ITベンチャーのイーツリーズ・ジャパンは3月1日、ウェブサーバ機能をハードウェアで実装することで処理性能を高めた自社開発のウェブサーバ機「e-trees.Japan e-7」を、独立行政法人情報通信研究機構情報通信ベンチャー支援センターが主催した「NICT情報通信ベンチャー・フェア2005」に出展した。
e-trees.Japan e-7は、同時アクセス数が数万規模の大規模なウェブサイトを運営する企業向けの製品で、ウェブサーバにかかるハードウェアコストと設置コストを削減するのが狙い。1月4日に出荷し、価格は性能に応じて1100万円から9000万円。サイズは幅430×高さ619×奥行375mmで重量は48kg。
ウェブサーバを100台ほど並べて負荷を分散しているサイトを、e-trees.Japan e-7なら1台で運用できる。例えば、50万円のウェブサーバを100台、1600万円のキャッシュサーバを3台、400万円のファイルサーバを3台、1000万円の負荷分散装置を1台で構成するウェブサイトは合計1億2000万円のハードウェア費用がかかっているが、このサイトと同じ性能をe-trees.Japan e-7なら2500万円で実現できるとしている。1億円近いコスト削減になるわけだ。
ウェブサーバは一般に、OSとウェブサーバソフトが動作しており、サーバ機にインストールして使う場合や、最初からソフトをインストールしたアプライアンスを使う場合がある。どちらの場合でも、処理能力を拡張するにはスケールアウトと呼ぶ貧弱な性能を持つ1台のウェブサーバを並列に何台も並べる手法を採る。
これに対してe-trees.Japan e-7は、ウェブサーバの基本機能をすべてハードウェアで実装することで、単体での処理性能を高めた。ネットワーク処理機能(イーサネット、TCP/IP)、ウェブサーバアプリケーション機能(HTTP)、コンテンツ格納機(ファイルシステム)をすべてLSIで実現している。コンテンツを格納するストレージも半導体メモリーを使うことで磁気ディスクよりも高速なアクセスを可能にしている。
また、同製品はキャッシュサーバとしても使える。このため、ウェブサイトの入り口に設置し、ウェブサーバへのアクセスに対してウェブサーバの代わりにウェブデータを配信する「リバース・プロキシ」として使うことが可能だ。静的なコンテンツだけでなく、動的に生成するコンテンツもURL単位でのキャッシュが可能である。
すでにe-trees.Japan e-7を活用中のユーザーもいる。国内に分散したファイルサーバの集合体であり各種ソフトウェアを配布している「Ring Serverプロジェクト」が、オープンソースのオフィスソフト「Open Office」のダウンロード配信サーバとしてe-trees.Japan e-7を利用している。さらに、出版社のインプレスでもWindows向けのオンラインソフトをダウンロード配布するサイト「窓の杜」で利用している。