掲載日時: 2011-12-21 12:14

ストールマン、オープンソースの流行に複雑な心境 Linuxには一定の評価

リチャード・ストールマン氏が6月にドイツで講演した。オープンソースはフリーソフトウェアの最も重要な倫理の問題を完全に無視しているとして、「私自身は、オープンソースという用語と関連付けられることを拒否する」と言い切った。

著者 : 末岡洋子

URL : https://japan.zdnet.com/article/35012377/

 Richard Stallman氏は、ユーザーがコードを自由に改変したり再配布できる「フリーソフトウェア」という考えを提唱した人物だ。1985年に非営利団体のFree Software Foundationを設立し、以来、フリーソフトウェア運動を続けている。氏は「Emacs」などのソフトウェア開発でも知られており、技術と文化の両方に大きな影響を与えている。

 そのStallman氏が6月、ドイツ・ベルリンにあるブランデンブルグ科学アカデミーのデジタルイニシアティブ「TELOTA」10周年を記念したイベントに出席し、「コンピュータネットワーク時代における著作権とコミュニティ」をテーマに講演した。

 本稿では、この2時間以上にわたるスピーチを紹介したい。

フリーソフトウェアとは

 今回は「フリーソフトウェアがテーマではない」と言いつつも、Stallman氏のスピーチはいつものようにフリーソフトウェアという考え方の解説からスタートした。土台にあるのは「自由(Freedom)」(同氏)だ。

 「あなたとコミュニティの自由を尊重するソフトウェア——それがフリーソフトウェアだ」とStallman氏は言う。氏が「基本的自由」と定義するものは4つある。

  1. ユーザーが望むようにプログラムを動かす自由
  2. ソースコードを調べ、望むように変更できる自由
  3. 他の人を助ける自由(複製を作成して再配布できる自由)
  4. コミュニティに貢献できる自由(改変したバージョンを再配布できる自由)

 Stallman氏は、フリーソフトウェアとは「ソフトウェアを配布する倫理的な方法である」とする。これらの自由がないプロプライエタリソフトウェアは倫理的な方法とはいえず、「不公平な力を生み、デジタルの植民地化が進む」と警告する。

 Stallman氏が挙げた4つの自由は、商用か非商用かを問わず、すべての活動に関係するものだ。しかも、これらは必須ではないし義務でもない。フリーソフトウェア運動に協力するかどうか——これも自由なのだ。

 フリープログラムを使うことの効果は社会の発展だ。プログラムは知識であり、フリーなプログラムはユーザーが自由に理解し、受け入れ、拡張し、再適用できるからだ。

 一方プロプライエタリなプログラムを書くことは「人々を服従させるという企て」であり、「社会的にみれば、自由を失わせる落とし穴だ」とStallman氏はみる。それ故、プロプライエタリソフトウェアの利用は社会的な問題であり、無くしていく必要があると説く。

 「目標は“ノーモア・プロプライエタリシステム”」とStallman氏は述べ、「フリーソフトウェア運動は、すべてのプログラムがフリーになること、すべてのユーザーがフリーになることを目指している。これは技術的区別ではなく、ユーザーの自由を尊重するか、奪うかだ」と続けた。

GNUとLinux

 Stallman氏は1983年にフリーソフトウェアのOS「GNU(GNU Is Not Unix)」を発表した。GNUは1992年に完成したが、カーネルだけが未完成であった。これを解決したのが、当時フィンランドの学生だったLinus Torvalds氏だ。

 「Linuxカーネルは、GNUシステムに残されていた最後のギャップを埋めた。多くの人がLinuxというが、GNU+Linux、またはGNU/Linuxと呼んでほしい」と来場者に呼びかけている。

 Linuxは、ソースコードを公開しコミュニティで開発するというモデルへの注目を集めた。しかし、その後の「オープンソース」人気についてはStallman氏の心境は複雑なようだ。

 「倫理的な問題よりも実用的な部分に興味がある人々が、われわれの取り組みを利用して“オープンソース”という言葉を使うようになった。だが、定義はフリーソフトウェアと完全に一致せず、最も重要な部分——倫理レベルでの問題を完全に無視している」と述べ、「私自身は、オープンソースという用語と関連付けられることを拒否する」と言い切った。

フリーソフトトウェアの挑戦——著作権問題

 スピーチの主題となった著作権問題は、数年間にわたって考え続けたテーマだ。Stallman氏は過去にフリーソフトウェアに関するスピーチした後で、同じ考えを他のこと(たとえば出版や公開される作品)にもあてはめることができるか、何度か質問されたからだ。

 次回(12月22日掲載)は複製技術の進化や著作権の変遷を踏まえつつ、氏が「デジタル手錠」と呼ぶ制限技術と電子書籍に関する発言を紹介する。

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