HPはPC分野で新たな戦いに直面することになる。また同社はサーバ分野でも、Sun MicrosystemsとIBMから戦いを挑まれる可能性がある。
HPはCompaqを合併した際、ある特定の技術に大きな期待を寄せていた。その技術とは、Intelのハイエンドサーバ向けプロセッサItaniumである。同社は、Itaniumがサーバ向けのチップ市場を席巻し、Pentiumのようなx86チップと同じくらい幅広く使われるようになると考えていた。そして、新生HPはこのチップに賭けることで市場のリーダーに躍り出るというのが同社の思惑だった。
しかし、Itaniumには開発の遅れや初期モデルでの性能の低さ、ソフトウェア側の対応の難しさなど、さまざまな問題がつきまとった。その結果、同プロセッサを広く普及させるという、同社の夢は実現しなかった。
そして、HPと競合するサーバメーカー3社は、同社とは反対の方向へ進んでしまった。IBMは独自のPowerプロセッサ製品を積極的に売り込んでおり、またSunはSparcチップ搭載製品の再活性化を図るとともにx86チップにも対応している。さらにDellは、IntelのXeonプロセッサを採用することで引き続き市場シェアを拡大している。
HPは、Compaq版Unixの技術と自社技術を統合する作業でもつまずいた。同社は2004年12月に、Compaqが開発していたUnixの重要な機能をHP-UXに移植する計画を中止した。また同社では、Advanced Micro Devices(AMD)のOpteronチップを搭載したサーバも販売しているが、64ビット対応を売りにするItaniumの強みがこれによって弱まる結果になっている。
それでも、アナリストらはHPの先行きについて楽観的な見方を示している。
「HPは今、新たな方向に進む段階にいるのかもしれない」というのは、Technology Business ResearchアナリストのChris Fosterだ。「これまでHPと付き合ってきた一部の顧客、つまり昔のHPと取引したことのある顧客は、かつて技術力を売りにしていた同社が基本に立ち返るかもしれないと、ほっとしているかもしれない」
また、経営陣の顔ぶれが変わっても、同社のコンシューマ向けビジネスには大きな影響はなさそうだ。
「現時点では、営業の現場に影響するようなことは何もないと思う。HPがPCを扱わなくなる可能性があるとは思わない」とNPD GroupアナリストのSteve Bakerは述べている。
HP自身も、将来に向けた計画をすでに用意している。Waymanは、報道関係者やアナリストとの電話会議のなかで、プリンタ関連事業など、強みをもつ分野でビジネスを拡大していくつもりだと述べた。それと同時に、HPは他の事業(サーバおよびストレージ関連事業、コンサルティングサービス事業)での収益力改善に努めていくという。
「PC事業については、数々の分野で大きな前進があった。以前は大きな赤字を出していたが、今では相応の利益水準まで回復している」とWaymanは述べた。その一方で、「エンタープライズ向けのストレージおよびサーバ事業については、昨年は第3四半期を筆頭に非常に残念な結果となった。業務のやり方に問題があったことは以前に説明した通りだ。だが、それらの特定の問題も解決した今、われわれは安定的かつ着実に業績を伸ばしていかなくてはならない状況にある」とWaymanは語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。