富士通とシャープは2月7日、富士通の液晶デバイス事業をシャープが譲受することで基本合意に達したと発表した。
今回の合意により富士通は、同社子会社の富士通ディスプレイテクノロジーズ(FDTC)における液晶デバイスの開発・製造・販売に関する事業と、富士通研究所(FJL)におけるFDTCの事業に関連する研究開発のための設備をシャープに譲渡する。
シャープは、FDTCの従業員と生産拠点である米子工場、研究開発に関わるFJLの従業員、富士通グループの液晶デバイス事業に関連する知的財産権を継承する予定。なお、1993年以降に登録された液晶関連技術の登録特許数は、2005年2月2日現在で富士通が1859件、シャープが4427件だが、今回の合意で譲渡する特許の件数など、具体的な条件については未定。今後協議を行い、2005年3月をめどに正式契約を締結するという。
FDTCはこれまで、PCモニターなどを中心に液晶デバイス事業を行っており、大型液晶パネル市場で業界標準となるMVA(Multi-domain Vertical Alignment)技術を開発するなど技術優位性を生かした事業展開を進めてきた。だが、1月末に発表された富士通の2004年度第3四半期決算(10月〜12月期)においては、今月2日同社が日立への譲渡を発表したプラズマディスプレイパネル事業や、今回シャープに譲渡する液晶ディスプレイ事業の業績悪化に伴い、電子デバイス事業が大幅減収となっていた。同事業の譲渡により富士通は、「経営資源の一層の集中・効率的配分による事業強化を図る」としている。
一方のシャープは、2004年度第3四半期決算(10月〜12月期)で増収増益を発表しており、多くの家電メーカーが業績の下方修正を行うなか、2004年度通期の見通しを売上高2兆5300億円、営業利益1500億円に据え置いている。今回の事業譲渡のメリットについて、同社では「中小型液晶の生産能力の拡大、液晶関連技術者の確保、富士通との液晶デバイス供給先としての関係強化、知的財産権の強化」を挙げている。