ。しかし、リスク軽減は企業のデータセンター投資における重要な部分である。その点に関して、クラウドに移行した際に受け入れなければならないことを認識しておくのは、無駄なことではない。
価格がすべてではない。基本的なCPU、ストレージ、ネットワーキング機能を可能な限り安い価格で入手することだけがコンピューティングの存在理由であるなら、高可用性インフラストラクチャや高性能コンピューティング、多種多様なデータセンターセキュリティのソフトウェアおよびハードウェアなどの市場は存在しないだろう。より専門的なニーズに対応することなく、そうした基本サービスのスケールメリットの最大化に走れば、それらの大規模サービスがすべてのワークロードに対して適切とは言えなくなるだろう。ここではっきりさせておきたいのだが、Amazonはそのことを分かっていると筆者は思う。
企業データセンターが一晩のうちに消えてなくなることはないだろう。クラウド上に新しいアプリケーションを構築することと、既存システムを移行させることは全く別のことである。Hamilton氏の計算は、完全にデータセンターを運用する視点からのものだ。アプリケーションとデータを再構築し、移動するコストは考慮されていない。そして、コストこそが今後しばらくの間、多くのアプリケーションを内部のデータセンターに留めておくであろう「脱出障壁」である。アプリケーションがプライベートクラウドインフラストラクチャへ移行するかどうかはわからない。しかし、それらのアプリケーションは別のものと置き換えられるまで、あるいは節約できる金額が再構築のコストを正当化できるようになるまで、内部に留まるだろう。AT&Tのビジネス戦略担当バイスプレジデントJoe Weinman氏のサイトは素晴らしいもので、パブリッククラウドコンピューティングによって節約できるアプリケーション関連コストの計算方法について論じている。
インフラストラクチャサービスとプラットフォームサービスがデータセンターの経済面に破壊的な影響をもたらしていることに、誰もが感銘を受けるはずだ。企業IT顧客もベンダーもこの現状を注視し、変化するデータセンター業界でどのように振る舞うべきかを正確に理解する必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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