日本オラクルは9月21日、インストール作業と初期設定作業の簡略化に注力したグループウェアの新版「Oracle Collaboration Suite 10g」を出荷する。価格は従来版からの据え置きで、1ユーザー7500円(税抜)。最小購入数は100ユーザー分である。売上目標は初年度5億円、来年度15億円。
Collaboration Suiteは、データベース管理システム(DBサーバ)であるDatabaseとアプリケーション・サーバ(APサーバ)であるApplication Server上に構築したグループウェア業務アプリケーションである。ファイル共有機能、電子会議機能、電子メール機能、スケジュール管理機能、IM(インスタント・メッセージング)機能など、グループウェアとしての基本機能を備える。
新版では、インストールと初期設定を単純化した。従来は、データベースの設定やアプリケーション・サーバの設定など専門性の高い作業が必要だった。新版では「マウスを2回クリックするだけでインストールと初期設定が完了する」(日本オラクル)。サーバ機さえあれば簡単に導入できる。一方、APIを公開しているため、既存アプリケーションとの連携や新規アプリケーションの作り込みも可能である。
Collaboration Suiteの特徴は、ファイル共有サーバやメール格納サーバなど、本来はOSのファイル・システムを利用したファイル・アクセス・ベースの業務アプリケーションのデータを、すべてDBサーバで管理する点である。DBサーバにデータを格納することで、データの信頼性や可搬性などが高まる。DBサーバを利用しつつ、例えばメール格納サーバは、格納したメールに対してPOP3やIMAP4など標準プロトコルを利用してアクセスできる(もちろんSMTP中継も可能である)。
ファイル共有機能は米Oracleのファイル管理機能であり、OSのファイル・システムとは異なる。専用のクライアント・アプリケーションやHTTP/FTPプロトコル、Internet Explorer上で稼動するファイラ画面から利用する。ファイル共有機能を用いると、フォルダやファイルに、アクセス制御のルールやバージョン管理機能の付与など、各種の属性を付けられる。バージョン管理機能は、同一ファイル名で保存すると自動的に最新版として登録するなど、チェックイン/チェックアウトをできるだけ意識させない動作で運用可能である。
稼動環境は以下の通り。SPARC版Solaris、Windows、Linux、HP-UX、AIX。なお、2005年内には次期バージョンを出荷する。次期版では、ファイル共有機能の新版である「Oracle Content Services」を添付する。