FusionにはOracleのData Hub製品も含まれる。Data Hubは多数のアプリケーションに保存されたデータの追跡を容易にするためのソフトウェア。Oracleは5月に、企業がさまざまな製品の管理に使用できるData Hubをリリースする予定だ。
Oracleは、新たに獲得した数千もの顧客を囲い込むのに奔走するのと同時に、SAPの顧客をも虎視眈々(たんたん)と狙っている。
Phillipsの話では、Oracleは先ごろ「SAP Battle Desk」と呼ばれる社内プログラムを立ち上げ、大規模なアプリケーションアップグレードを行う際に、ほかの選択肢を検討する可能性のあるSAPユーザーを奪おうと試みているという。
Oracleが主な標的としているのは、アップグレードの一環としてSAPのNetWeaverを導入しなければならない企業だ。
「SAPはアーキテクチャを変更しつつあり、ユーザーもこれに歩調を合わせざるを得ない状況だ。アップグレードはひどく困難なものになることが予想されるので、ほかの選択肢を検討しようというユーザーが現れるだろう」(Phillips)
SAPは、他社製品と自社のアプリケーションを連携させるのに、NetWeaverが力を発揮すると考えている。SAPは2005年中に、NetWeaverのインターフェースを公開して、サードパーティ企業がSAPアプリケーション用のアドオンを開発しやすい環境を整えたいとしている。
Oracleは業界標準に基づいて構築されたビジネスプロセス自動化ツールを提供しているが、SAPはそうではないとWookeyは言う。Oracleは2004年、Collaxaという小規模な企業を買収した。Collaxaは、この企業は、Webサービス仕様BPEL(Business Process Execution Language)ベースのビジネスプロセス統合ソフトを開発していた。
Wookeyによれば、Fusionという名称は、旧PeopleSoftのエンジニアが言い出したものだという。この言葉は、OracleとPeopleSoftが買収前に、標準ベースのインフラストラクチャおよびツールの開発をそれぞれ進めていたことに由来する。両社の取り組みはそれぞれ、「People Tools X」および「Oracle 11i X」と呼ばれていたと、Wookeyは話している。
ユーザーを交えた討論会に参加したOracle幹部らは、競合企業としてMicrosoftの名を挙げなかった。だが、Microsoftも、OracleのFusionやSAPのNetWeaverと類似するプロジェクト「Project Green」を立ち上げている。Project Greenは、Microsoftの各アプリケーションパッケージに共通する基盤を開発する取り組みである。2005年初めにProject Greenの公開時期の再延期が発表された。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ