セキュリティ市場:2011年はソフトウェア3.6%増、アプライアンスが7.2%減

田中好伸 (編集部)

2012-06-13 16:11

 IDC Japanは6月13日、国内セキュリティ市場の2011年実績と2016年までの予測を発表した。2011年のセキュリティ市場の中で、ソフトウェア市場が前年比3.6%増の1856億円、アプライアンス市場が前年比7.2%減の272億円、サービス市場が前年比5.9%増の6544億円となっている。

 東日本大震災の影響からIT支出抑制が強まった2011年、国内のセキュリティ市場では、防衛関連企業や官公庁を狙った標的型攻撃の事件が相次いで発生したことで、脅威への認識が高まっている。スマートフォンやタブレット端末に対するセキュリティ対策が新しい市場になるなど、ソフトウェア市場は活性化していると説明する。

 2012年以降は、クラウドサービスの利用拡大、スマートフォンなどのモバイル端末の需要拡大などから、アイデンティティやアクセスの管理、セキュアコンテンツや脅威管理などの分野を中心に需要が拡大すると見ている。2011~2016年の年平均成長率(CAGR)は4.3%、市場規模は、2011年の1856億円から2016年には2286億円に拡大すると予測している。

 2011年の国内セキュリティアプライアンス市場は、市場規模の大きいファイアウォール(FW)/仮想私設網(VPN)や統合脅威管理(UTM)で震災の影響で出荷が落ち込み、マイナス成長になっている。2012年以降は、モバイル端末が普及してリモートアクセスの需要が増し、FW/VPNやUTMが拡大するとみている。巧妙化する標的型攻撃の増加で不正侵入検知システム(IDS)/不正侵入防御システム(IPS)へのニーズも高まるとみている。2011~2016年のCAGRは3.0%、市場規模は、2011年の272億円から2016年には316億円に拡大すると予測している。

 セキュリティサービス市場は、大震災以降、所有から利用への大きな流れで堅調に成長。巧妙化した標的型攻撃の増加で、専門性の高いマネージドセキュリティサービスへの需要が高まっている。この状況は2012年以降も続くとみている。2011~2016年のCAGRは8.5%、市場規模は、2011年の6544億円から2016年には9838億円に拡大すると予測している。

図 2011~2016年のセキュリティソフトウェア市場セグメント別売上額予測(出典:IDC Japan)

 セキュリティ上の脅威は、複数の攻撃手法を組み合わせるなど複雑化している。企業でのセキュリティ対策は、インシデントが発生することを前提として、状況を常に監視して感染を早期発見、被害の拡大を速やかに阻止できる総合的な対策が必要としている。

 IDC Japanの登坂恒夫氏(ソフトウェア&セキュリティリサーチマネージャー)は「セキュリティベンダーは、ウイルスやスパムなどの外部の脅威対策だけでなく、ID管理や情報漏洩などの内部での脅威対策、セキュリティの状況を把握するためのセキュリティ/脆弱性管理の導入も促進すべき」とコメントしている。

 その上で「導入においては、コストの低減や工期短縮に効果的なSaaS型を活用するなど、ソフトウェアやアプライアンスを使った自社構築、運用とSaaSを組み合わせたハイブリッド型の導入提案が有効」と提唱している。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]