Microsoftは米国時間29日、新しいWindowsファイルシステムのテストバージョンをリリースして開発者らを驚かせた。
同社は「WinFS」というこのファイルシステムのテストバージョンを「Microsoft Developer Network(MSDN)」のメンバーに公開した。同社によると、WinFSが実装されればデスクトップファイル検索機能が改善されるという。
Microsoftは当初、WinFSを次期Windowsとなる「Windows Vista」(開発コード名:Longhorn)に合わせてリリースする予定だった。しかし、同社はおよそ1年前、同OSを2006年に出荷するため、LonghornではWinFSの採用を見送ると発表し、Longhornの出荷時点ではWinFSはベータ版になるとしていた。
これを受け、同ファイルシステムのテストバージョン公開が来年以降になる、との印象を抱いた人間も多かった。しかし、WinFSのある開発者の考えでは、大幅に遅れた同システムのスケジュールはとくに早まっていないという。
「WinFSのスケジュールが早まっているとは到底言えない」と、新ファイルシステムのプログラム管理ディレクターを務めるQuentin Clarkは述べている。
WinFSは当初、Longhornのデスクトップファイル検索を実現する手段として宣伝されていた。だが、現在では各デスクトップアプリケーションが共通レポジトリに格納された情報を利用する手段としての、このファイルシステムのメリットに重点が置かれている。WinFSでは、たとえば電子商取引アプリケーションに出荷情報を入力する代わりに、集中管理された住所録から自分のカードをクリックするだけで、情報が適切な場所に転送されるようになると、Clarkは説明した。
Microsoftは、MSDNサイトに公開した開発者向けのメモのなかで、WinFSはローカルPCやネットワーク上に保存された情報を見つけやすくするためのツールだと説明している。
今回リリースされたテストバージョンは、開発者がファイルシステムの仕組みについて感触をつかみ、共通レポジトリ機能の利用方法について検討できるようにするためのものだ。
Clarkは、同ファイルシステムの正式版の出荷時期を明らかにしなかったものの、「複数のベータ」を投入する計画があると語った。同氏は、今年はこれ以上リリースを行わないとした上で、来年は新しいベータ版あるいは「Community Technology Preview」という形を含め、複数のリリースを投入予定であると述べた。