掲載日時: 2010-09-01 12:00

仕事の中で自分を表現するための7つの発想

仕事の中で自分を表現できれば、さらに面白さも増すだろう。今回は、そのためのヒントとなる7つのアイデアを紹介する。

著者 : 富永恭子(ロビンソン)

URL : https://japan.zdnet.com/article/20419286/

 仕事に慣れ、スキルも上がってきたとき、人には次のステージが待っている。そんなとき、これまでの仕事の仕方やジャッジの方法を見直し、思い切って変革することで、劇的にパフォーマンスが向上することがある。仕事の中で自分を表現できれば、さらに面白さも増すだろう。本稿では、そのためのヒントについて考えてみよう。

#1:まず、前提を疑う

 これは「白を黒と見ろ」という天邪鬼な考え方を勧めるものではない。「いつもこうしているから」とか「これまでもそうだったから」という過去の慣習や常識を鵜呑みにせずに、これに疑問を抱き、冷静にさまざまな角度から検証すべきということだ。物事は、そのスタートラインが肝心だ。出発点で、誤解が生じていると、本来、目指すべきゴールにたどり着けず、求める成果も得られないからだ。

 そして、大切なのは疑問を感じたら、それを言葉に出して周囲に問いかけること。「おかしいな」と感じたのに、間違いを恐れて日和見を決め込んではいけない。ビジネスの本質は、「言われたことをする」のではなく、「良い結果を出す」ことだ。たとえ、自分の疑問が間違っていたとしても、それもひとつの成果となる。むしろ、その積極性が共感されて、より有益なアドバイスがもらえるかもしれない。その結果、視野が広がって、さらに良いアイデアが生まれることもあるはずだ。

#2:思考や情報を書き留めて整理する

 よく、「学校では知識は教えるが、知識の獲得のしかたはあまり教えない」などと言われる。7月に90歳で亡くなった梅棹忠夫氏の著書に「知的生産の技術」がある。1969年に初版が発行されたこの本から「知的生産」という言葉が生まれた。

 この本の中で梅棹氏は、メモのとり方、カードの利用法、原稿の書き方など、知識を獲得するための実践的技術を紹介している。もちろん、40年前といえば、PCは一般に普及しておらず、Googleも存在しない時代だ。この本で紹介された「京大式カード法」を利用しなくても、今では、PCを操れば検索サイトで膨大な情報を取得できる。しかし、効率的な反面、その解釈は浅くなってしまっているかもしれない。情報を深く理解しているか、必要な関連情報の一覧性はどうかと考えると、読んで知るだけではなく、自らメモとして書き留め、整理する必要性はなくなっていないのではないだろうか。

 「整理」をするというこのは、能率の問題だけではなく,思考のための障害物を取り除き、知的な生産が行える環境を整えるということだ。梅棹氏は、「知識を獲得するための基本的技術の訓練不足が研究能力の低下をもたらす」とも語っている。

#3:リアリティに対するセンサを研ぎ澄ます

#3:リアリティに対するセンサを研ぎ澄ます

 インターネットでの情報収集は効率的だが、これにばかり頼っていると、物事の一面しか見えなかったり、逆に情報があまりにも膨大で、全体像がつかめなかったりすることがある。マーケティングリサーチもひとつの方法だが、最大公約数的な結果から導き出される結論は、質問の設定やデータの読み方ひとつで大きなブレを生じてしまう。

 その意味では、情報やトレンドの移り変わりが際限なく加速し、一方で広範な情報へのアクセスが容易な現在は、かえって物事の本質や実態をつかみにくい時代だといえるのかもしれない。

 だからこそ、「リアリティ」が重要となる。

 共感できるリアリティを提示することが、人の心を揺さぶり、動かすのではないだろうか。そのためには、ときには実際の体験を通してアナログな感覚を取り戻すことも必要だ。リアリティのセンサーを研ぎ澄まし、本質的な価値を中心に据えて戦略を組み立てることにより、新たな突破口が見えてくるかもしれない。

 「今の子どもたちは、ゲームやインターネットで遊ぶ時間が増えて実体験が少ない」と懸念する声もある。しかし、当の大人たちも自慢できたものではないと思う。より現実にフィットした感覚を持てるかどうかが、人間としての力の差となって現れてくるのではないだろうか。

#4:「引き出し役」になる

 例えば、仕事としてプロジェクトを進める際、それを構成するメンバーの間に温度差があるとチームはまとまりにくい。また、顧客は顧客で、仕事を依頼した時点で「後は任せた」とばかり、自分たちの手を離れた「他人ごと」にしてしまっていたりする。そうした中での苦労を味わったことのある人は多いと思う。

 プロジェクトに関係する全員のやる気や一体感を引き出すためには、情報を交換し合いながら、共感を高めることが重要だ。そして、そのためには、情報の「引き出し役」が必要となる。この「引き出し役」を買って出るというのはどうだろう。

 「冗談じゃない。それはプロジェクト責任者の仕事だ」と思うかもしれないが、私は「引き出し役」には得るものも多いと思っている。「引き出し役」は、トークショーの司会者のようなものだ。打ち合わせや会議の席でも、分担した自分たちの進捗をそれぞれが報告するだけに終わらせず、みんなの意見をスムーズに引き出す役割に徹しなければならない。それなりに苦労もあるし、気遣いも必要になる。しかし、プロジェクトに積極的に関わることで、新鮮な視点でプロジェクトを活性化することができるだけでなく、自分自身をも活性化するきっかけにもなる。

#5:ゲームの「コマ」ではなく「プレーヤー」になる

#5:ゲームの「コマ」ではなく「プレーヤー」になる

 「私は、幼い子どもたちが、好奇心大盛に遊びに夢中になっている姿を見るたびに、人間の本質とは、積極的な自発性だと確信する。何に対しても好奇心を示さず、自発的でない子どもなど見たことがない。つまり、人は、自発的に行動するように初期設定されているのではないか? そして、人が受動的になるのは、人の本質というより、なにかが原因で後天的に設定が変わってしまっただけではないのか?」−−

  米国のクリントン政権下で、Gore副大統領の主席スピーチライターだったDaniel Pink氏は、自身の著書「Drive」(大前研一氏が翻訳した日本語版のタイトルは「モチベーション3.0」)の中で、このような内容のことを語っている。

 Pink氏は、人の設定を「受動的」に変えてしまう要因のひとつは、マネジメントかもしれないとも言っている。そしてそれは、「マネジメントの持つ幅広い指導原理が、学校や家庭、その他多くの生活の局面に入り込んでいるためだ」という。昔はそれでもよかった。むしろ、理にかなった手段だった。しかし、現代では、個人の充足感だけでなく、経済的達成の面においても「自主決定性」に軸が置かれるようになっている。

 つまり、マネジメントに「反応」しているだけではダメで、「自分の意志と選択による行動」が必要だということ。そのために、人間の先天的な能力である自己決定力を強化する必要がある。私もこの意見に賛同する。自分で決め、実行したことは、成功すればその達成感が大きいだけでなく、たとえ及ばなくても「やるべき事はやった」という納得があり、後悔は少なくなる。

#6:自分のオリジナルチームを結成する

 会社で配属される部署やセクションは、いわば「人事的にあてがわれたチーム」だ。もちろん、企業に所属する限り、この人事的に編成されたチームの中で、腕を振るわなくてはならない。

 しかし私は、この人事的チームとは別に、自分のオリジナルチームを作ることを勧めたい。例えば、それは同期入社の中で、自分がこれはと見込んだ仲間だったり、セクションやキャリアを超えて興味を持った人だったりする。仕事の関係で知り合った社外の人もいいだろう。つまり、日常の環境の垣根を超えて、情報交換や相談ができ、モチベーションが高まるような知的な刺激を与えてくれるチームを、自分がハブとなって能動的に作り上げることが大切なのだ。自分を取り巻く環境を自分自身がデザインすることで、世界が広がり、仕事のスタイルも変わってくる。

#7:未来に向けたストーリーを描く

 問題を解決するためには、思考や情報を整理して、コンセプトやビジョンを導き出し、適切な形にして、わかりやすくその価値を伝えていく必要がある。

 そこで重要となるのは、解決までの「ストーリーを作り出す」ことだ。

 一つひとつの思考や情報は、バラバラのコンテンツにすぎない。そこで、それぞれのコンテンツや情報同士を因果関係でつなぎ合わせて、ひとつのストーリーとして再編する。コンテンツからストーリーを作ることができれば、全体像が浮かび上がり、そこからさらに未来に向けたストーリーを描くことができる。そうすれば、示すべきコンセプトやビジョンはより明快になるはずだ。

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