ダウンタイムを削減する「Backup-to-Diskソリューション」
アクセシビリティの向上を実現するのに重要なのが、ILM(情報ライフサイクル管理)です。ILMでは、まず情報の価値は常に時間によって変動するほか、情報自身についても頻繁に更新・活用されるものとそうでないものを定義します。そして、情報の種類や価値によって適切な方法でデータを保存するのです。
例えば、普段やりとりしている一般的な電子メールのデータの本当に価値がある期間というのは2週間程度に過ぎません。ただ、2週間たって価値が少なくなったとはいえ、再びデータを利用する可能性があることを考慮すると、データにアクセスしやすい場所に保管しておく必要があります。その場合、従来まで長期保管に多用されていたテープメディアにデータを移行してしまうと、必然的に見つけにくくなってしまいます。
ビジネスコンティニュイティという観点から見ても、従来のテープメディアへの保存だと、データ全体を復旧するのに、多大な時間を要とします。これは、リスタートを大きく遅れさせる要因となります。そこでEMCが提唱しているのが、ハードディスクにアーカイブする「Backup-to-Diskソリューション」です。
ただ、ディスクはテープメディアよりもはるかに高価であるという印象がありますが、価格が劇的に下落しているATAディスクをRAID構成にして利用すれば、信頼性の担保と高速なバックアップが可能になります。EMCはこうした要件に対応できるバックアップ・ソフトウェアを用意しています。ビジネスコンティニュイティを強化するため、ソフトウェアに復旧にかかる時間を予測できる機能を組み込んでいます。
ILMをうまく実践できればコストの削減は可能です。EMCでは、レガートシステムズ買収以降ILMに注力し、啓蒙を進めてきました。ILMは、データ活用という観点からビジネス戦略にも直結します。ILMを徹底すれば、どのようなデータがどのようなニーズを持っているのかを把握でき、適切な保存手段を選択できるようになり、従来よりもコストを削減できるようになります。
効果的なM&Aがソリューション力を強化
EMCでは、ここ3〜4年で15〜16社のM&Aを実施しました。その代表的な企業がヴイエムウェアやドキュメンタム、Smartz、レガートシステムズです。その効果は売り上げ比率にはっきりと現れており、2000年には74%を占めていたハードウェアの比率が、2004年には47%へと減少しています。残りはソフトウェアとサービスとなるわけですが、今後ソフトウェア事業の比率はさらに高まっていくと予想しています。
従来はサポートが中心でしたが、受注前のコンサルティングなど、プロジェクトプランニングを行うケースが増えてきました。企業もILMを、リスクアセットマネジメントなどのビジネス戦略の一環として捉えるようになってきました。また、ここ1年ぐらいの流れとしては、EMCの社員が顧客企業に常駐してシステム管理を行う常駐サービスへの需要が増えています。
EMCでは、広範なサービスメニューを展開していますが、その理由はデータ管理の複雑性が増したためです。ストレージソリューションベンダーに求められる要素が、情報マネジメントから環境マネジメントへと変化しているのです。こうした状況の中で情報ストレージを手がけてきたEMCの経験をサービスにも反映させています。