Sunの社長兼COOであるJonathan Schwartzはブログを有効活用する数少ない経営幹部の1人だ。そのSchwartzがブログのなかで、SunがStorageTekを買収した理由を説明したり、Solaris 10を採用するようAppleに助言したりしている。
ブログの中で、Schwartzは、StorageTekの買収に関して、これまでの報道や憶測より詳しい説明を行っている。この買収によってSunの保有資金は増えるが、売れ行きの芳しくないテープ装置を扱うStorageTekでは今後も大きな成長が見込めない。私は、SunがStorageTek買収よりもっと大胆なことをするものと期待していたが、同社の資金力を考えれば、これしか選択の余地がなかったことも頷ける。それでもSchwartzは、今回の買収で、StorageTekの営業力と、Sunのストレージ商品をはじめとする商品群の相乗効果が得られると主張する。
(私たちが調べたたところでは、StorageTekを非常に気に入っている)StorageTekの17000社にものぼる顧客やパートナーは、より幅広いオプションが利用できるSunのストレージインフラを欲しがるだろうか?もちろん、その答えはイエスだ。彼らは、データアクセスやID管理、StorEdge 6920、SAM-FS/QFSソフトウェア、ZFSなどについてもいろいろ知りたがるだろうか?先週の金曜日にStorageTekの最も大きな顧客の1社と会って話をしたが、この会社は今回の買収を大歓迎している。この会社は、われわれが提供できるものすべてに関してオープンな態度だった。大企業は、グローバルな規模でシステム的なアプローチをする、力のあるベンダーから物を買いたがるようになってきている。Sunはそういう顧客の要望を満たせる立場にある。Sunは今回の買収で、StorageTekを吸収しようとしているわけではない。両社で協力して、もっと強くなることを目指しているのだ(われわれは、StorageTekの名称とブランドが気に入っているし)。
ストレージ分野については買収による相乗効果があることは理解できる。特に、法規制の要件を満たし、コストを抑えるために、より包括的なデータライフサイクル管理を要求している企業が多いことを考えれば、なおさらだ。企業内では1〜2年のうちにデータが倍増し続けていることを考えれば、Sunにとってこれは絶好のチャンスだ。統合による副産物として、多種多様な環境を管理するために、完全なソリューションや体系的なアプローチをベンダーは提供できるようになる。だが、約1000名の営業担当がSunに加わることになる今回の取引によって、サーバや、企業向けおよびデスクトップ向けのJavaソフトウェアがもっと売れる結果になるだろうか?答えはノーだ。
Schwartzはさらに、インターネットの未来は、特定のコンポーネントではなく、データにあるとまで述べている。
私の考えでは、インターネットに未来というものがあるとすれば、それはコンピュータでもストレージ装置でもないし、ソフトウェアでもない。顧客はこれらをどんどん乗り捨てていくだろう。
だが、顧客はデータを捨てることは絶対にない。
ほとんどの場合、(データを保管することは)法律で義務付けられている。今、誰もがデータに注目している。われわれももちろん注目している。
この辺の論理展開はちょっと強引だ。もちろん、データはインターネットという血管を流れる血液のようなものだが、ストレージ装置やソフトウェアとの比較でそれを「インターネットの未来」とまで呼ぶのはどうだろうか。これは、現実を語っているというよりは、StorageTek買収にこじつけた美辞麗句のように聞こえる。
Schwartzはまた、Steve Jobsに宛てたメッセージもブログに掲載している。同氏は、次世代Mac用の64ビットプラットフォームとして、SPARCやx86プロセッサ上で動くSolaris 10を採用するようにJobsに働きかけている。PowerPCアーキテクチャを捨ててIntelプロセッサを選ぶこともそれなりに大きな冒険だが、何事も自分のコントロール下に置いておかないと気がすまないSteve Jobsにとっては、自分でオペレーティングシステムをコントロールできない状況では、イライラが募るだけだろう。とはいえ、Solaris 10もオープンソース化されるわけだし、BSD Unixで行ったときと同じように、大した問題もなく、Apple独自の機能をいろいろとこれに付け足すことは可能かもしれない。