指定管理者のモニタリング・評価、9割が「必要性感じる」と回答

一部自治体で基本方針・ガイドライン等策定の動きも

みずほ情報総研株式会社

2006-12-21 11:00

みずほ情報総研株式会社(本社:東京都千代田区、社長: 小原 之夫)は、全国の地方自治体に対して「指定管理者のモニタリングに関するアンケート」調査を行い、このたび調査レポートとしてまとめましたのでご案内いたします。

指定管理者制度は、地方自治体が設置する公の施設の管理運営に民間企業のノウハウを活用することで、管理コストの節減および住民サービスの向上を図ることを目的とするもので、2003年9月の「地方自治法の一部を改正する法律」の施行に伴い導入されました。本年9月に、従来の管理委託制度から指定管理者制度への移行期間が終了し、今後、本格的な運用段階に入ることから、PFI(Private Finance Initiative)※1や市場化テスト※2などとともに地方自治体における民間活用施策のひとつとして期待されています。

みずほ情報総研では、制度導入直前の2003年5月と導入後の2004年9月および2005年5月の計3回にわたり、指定管理者制度に関するアンケート調査を実施してきました。これまでは、制度導入期との位置付けのもと、民間活用の実態や指定管理者の募集・選定手続きを中心に調査を行ってきましたが、4回目となる今回の調査では、今後の運用期における地方自治体の関心は、制度の導入目的を達成するために、いかにモニタリング・評価を実施していくかに移っていくとの考えのもと、モニタリングに焦点をあてアンケートを実施しました。指定管理者制度の導入目的は、住民サービスの質向上とサービス提供コストの節減にあり、この目的を達成するために、自治体と指定管理者が合意した事業計画の取り組みや進捗状況、成果についてモニタリング・評価する必要性が高まっています。

今回のアンケート調査から、自治体においては、モニタリング・評価の必要性を強く感じる一方で、具体的な評価基準や評価指数の設定の難しさなどから、組織的に取り組みを行っている自治体はまだ少数であることがわかりました。そのような中でも、モニタリング・評価に関する指針を作成するなどの動きが見られるようになってきており、今後、他の自治体にも波及していくものと考えられます。

<アンケート調査の概要>
目的: モニタリングの必要性に対する認識や取り組み状況を把握する
対象: 47都道府県および全市区町村の計1,909団体の行財政改革担当者
調査期間: 2006年7月12日~26日
回収数: 1,064件
回収率: 55.7%

主な回答は次のとおりです。

【指定管理者制度の導入状況】

・アンケート調査実施時点で、指定管理者制度(以下、「新制度」という。)をまだ導入していない自治体が90団体(8.5%)あった。一方、新制度導入済みの936団体(91.5%)の指定済み施設数は全体で33,114施設、一自治体平均約35施設であった。

・指定管理者として民間企業を指定している自治体は722団体(67.9%)で、その数は7,767施設、一自治体当たり平均約11施設であった。一方、民間企業を指定していない自治体は226団体(21.2%)であった。

・アンケート調査実施時点で、今後新たに指定管理者を指定する予定のある自治体は589団体(55.4%)であり、その数は7,550施設、一自治体当たり平均約13施設となっている。

【モニタリング・評価への取り組みについて】

・モニタリング・評価について、「必要性を強く感じる」としている自治体が317団体(29.8%)、「ある程度、必要性を感じる」としている自治体が623団体(58.6%)となっており、両方で全体の9割近くを占めている。新制度導入により新たに管理運営主体になることが認められた民間企業に対しては、従来の外郭団体等に対する職員派遣や予算を通じたガバナンスは機能せず、協定に基づく一種の契約的関係による統制が求められていることが、モニタリング・評価の必要性をより強く認識させる一つの要因になっているものと考えられる。

・モニタリング・評価について全庁的立場からこれを検討・推進する担当部署が「ある」とした自治体は243団体(22.8%)、「ない」とした自治体は787団体(74.0%)となっている。また、モニタリング・評価に関する統一した指針等を策定しているとした自治体は28団体(2.6%)、「策定中」と回答した自治体は18団体(1.7%)、「今後、策定する予定」と回答した自治体は85団体(8.0%)にとどまっている。モニタリング・評価の必要性を強く感じる一方で、組織的に取り組んでいる自治体はまだ少数であった。

・モニタリング・評価の課題としては、「評価基準や指標の作成が難しい」(713団体、67.0%)、「モニタリング・評価自体の負担が大きい」(335団体、31.5%)、「モニタリング・評価の手順・実施方法がわからない」(295団体、27.7%)などが指摘されている。

本調査の詳細については、こちらをご覧ください。

(リンク »)

指定管理者制度の導入に関するアンケート調査(前回調査)については、こちらをご覧ください。

(リンク »)

※1
「PFI(Private Finance Initiative)」:公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法。1999年7月に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)が制定された。

※2
「市場化テスト」(官民競争入札):これまで「官」が独占してきた「公共サービス」について、「官」と「民」が対等な立場で競争入札に参加し、価格・質の両面で最も優れた者が、そのサービスの提供を担っていくこととする制度。


■ニュースリリースに関するお問い合わせ
みずほ情報総研株式会社
広報室 佐藤 綾子、穂苅 由紀
TEL: 03-5281-7548
E-mail: info@mizuho-ir.co.jp

■調査レポートの内容に関するお問い合わせ
みずほ情報総研株式会社
社会経済コンサルティング部 都市・地域チーム
青木 頼幸、清水 徹
TEL: 03-5281-5404
E-mail: info@mizuho-ir.co.jp
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