「総合セキュリティ」の技術開発力とパートナー戦略に死角なし--トレンドマイクロ - (page 2)

インタビュー:別井貴志(編集部)
文:野田幾子、写真:渡徳博

2005-04-18 11:10

--シマンテックはベリタスを買収し、企業そのものが変化しつつあります。また、マイクロソフトはパートナーでありながら、セキュリティ製品における競合ともなります。競合他社との関係について、そしてパートナーとライバルということに関する考えをお聞かせください。

 我々はネットワークセキュリティのナンバーワン企業を目指す意志が固いので、そういう意味で本当の競合はマイクロソフトではなく、シマンテックです。

 弊社がセキュリティに注力する上でのポイントとして考えているのは、(1)ネットワークウイルス対策への特化、(2)スパイウェアへの特化、(3)シスコをはじめとするパートナーとのアライアンス──の3つです。その戦略を進めていく上で、シマンテックとベリタスの合併は我々にとっていいことで歓迎してます。こういった2大企業が合併すると、経営面での資源を融合させるのに非常に手間がかかります。企業文化もまったく違いますから、果たしてスムーズにことが進むでしょうか。彼らが事業の統合に時間を費やす間、我々は本業に集中でき、セキュリティソリューションの質に差をつけられます。

 もう1つ言わせてもらえば、セキュリティ系とストレージ系の企業が合併しても、それぞれのユーザーは混乱してしまうのではないでしょうか。この2大企業の合併は、顧客に対し何のシナジー効果も生まないのではないかと考えています。何度も言いますが、我々はセキュリティに特化した企業です。これ以上詳しく説明しなくても……わかっていただけるでしょう。

--マイクロソフトの参入は脅威にはなりませんか

 また、セキュリティ分野に参入するマイクロソフトは、今後スパイウェアとコンシューマのセキュリティ対策製品を出してきますよね。コンシューマの方面に限って言えば、マイクロソフトはかなり価格を下げてくるでしょう。こちらの方面にもより力を注いでいかなければなりません。しかし、独占禁止法などを考えれば、OSと抱き合わせたりする戦略は採れないと思います。

 我々は、具体的にはNTT東西のハードウェアに「フレッツセーフティ」というサービスを提供させてもらったり、ISP経由ではニフティやOCNでウイルスバスターの月額版、メールチェックサービスを提供しています。こういった新しいビジネスモデルを用い、コンシューマ市場で打ち勝っていきたい。よりよい製品をよりよりサービスと組み合わせて提供することが、唯一の差別化になっていくと思っています。

 また、エンタープライズ系ソリューションは、マイクロソフトだけのプラットフォームではなく、弊社が得意とするプラットフォームの多様化でメリットを打ち出していきます。プラットフォームの多様化もパートナーと組んで展開していく考えです。今後、企業のネットワーク環境は、ブロードバンドやワイヤレスに加え、プラットフォームもUNIXやSolarisなど、Windowsだけではなくなってきています。弊社ではそういったネットワーク環境を集中管理できるので、マルチプラットフォームのサポートをアドバンテージと捉えています。

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