Linuxの将来性が新しい価値を生み出す
2004年8月に「Linux for ミッションクリティカル」というコンセプトを打ち出しました。NECではUnix、Windowsに続くオープンシステムの旗頭の1つにLinuxを位置付け、この事業を推進していく方針です。
なぜLinuxに期待しているかというと、オープン系が目指している姿があるからです。もともとはUnixもそうでしたが、いまはSolaris、HP-UX、AIXなど、各社の固有技術に則るようになってしまいました。つまり、メインフレーム時代のようになっているのです。Unixが今日「オープンメインフレーム」と呼ばれるゆえんでもあります。
Linuxはオープンソースソフトウェア(OSS)なので、技術者の知恵を集約させ、いいものを創り上げることができます。1企業が独占するよりもよいものができるという将来性がありますね。実際、Linux事業の発表の後、おどろくほどの数のユーザー企業から問い合わせがきました。「OSSなので初期投資が安い」という意図もあるかもしれませんが、先進的な企業さんはLinuxの将来性を高く評価し、より優れたシステムを構築したいと思っています。その表れだと思います。
まず前者はあり得ません。なぜなら、それをするとLinuxもメインフレーム、Unixの二の舞になるからです。ソフトウェアの閉鎖社会を作るのではなく、みんなで技術を高めることが、ユビキタス社会の健全な発展を促進すると考えています。
私自身、経済産業省の「OSS推進フォーラム」の委員を務めていますが、ここではLinuxの検証からディストリビューションモデル、サポートを業界共通として取り組む予定でいます。これも1社独占ではなく、国内のIT業界共通の知識資産として持つことで、より付加価値の高いシステムをユーザー企業に提供できるようになるからです。たとえばシステムのサポートにしても、ここで知識を共有することで、より迅速な回答が実現できます。ITや経営のダイナミックコラボレーションが求められているように、Linuxにも同じ協調型の世界が当てはまるのではないでしょうか。