NEC(金杉明信社長)が、97年10月から玉川事業場(川崎市中原区)で建設を進めてきた「玉川ルネッサンスシティ」がこのほど完成、5月11日に報道陣に公開した。
玉川ルネッサンスシティは、通信機器やコンピュータなどの開発製造拠点だった玉川事業場敷地内に97年から建設を進めてきたもの。2000年2月に竣工した26階建のサウスタワー(高さ116メートル)に続き、今回、37階建のノースタワー(同156メートル)と2階建のホール棟が完成した。これまでの投資額は約600億円。
サウスタワーにはすでにNECエレクトロニクスやNECシステムテクノロジーなどが入居しており、完成したノースタワーはモバイル関連の開発拠点となる。サウスタワーの3000人に加え、あらたにノースタワーでは7000人が就業。玉川事業場全体では1万4000人が働くことになる。
玉川ルネッサンスシティで会見した金杉社長は、「玉川事業場は、無線機器や真空管などの開発製造拠点として1936年に開設されたNECの第2の創業の地。玉川ルネッサンスシティの完成で、従業員もピーク時のレベルに戻った」と語り、製造部門の移転などで減少していた同地区の従業員数は、開発拠点を集約することで大幅に増えることになった。
また、川崎市の阿部孝夫市長は、「玉川ルネッサンスシティの完成で、地域が活性化する」と期待を語った。
玉川ルネッサンスシティは、モバイルやデバイスなどの最先端技術の研究拠点として機能するとともに、環境に配慮したのも特徴。完成したビルを解体した場合でも、リサイクル可能率は約97%という。また、敷地の65%は公開空地として開放。地域住民の憩いの場として提供する。
またNECでは5月12、13日の両日、ユビキタス社会の実現に向けたNECグループの取り組みを紹介する「e−Trend Conference」をこの玉川ルネッサンスシティで開催する。