第1回 注目を集めるエンタープライズアーキテクチャとは?

相原 慎哉(みずほ情報総研) 2005年03月30日 15時23分

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 「エンタープライズアーキテクチャ(EA)」というキーワードが大きな注目を集めている。簡単に言えば、EAとは組織の業務と情報システムを連携させて全体最適を実現するための文書や図表及び管理体制と手法である。組織の業務と情報システムの全体像を表す「設計図」と、それを使って業務や情報システムを改善していくための「仕組み」のセットだと言い換えても良い。

 「設計図」としては、組織の目標やミッションを元に、業務と情報システムの姿を共通フォーマットで文書化し、組織の構成要素とその機能や相互関係を明らかにする。現在の状況(As-Is)を記述するだけでなく、将来のあるべき姿(To-Be)や、そこに至るための中間目標の姿を記述することも多い。良く知られた整理の枠組みとしては、「ビジネス」「データ」「アプリケーション」「テクノロジー」の4層構造を用いて、各層内の要素とその機能や関係、そして層の間の関係を記述するというものがある。一方「仕組み」としては、CIOのコミットメント、新たな情報システムを導入する際に既存の業務や情報システムとの整合性を取ることを要請する社内ルール、整備された図表類の更新体制、将来のあるべき姿へ向かうための移行計画の作成と適用などが含まれる。

 では、EAを使うと何ができるのだろうか。EAの適用対象となるのは、企業全体でも、一事業部でも、あるいは企業グループでも良い。政府や自治体でも構わない。適用対象となる組織の抱える問題によってその効果は様々であるが、いずれの場合でも、全ての関係者が適切な情報を持つことでより望ましい意思決定を実現できることが大きな効果となる。EAは局所的な最適解を避け、より広い視野から望ましい選択を行う「全体最適」を実現する手助けをする。これによって、コストの削減や業務の効率化などより具体的なメリットが生まれてくる。

 例えば、90年代以降の積極的なIT投資の結果、多くの企業で多数の情報システムが相互に連携の取れないままに稼動している。その全体像が必ずしも正確に把握されていないケースも少なくない。こうした状況で新規投資の判断を正しく行うのは非常に難しいが、EAのドキュメント類はCIOが適切な意思決定をするための材料を提供する。政府の取り組みでは、重複投資の削減も一つの課題となっている。現在は府省ごとに同じ機能を持つ情報システムが別個に開発され、運用されている状態であり、無駄が多いと言わざるを得ない。EAの取り組みを通じて、こうしたシステムの統合や連携強化が進められようとしている。他にも、ビジネスとITの関係の明確化、関係者のコミュニケーションギャップの解消、属人的な情報の明文化、情報システム調達におけるユーザーの自主性の確立、あるべき姿への移行計画の明確化、などもEAに期待される効果である。

 EAは有効に活用されれば、非常に有用な組織経営の道具となる可能性をもっている。国内では政府による採用を中心に取り組みが進んでいるが、海外では政府機関だけでなく、民間企業での利用も活発である。日本でも積極的な導入が進むことが望ましいと考えられる。

(みずほ情報総研 EAソリューションセンター 相原 慎哉)

※本稿は、みずほ情報総研が2004年4月6日に発表したものです。

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