「好きなようにやれ」という言葉の裏側にあるもの--田代センセーのメンタルテクニック(9)

田代真人(マイ・カウンセラー)

2009-04-02 08:00

 みなさんこんにちは! マイ・カウンセラーの田代です。不安や悩みを自己解決するメンタルテクニック。前回は、自転車の乗り方を例に挙げ、物事の本質について解説しました。今回のテーマは、実社会でその「本質」を見抜く考え方について話します。

上司の言葉の本質はどこにある?

 前回、とても信頼できて、かつ部下を信頼してすべてを任せてくれる上司Aさんに、「好きなようにやっていいよ。この件は任せた」と言われたBさんの話をしました。Bさんは自分なりに成果が上がるよう、一生懸命考えて実行しましたが、結果が出る前に上司のAさんに呼び出され、大目玉を食らってしまいました。Bさんのアタマの中は「???」。だって、好きにしていいと言ったのに……。

 この場合の本質とは?

 「好きなようにやっていいよ!」--こういう一見気前のいい上司はけっこういますよね。しかし、実際には本当に好きなようにはやらせてくれないこともよくある話です。さて、この問題のとらえ方と考え方は……?

 言ってみれば、これはある種の「ワナ」なんです。上司本人はワナにかけようなどと考えていないかもしれませんが、この言葉を受けた人間にとっては、まさしくワナそのものなんです。「好きなようにやっていいよ!」という言葉の裏側を見抜かなければならないのです。

 言葉の裏側…… つまり、そう言った上司本人も人間。であれば、感情もある。そういう人間の「好きなように」という言葉の裏側は、実は「上司本人が思う、納得できる好きな方向で」という意味なんですね。その上司が満足する方法でやることが、「好きなようにやること」というわけです。決して、あなた本人がやりたいようにやることではない。

 となると、あとは想像力の世界です。上司の期待に応えるために、彼の「期待」を想像できなければなりません。あなたが上司になりきって考えなければならないわけです。

「この上司がやるとすると、この案件はどう処理するだろうか?」 「彼だったらどうするだろう?」 「ボクになにを期待しているんだろう」

という考え方から、その案件の処理は始まります。仕事の評価とは、結局のところ評価する人が喜べばいいわけです。つまり上司を喜ばせる。人の顔色を見て仕事をするのはイヤだと思うかもしれませんが、突き詰めればそうなります。あなたの想像力が適切であれば、頭ごなしにダメ出しされることもないでしょうし、むしろ助言を与えてくれることでしょう。

 あなた自身が、その上司を好きかどうかは別の話です。たとえ嫌いだと思っていても、現在勤務する会社で自分がやりたいことを実現するためには、上司を「手なずける」ことも必要です。そのための手段として、本質を見抜く必要があるのです。

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