― 日経マーケット・アクセス特別報告書「ネット動画ビジネス市場調査2009」より
若者のテレビ離れが指摘されているが、若者は本当にテレビを見ないのだろうか。 日経マーケット・アクセスがこのほど動画サイトの利用に関する調査を実施したところ、若者がネットでテレビ番組を見ているという興味深い結果が出た。調査では、ゲーム機や携帯電話機、スマートフォンなどの各種端末からのコンテンツ利用の現状、インターネットに接続できるテレビ(インターネットTV)の利用意向などについて調べた。調査結果をまとめた報告書「ネット動画ビジネス市場調査 2009」から、パソコンまたはテレビで視聴する動画についての内容の一部を紹介する。
2008年12月からNHKの有料配信「NHKオンデマンド」が始まり、テレビ番組コンテンツの可能性が実際に試される場として関係者の注目を集めている。日経マーケット・アクセスの調査でも、「見たい有料コンテンツがあった場合、いくらなら支払うか」というような支払い意向を調べたが、その額はコンテンツや付随するサービス内容に大きく左右されるようだ。NHKオンデマンドについても言えることだが、要するに利用者が「支払っても視聴しいたい」と思うかどうかが焦点となる。
無料のネット動画でも「つまらない動画を見せられてがっかりした」というような回答者の意見は多い。視聴に要した時間の価値が問題とされる。では誰が、どのようなネット動画を視聴しているのか。これらを調べるため、有料、無料を問わず、パソコンまたはテレビで視聴する動画コンテンツを調べた。
■ 60歳未満は各年代とも1位に投稿映像作品 ■
動画サイトで視聴する動画コンテンツは、年齢によって相違がある。このため年齢層別の視聴状況を把握することによってネット動画の利用実態をより具体的につかむことができる。ここでは29歳以下、30歳台、40歳台、50歳台、60歳以上に年齢を分けて、視聴の多い動画の種類を調べた。
動画の種類は、「大雑把に言うと視聴者が提供する投稿動画」、「Webサイトが提供するWebサイトのオリジナル・コンテンツ」、「既存メディアのコンテンツを提供する映画、テレビ番組などのコンテンツ」に分けた。
結果は、最も視聴されていたのは、29歳以下~50歳台までの年代で共通して1位に挙がった「動画サイト用に制作された投稿映像作品」である。急速に利用が広がった投稿動画の視聴が、既に幅広い年齢層に定着していることが分かる。
投稿動画以外でこれまでに視聴や視聴意向が多かったネット動画は「Webサイトのオリジナル・コンテンツ」あるいは「映画の予告」などだ。いずれもWeb上の定番とも言えるコンテンツである。しかし、29歳以下の場合、視聴の2位に挙がったのは、これらのいずれでもなく、「テレビ番組の一部」だった(図1)。「Webサイトのオリジナル・コンテンツ」と「映画の予告」はどちらも29歳以下が視聴するネット動画で3位までに入らなかった。
「テレビ番組の一部」は、テレビ局のサイトで視聴しているもののほかに、動画共有サイトに投稿された動画もあると考えられる。また無料コンテンツであり、手軽に視聴できるのが特長。この「テレビ番組の一部」は、30歳以上にも視聴されているが、30歳台で2番目ではなく3番目へと順位が一つ下だった。表のランキング4位以内にはないが、「テレビ番組の一部」は40歳台では4番目、50歳台と60歳台では5番目と、徐々に視聴順位が低下する。50歳台などはテレビ好きとされるが、ネットではテレビ番組コンテンツの視聴する人が多いわけではない。若年層ほどよく見ているコンテンツだと言える。
さらに、29歳以下でランキング3位に入ったのは「テレビ(1本分)」だった。“1本分”となると積極的にコンテンツを選んで視聴している可能性が高い。3位までの上位に「テレビ(1本分)」が登場したのは29歳以下だけである。
40歳以上になると、上位3位以内に短めの動画として「映画の予告」が入ってくる。4位以降まで見ると、50歳以上は「テレビ番組」よりも「映画」を視聴する傾向がはっきり読み取れる。
これに対して,30歳台までの年齢層,特に29歳以下の若い年齢層は「映画」よりも「テレビ番組」を視聴していることが今回の調査で分かった。若者のテレビ離れが指摘されているが,時間の制約のないネットで見たいテレビ番組コンテンツを視聴している可能性がある。メディアの実態をとらえ,テレビ番組コンテンツの方向性を展望するには,このようなネット動画視聴の実態も考慮する必要があるだろう。
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