オレゴン州ビーバートン発2006年6月26日 Portland Projectのベータ版リリースにより、間近になったデスクトップLinuxの統合

今夏の最終版で、ISV各社が製品安定性を確認できるようポートランドのチームがベータ版をリリース

Open Source Development Labs

2006-06-27 09:00

先進的なLinuxデスクトップ上に、アプリケーションを移植し、統合するプロセスを飛躍的に簡略化することを目指す共同事業である「Portland Project」は、GNOME と KDE 両環境のプログラミングインタフェースのベータ版を公開したことを発表いたしました。 またいくつかのグローバルなリナックスディストリビュータがPortland Projectツールの早期バージョンでアプリケーションベンダーをサポートすることを表明しました。
KDE Alliance DirectorであるAaron J. Seigo氏は次のようにコメントしています。
「バージョン1.0のリリースまでのテクニカルプレビューは成功を収め、Portland Projectがいかに効率的にISV各社の実際のニーズに対応できるかを示してきました。これは、誰でもが使える具体的なオープンソースソリューションを提供するために、産業界とコミュニティがどのように協力することができるかを示す良い例です。この結果、産業界とコミュニティの間でもっと多くのやりとりが行われることを期待しており、Portland Projectを最大限に活用したソフトウェアが登場するのを楽しみにしています。」

エンタープライズ・コンピューティングにおいてLinuxの採用加速に取り組むグローバルコンソーシアムでありデスクトップLinux(DTL)ワーキンググループを擁する米オープン・ソース・デベロップメント・ラボ(Open Source Development Labs、以下 OSDL)、ならびに、デスクトップ環境でのX Window Systemとのインターオペラビリティ(相互操作性)とシェアード・テクノロジーにフォーカスするオープンソースプロジェクトであるfreedesktop.orgは、「Portland Projectのベータ版」を以下で公開しています。
(リンク »)

GNOME Foundation のボードメンバであるVincent Untz氏は次のようにコメントしています。
「アプリケーションをユーザのデスクトップと統合することは、ユーザが利用したいFree Desktopを提供するのに必要不可欠です。ISDおよびISV各社は、自社のアプリケーションをあらゆるユーザに提供したいと考えていますが、特定の環境に向けてそれぞれのバージョンを用意する余裕はありません。Portland Projectは、さまざまなFree Softwareプロジェクト間の協業することが、どのように実際の課題に対するソリューションになるかという良い事例であり、われわれは、今回のベータリリースがコミュニティならびに産業界に受け入れられることを希望しています。」

Portland Projectのベータ版は、ISV各社が自社のアプリケーションを主要なLinuxデスクトップ環境にインストールするのを支援する一連のコマンドラインツールを提供します。
Portland Projectのプログラミングインタフェースは、開発者に自動的な実装を行う使いやすいツールを提供するために、業界で定評のあるfreedesktop.orgの仕様に基づいて開発される予定です。
また、このインストールサポートに加えて、Portlandは、Webブラウザの起動や、eメール作成のような最も一般的に使われる統合タスクを自動化します。
Portlandインタフェースは、Qt やGtk+のようなツールキットを補強するので、ISV各社は、それぞれのニーズに最適な開発ツールキットを選択することができ、ユーザが選択するデスクトップ環境を考慮する必要はありません。

◆Portland Project Betaツールは以下を提供します。

◇インストレーションツール
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
xdg-desktop-menu
: デスクトップメニューをインストールするためのコマンドラインツール
xdg-desktop-icon
: デスクトップにアイコンをインストールするためのコマンドラインツール
xdg-mime
: ファイルタイプディスクリプションをインストールするための
コマンドラインツール
xdg-icon-resource
: アイコンリソースをインストールするためのコマンドラインツール

◇ランタイムツール
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
xdg-open
: ユーザが利用したいアプリケーションで、ファイルまたはURLを開く
xdg-email
: ユーザが利用したいEメール作成アプリを使ってEメールを送るための
コマンドラインツール
xdg-screensaver
: スクリーンセーバを制御するコマンドラインツール
xdg-su
: rootパスワードを入力した後で、root権限でプログラムを実行


OSDLのDTLワーキンググループイニシアティブマネージャであるJohn Cherryは次のようにコメントしています。
「Portland Project のベータ版を公開することにより、ISV各社が綿密にインタフェース機能を検証・テストし、われわれにフィードバックする機会を提供することができ、これによりPortland 1.0を非常に安定したものにすることができるでしょう。今回のようなレビューとアドバイスにより、Linuxディストリビューターをはじめとする各社は、早ければ今年の9月には、最終的なプログラミングインタフェースを彼らの製品に採用することができるでしょう。」

Portland Projectは、Linuxディストリビューションや、Linuxデスクトップ環境が何であれアプリケーションが稼動可能になるよう、ISVのためのインターオペラビリティの問題を改善するために、2005年12月に開始されました。この取り組みは、デスクトップでのLinuxや、オープンソースのオフィスアプリケーションの採用を加速するようになると期待されています。

Portland Projectリーダーであるfreedesktop.orgのWaldo Bastian氏は次のようにコメントしています。
「Linux Standard Base 3.1の最新リリースは、ISV各社が多くの異なるLinuxディストリビューションを容易にサポートできるように支援します。Portland Projectは、それをさらに拡大するもので、ISV各社は、特にどれをターゲットにすることなく、自社のアプリケーションを主要Linuxデスクトップ環境に容易に統合できるようにするものです。これらの取り組みにより、ISV各社は、単一のプラットフォームとしてLinuxデスクトップをターゲットにすることができ、Linux分野への投資効果を最大化できます。」

◆業界各社からのサポートコメント

◇RealNetworks Inc.のプロダクトエンジニアリング担当バイスプレジデントである
Jeff Ayars氏のコメント
「ビジネスあるいは個人のデスクトップ用OSとしてLinuxの利用が増加するにつれて、Portland Project のベータ版で提供されるような標準化されたインタフェースとツールは、RealNetworksのメディアプレイヤーであるRealPlayerの開発を速め、互換性を向上させ、また、Helix PlayerおよびHelix DNA Client Multimediaフレームワークを自身のプロジェクトや製品に利用する開発者の役に立つでしょう。xdg-mime やxdg-openのようなツールは、メディアプレイヤーのようなマルチフォーマットのインターネットアプリケーションにとって重要なOSサービスを提供します。また、それらが標準的なOSサービスとなることで、多種類のLinuxディストリビューションで稼働する製品を提供しようとするISV各社のテスト負荷を著しく軽減することができます。」

◇Turbolinux, Inc.のコーポレートマーケティング 担当バイスプレジデントであるLinda Arai氏のコメント
「Turbolinuxは、アプリケーションを複数のデスクトップ環境で稼働可能にするツールが提供されることに非常に期待しています。弊社では、アプリケーション開発者を支援するために、Portland Projectのベータツール群を我々の開発部門で使用し、今後のTurblinux製品に含める予定です。」

◇OSDLのメンバでありLinuxシステム管理ソフトウェアを提供するOpen Country のCOOであり
共同創設者のLaurent Gharda氏コメント
「OSDLのPortland Projectは、Open CountryのようなISVにとって非常に価値の高いものです。Open Countryは、ソフトウェア開発コストを削減し、われわれのデスクトップLinuxの管理ソリューションのグローバル市場をさらに開拓するために、Portland Projectインタフェースの仕様が安定したら、フルに活用する計画です。」

◇CodeweaversのCEOであるJeremy White氏のコメント
「Linuxの利用、Linuxがもたらす選択の自由が増えており、われわれは、できるだけ多くのさまざまなLinuxディストリビューションやLinuxデスクトップで選択できるよう確実にサポートし続けていきたいと考えています。Portlandプログラミングインタフェースは、現在よりもシンプルな形でこれを可能にしてくれます。単一の標準ツールとして使いやすいツールを得ることができ、Linuxのいろいろな種類をサポートするために必要だった時間がかかる作業をしなくてすむようになります。」

用語解説

________________
■freedesktop.orgについて
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
freedesktop.orgは、X Window Systemでオープンソースデスクトップ間の相互操作性を促進するために2000年3月に組織されました。Xデスクトップは、UNIXライクなOS上で稼働するX Window Systemのための技術的に優れたユーザフレンドリな環境を提供するために設計されたグラフィカル環境です。ほとんどのXデスクトップは、デスクトップとうまく統合できるアプリケーションを作成するための開発基盤を提供します。

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■OSDLについて
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(リンク ») (英語)
(リンク ») (日本語)
OSDL(Open Source Development Labs)は、Linux開発者であるLinus Torvaldsが所属しており、Linuxの成長とエンタープライズでのLinux採用を促進することを目的としています。2000年にCA、富士通、日立、HP、IBM、インテルならびにNECにより設立され、LinuxユーザならびにIT業界のリーダー企業から成るグローバルなコンソーシアムにサポートされたNPO(非営利団体)です。OSDLは、通信、エンタープライズデータセンタおよび企業のデスクトップなどで利用されるLinuxに関する業界全体にわたる取り組みを支援しています。

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