もう1つの新バージョンは、VERITASが2004年9月に買収したKVault Softwareから受け継いだ電子メール/コンテンツアーカイブソフトウェアの「VERITAS Enterprise Vault 6.0」だ。Microsoftの「Exchange」に加えて、米IBMの「Lotus Domino/Notes」に対応した。これにより「世界中で使用されるメッセージングシステムの90%以上で作成された情報を管理できるようになった」(Burton氏)と言う。また、アジアでよく使われているSMTPにも対応した。
米国では、SEC 17a-4などを始めとして、電子メールや電子文書を保管、管理することを法的に義務づけている。業界によって異なるが、だいたい3〜5年間の保管が義務づけられているが、保険やヘルスケア関連では対象者が存命している期間として100年間の保管を義務づけている場合もある。裁判でもしばしば証拠として提示されるので、データの保存法や迅速な検索、発見については重要視されている。
Vault 6.0では、こうした法令遵守や法的保護に活用できるように機能を向上させた。米EMCの「Centera」や米NetApp「NearStore」、米IBMの「TotalStorage DR550」など、コンテンツの長期的な信頼性を保証するためのストレージプラットフォームを利用できる。
Microsoft Exchange/Outlookのディスクスペース制限を超えないように、各ユーザーのディスク容量は一定量に制限されていることがほとんどだ。それを超えればメールを受信できなくなるので、ユーザーは古くなったメールデータを削除したり、アーカイブ機能を使ってPST形式のファイルにして保存したりしておく。この際に、Exchangeサーバを使わずに企業のファイルサーバに保存するので、あちこちにPSTファイルが分散して管理できなくなるうえ、ファイルが破損することも多いので、IT担当者は特定のファイルを見つけられずに悪夢を見る。
そこで、Vault 6.0は企業ネットワークのどこにPSTファイルがあっても見つけ出せる「PSTスニファ機能」を搭載した。IT担当者はユーザーに意識されることなく、PSTファイルを一元的に集約し、圧縮、分割して管理できるのだ。
また、メールだけではなく、Microsoftの「SharePoint Portal Server 2003」で使用される文書にも完全対応した。例えば、ワードのファイルの場合、ワードというアプリケーションが100年後まで使われているかどうかわからないし、OSを含めたコンピュータシステムも変わっているかもしれないので、アーカイブする際にはワード本体とそれをHTML化したファイルを両方共にアーカイブする。こうしておけば、法的遵守にも対応できる。