富士通とのパートナーシップは、うまくいっています。APLでは、開発・製造を共同で行いますが、市場において高い競争力を持つものとなるでしょう。
現在、サンにはCMT(チップマルチスレッディング)をベースとしたSPARCプロセッサに加え、そして富士通との共同開発するAPL、サンに特化されたAMDプロセッサ、さらにインテルベースのプロセッサへの対応も続けていきます。これらをセグメントごとに効果的に投入していきます。
このように、すべてがAPLで開発・生産されるのではなく、APLはSPARCの一部のラインを占めるものとなります。次世代のSPARCなどは、サンが独自に開発していきます。
革新的な製品によってオープンソースをリード
--最後に、オープンソース化することは業界にはメリットをもたらします。ただ、開発の主導がサンではなく、オープンソースのコミュニティに移行してしまい、競争力の低下が生じる可能性も拭えないのではないでしょうか。
各種の技術をオープンソース化するといっても、すべてを開示するわけではありません。むしろ、セキュリティなどの部分については、日米問わず政府から開示するなとの要請もあります。開示しない特定のIP(Intellectual Property:知的財産)の部分を発展させるのに加えて、革新的な製品を生み出せれば、サンが差別化でき、リードしていくことが可能です。そのためには、できるだけR&Dに多大な投資をしていくことが必要です。
実際にサンがJavaを公開したことによって、数億台のPCや携帯電話のアプリケーションプラットフォームとしてJavaが利用されるようになりました。IPを閉じこめないことが業界全体の発展につながったのです。一方、クローズドな技術で成功を収めた唯一の例がマイクロソフトですが、これはほかの追随がなく、デファクトスタンダードに変わることができたためです。しかし、今後は、こうした完全なクローズドなビジネスモデルは崩壊していくものだと考えています。
水道水があるのにミネラルウォーターのビジネスが成り立つように、オープンソースの中にあっても、ほかとの差別化が図れれば、ビジネスはうまくいくと考えています。そこに勝機があると考えています。
