ITサポートがユーザーに教えておくべき基本十則

文:Becky Roberts 翻訳校正:吉井美有

2006-08-29 10:00

 効率的に仕事をこなして会社に価値をもたらそうとすれば、ユーザーは最低限の情報テクノロジを理解しておく必要がある。実際にどのようなことを知っておくべきかは、ユーザーが置かれている環境によって大きく異なる。とはいえ、大半の組織のユーザーは、最低でも問題の効率的な報告方法や自分のデータの保護方法などの、コンピューティングにおけるある種のベストプラクティスを理解し、それらに沿って行動する必要がある。

 そして、こういった情報をユーザーに与えるのがITサポート担当者の責任となることは多い。そこで、ITサポート担当者がユーザーに教えるべきとわたしが考える最重要項目10個を以下に挙げてみたい。わたしの挙げることを変更するなり、あなた自身の考えを加えるなりして活用してほしい。

#1:支援を求める前に再起動する

 問題に直面したら再起動するようにとユーザーに伝えておくことは、問題からの逃避や問題の先送りのように見られるかもしれない。しかし厄介なことに、再起動は明らかに多くの問題(実在するものと、問題であるかのように見えるものの双方)を解決するという事実がある。そして、再起動によって問題が解決されない場合であっても、再起動後では問題を解消できないという一片の事実は、抜け目のないITサポート担当者にとっては問題切り分けのための重要な情報となりうる。再起動は、PCにまつわるすべての問題に対する万能薬ではないし、場合によっては禁じ手のことさえあるが、正しく適用すれば、ユーザーにとって有効かつ簡単な手法となる。

#2:PCの問題を報告する

 ユーザーは、PCの問題を報告する正しい手順(「ヘルプデスクに電子メールで連絡する」など)を知っておくことに加えて、問題解決プロセスを円滑に進めるためにどういった情報が役立つのかを知っておく必要がある。適切な情報を収集するためのひな形を提供することによって、問題の有効な報告方法をユーザーに簡単に会得してもらうことができる。こういった情報としては、例えばエラーメッセージや実行中だったアプリケーション、問題発生時に行っていた作業、ユーザーが問題を再現できるかどうかといったものがある。また、ユーザーに対してこのような質問をいつも問いかけるようにすると、ユーザーをトレーニングすることになるため、彼らの提供する情報が少なすぎたり、問題として実際の症状ではなく自分勝手な診断を報告してきたりするのを防ぐのに役立つ。

#3:パスワードを適切に管理する

 パスワードを書き留めて安全ではない場所に置いたり同僚と共有したりすれば、パスワードを利用する意味はほとんどなくなる。わたしがお目にかかったことのあるパスワードの扱いとしては、付箋に書かれてモニターに貼り付けられているもの、PC本体の側面に油性ペンで書かれているもの、手の甲に書かれているもの、掲示板にピンで留められているもの、そしてスクリーンセーバーで電光掲示のように表示されているものさえあった。とはいえ、パスワードをこのように扱うのは危険であることをユーザーが理解していない場合や、パスワードポリシーがユーザー環境にとって過剰なまでに煩わしいものとなっている場合、パスワードを書き留めたり他人と共有したりしないようにとユーザーに言ったところで、事態はほとんど変わらない。これとは逆に、現行のセキュリティニーズを満たす、理に適ったパスワードポリシーがユーザーに充分説明されている場合には、パスワードの軽率な取り扱いは確実に減るだろう。

#4:安全なパスワードを作成する

 パスワードを適切に管理しておくことの重要性についてユーザーを教育する際には、安全なパスワードを作成する方法も指導しておくべきだろう。セキュリティ上の理由でシステムに設けられている制約は、ユーザーの作るパスワードに一定程度の影響を与えるものの、たいていは解読の容易なパスワードを作成するのを防ぐほどの力はない。安全なパスワードの条件は環境によって異なるが、一般的に言えば家族の名前や連番、わかりやすい単語や成句は避けなければならない。通常、無作為に選択した数字、大文字と小文字の併用、句読点、空白文字の使用が奨励されている。当然のことながら、セキュリティと利便性の間でバランスをとる必要がある。あまりに複雑なものを押しつければ、ユーザーはまたパスワードを書き留めはじめる。

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