Linuxソースコードの新たな「家」を探すL・トーバルズ - (page 2)

Stephen Shankland(CNET News.com)

2005-04-11 11:44

変更の理由は、オープンソース対プロプライエタリの衝突

 TorvaldsがBitKeeper(BK)の使用中止を決めた背景には、オープンソース支持者とプロプライエタリソフトの支持者との間での意見の食い違いがある。BKはプロプライエタリソフトウェアであるため、Torvaldsはこれを採用したことで、オープンソース支持者の不興を買っていた。

 McVoyは自らもオープンソースソフトウェアを使用している支持者だが、ただし他者が自らの技術を模倣するのは絶対に許せないという。BitMoverは、BKの簡略版とも言えるノーコストのプロプライエタリソフトウェアを提供し、Linuxプログラマが無料でこれを使用できるようにしていた。しかし、このことからBKの機能を再現しようとする複数の取り組みが発生してしまった。そのため、BitMoverは米国時間6日、この無償バージョンの提供を中止し、代わりにオープンソースの代替製品のみを提供すると発表した。この代替製品は、すべてのLinuxプログラマをサポートできるほどの処理能力は持っていない。

 「オープンソース開発コミュニティから金を搾り取ろうとしているのではない。われわれの知的財産を守ろうとしているだけだ」と、McVoyはインタビューで述べている。だが、McVoyはBitMoverが提供する製品にどれほどの価値があるのかを考慮しなかったわけではない。McVoyが2月に明らかにした見積もりによると、Linuxプログラマらは1年間で少なくとも6500万ドルに相当するBKソフトを無償でつかっているという。

 Free Software Foundationを創立し、プロプライエタリの制約に縛られないソフトウェアを普及させようとしたRichard Stallmanも、TorvaldsがBKを採用したことを非難している人物の1人だ。2002年、StallmanはBKと互換性のある無料ソフトウェアを開発すると示唆していた。

 先ごろ、SambaオープンソースプロジェクトのリードプログラマAndrew Tridgellや、TorvaldsのようなOpen Source Development Labs(OSDL)のスタッフは、そうしたソフトウェアの開発に向けて作業を開始した。しかし、「SourcePuller」と呼ばれる同ソフトウェアはまだ公開されていない。

 Tridgellはあるインタビューで、「BKと互換性のあるツールを開発した。このツールの開発にあたってはBKは使用していないので、BKのライセンス条項に抵触することはない。完全に倫理的で合法な方法で開発したツールだ」と語っている。

 OSDLは、Tridgellを雇用した理由について、Sambaの開発に専念させるためとしており、「Tridgellが取り組んでいるそのほかのプロジェクトは、彼が独自に進めているものだ」と説明している。

 この主の開発作業は、McVoyにとっては都合が悪いものだ。「われわれはただ、(1)オープンソースコミュニティに便利なツールを提供し、同時に(2)われわれのツールを真似たクローン製品をオープンソースコミュニティがつくらないようにしようとしているだけだ」と同氏は2月に述べている。

 1998年に創業されたBitMover(本社:サウス・サンフランシスコ)は、これまで2つの理由から、Linuxプログラマに自社のソフトウェアを無償で使わせていた。そのひとつは、マーケティングに役立つというものだが、もうひとつはMcVoy自身がTorbaldsと10年以上前から友達付き合いをしてきているからだと同氏は説明した。

 一方、Torvaldsの側でも、BitKeeperを使うようになってからLinux開発のやり方が劇的に改善したと述べたことがあった。「個人的には BKにとても満足しており、そしてそれを提供してくれたLarryの行為を嬉しくおもっている。この件は結局うまく解決できなかったが、しかしBKがカーネル開発に大きな違いをもたらしたことは間違いない」とTorvaldsは6日に述べた。「BKによってわれわれのやり方が改善されたことは事実であり、今後も必ずこれらの点が引き継がれるようにすることも課題の1つだと確信している」(Torvalds)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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