第14回 EAにより促進されるコンポジットアプリケーション

近藤佳大(みずほ情報総研) 2005年07月15日 10時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 最近、コンポジットアプリケーションという言葉が注目を集めている。これは、既存の業務システムを複数組み合わせて新たに作成した業務システムのことである。たとえば在庫管理システムと顧客管理システムを組み合わせて作成した、顧客満足度の向上を目指した営業用システムなどである。新しいシステムを開発する際、一から作り直すのではなく、既存のシステムを活用するため低コストで迅速に開発できることから注目されている。

 このコンポジットアプリケーションという考え方は、実は従来から存在していた。それが、最近現実的な選択肢として改めて注目を集めるようになった背景には、Webサービスなどのシステム間を連携させるソフトウェア技術の進歩に加え、EAが普及してきたことも大きく寄与している。EAに基づかない従来型のシステム開発においては、そのシステムを利用して新たに別のシステムを将来作成することをあらかじめ想定しないことが多かったため、コンポジットアプリケーションの実現は容易ではない。なんとかコンポジットアプリケーション化に成功しても、その後の運用・保守に個別システムを並列して運用するよりもコストがかかる場合が多い。

 EAでは、企業が保有するシステム全体の理想的な将来像を描き、そこに向けて進んでいくための現実的な計画をたてていく。そうすると、多くの場合で理想的な将来像としてコンポジットアプリケーションにたどり着く。低コスト、迅速なシステム開発という視点から、コンポジットアプリケーションは非常に優れているからである。EAには「柔軟で変化に適応できるシステムの実現」という目標があるが、柔軟なシステムを実現する手段の一つがコンポジットアプリケーションというわけである。一時的な開発費用は高くなるかも知れないが、企業全体のシステムコストという視点では、将来の拡張を想定すると低く抑えることができる。

 コンポジットアプリケーションの実現を目指す企業では、EAの中で既存のシステムをコンポジットアプリケーションに適したものに変えるための計画を策定することになる。現在企業が抱えているシステムはコンポジットアプリケーションを意識したものではないことが多く、既存システムの改修計画もEAの取り組みの中で定めていく必要がある。現在においては、コンポジットアプリケーションの成功にはEAが必須といえるだろう。

(みずほ情報総研 システムコンサルティング部 近藤 佳大)

※本稿は、みずほ情報総研が2005年7月5日に発表したものです。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連キーワード
経営

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
展望2017
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算