スパム対策のビジネスが盛り上がりを見せているが、1997年に設立された米Mirapointは、企業向けにメールセキュリティのアプライアンス(専用装置)を提供している。ワールドワイドのビジネス・チャネル展開を担当するクリストフ・クーリーン(Christophe Culine)氏が来日、スパム対策などを聞いた。
--どんなアプライアンスを展開しているのか
提供するアプライアンスは(1)スパムを検出するなどして、外部から電子メールを守る「RazorGate」、(2)POPやSMTPなどの業界標準のプロトコルを装備したメールサーバである「Mirapoint Message Server」、(3)Message Serverを補完してディレクトリーサービスを提供するサーバ「Mirapoint Directory Server」--の3種類だ。
米Mirapoint、ワールドワイド担当シニア・バイス・プレジデントのクリストフ・クーリーン(Christophe Culine)氏 |
現在の売上構成比は、RazorGateが30%、Message Serverが60%で、残りの10%をDirectory Serverとなっている。今後は、RazorGateの売り上げが伸びると予測している。
現在、メールは企業インフラに完全に組み込まれており、スパムやウイルスは従業員の生産性とネットサーバのパフォーマンスを低下させる。その被害コストは、従業員1万人規模の企業平均で年間1600万ドルに上るといわれている。
そのような問題に対して、Mirapointが持つ「MailHurdle」という技術と「Full-Spectrum」という技術を連携させることで、われわれのアプライアンスのスパム検出率は98%、かつ誤検出率は0%という高い性能を誇っている。しかもRazorGateは、既存のメールサーバと数分以内の作業で連携させることができる。
--従来のメールセキュリティ対策は複雑になっており、管理者に大きな負担となっている
日本のある企業では、メールサーバ刷新にあたり、他社製品と比較検討したうえで、2005年にMessage Serverを導入している。他社製品ではセキュリティ・ホールが心配という点と、スパム対策の管理を簡便に行えるという点から、Message Serverを選んでいる。
今から3年前、メールの管理者はスパムやハッカーへのセキュリティ対策、サーバのアップグレードをどう対応すればいいのかだけを気にしていた。だが現在は、セキュリティ対策はもちろんのこと、コンプライアンス(法令遵守)、コンプライアンスの観点から義務付けられているアーカイビング(メールの保存作業)、メールサーバの停止時間の減少などを常に考慮しなければならない。これらの背景から、メールに関連するシステムは複雑になり、TCO(システムの総所有コスト)も増加する傾向にある。
--日本市場をどう見ているのか
日本市場は、米、英に続いて大きな市場だ。日本企業はスパム対策に投資しているが、アプライアンスを導入している企業は少ないために、Mirapoint製品が今後導入される余地は大きい。対象は企業や官公庁、教育機関などを中心にしていく。
日本法人であるミラポイントジャパンの販売代理店は現在、シーティーシー・エスピー(CTCSP)、日商エレクトロニクス、ネットワンシステムズの3社だが、今後は拡大させる計画だ。また、日本市場でのMirapointの認知度は低いために、セミナーなどの形で認知度を高めていく。
--スパムにはどのような傾向があるのか
発信地として多くなっているのがインド、ロシア、中国、パキスタンだ。日本や米の場合、スパムを発信する人間、つまりスパマーを取り締まる法律があるが、これらの国ではそのような法律が存在しないからだ。また国としても、スパムを検知できる体制がないという問題もある。スパムを撲滅するためには、世界的にスパムを取り締まるようなコンセンサスや条約が形成される必要があるだろう。
今後少なくとも3〜5年はスパムは減少せずに、増加し続けるだろう。というのは、スパムはビジネスとしては儲かるからだ。ある調査によれば、スパムを経由して商品を実際に購入しているユーザーは11%に上っている。