日立が貢献するバリューチェーンとは
エンタープライズ分野でいえば、「事務作業を改善してコストを下げる技術」は終わったということです。いまはそこから、「いかにITで付加価値を上げるか」に論点が移っています。そこで市場をクリエイトする、日立にしかできない技術を推進したいと考えています。
たとえば、いま開催されている愛知万博では、日立製のICカードを用いて入場管理をしています。このカードに触ってみるとわかりますが、真ん中にミューチップが入っており、どのパビリオンにいつ入場するかという予約情報を読み取る仕組みになっています。一見するとSuicaのようなカードのように見えますが、この後ろにはRFIDなどさまざまな技術が融合されているのです。RFIDは食品のトラッキングといったビジネス分野にも適用されていますね。このように、エンタープライズだけでなく、個人にも同じ技術を還元して、新しい価値をもたらすのがuVALUEの世界です。
--するとuVALUEというのは、必ずしも大規模なものだけが対象なのではなく、個人といった単位までを包含しているのですね。
そうです。ITが活かされるのは、大規模システムだけではありません。愛知万博の例を挙げましたが、当社が出展している「日立館」ではバーチャルリアリティ技術で希少動物と触れ合うことができるエンターテインメントを提供しています。これも言葉にすると簡単なようですが、その背景には最先端のさまざまな技術があって初めて可能になるものです。そこで新しい価値を提供するのがuVALUEのコンセプトです。
ただし、エンタープライズという観点で見ると、われわれの強みはやはりミッションクリティカル分野にあるということ。ミッションクリティカルなエンタープライズ領域において、いかに付加価値を作り上げるかということで、日立は社会に貢献したいと考えています。もちろん、ITのスピードやユーザーニーズを考えると、日立1社ですべて対応しきれないかもしれません。特に開発スピードは、エンタープライズ分野では何よりも重要視される項目のひとつです。この問題に対するひとつの解として行ったことが、NECとの合弁会社・アラクサラネットワークスの設立です。両社のエンジニアを集約させることで、開発スピードの向上という付加価値を提供できるようになります。