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「ライバルはマイクロソフト」--プラットフォームベンダーを目指すセールスフォース

藤本京子(編集部)

2005-09-16 22:50

 Salesforce.comが主催する「Dreamforce '05」にて、同社会長兼CEOのMarc Benioff氏は、アプリケーションを共有する場となるAppExchangeを発表した。AppExhcangeは、オンデマンドCRMベンダーとして成長を続けてきた同社の戦略を発展させるものとなる。このAppExchangeとは一体どういうものなのか。また、新戦略によって同社の今後の方向性はどうなるのか。Benioff氏に聞いた。

--AppExchnageを発表したことで、SalesforceはオンデマンドCRMベンダーから一歩発展したビジネスを推進していく姿が伺えます。このAppExchangeがどういうものなのか、説明してもらえますか。

 AppExchangeは、Salesforce.comのユーザーやパートナーが独自のアプリケーションを構築した場合、そのアプリケーションを他のユーザーに提供する場となるものです。AppExchangeにて公開されたアプリケーションは、開発者が自由に価格をつけて販売することができ、ユーザーも自社に必要なアプリケーションだけを簡単にダウンロードして利用できます。つまり、オンデマンドアプリケーションの共有が可能となるのです。これまでSalesforceで提供していたアプリケーションは、CRMを中心とする営業ツールが主でしたが、AppExchangeでは人事や経理など、幅広い分野に最適なアプリケーションが数多く用意されています。

「アプリケーションのロングテール理論を実践する」と語るベニオフ氏

 インターネットの世界では、例えばAmazon.comの売上の多くが実店舗では手に入らないようなニッチな分野からの売上となっていることから、ニッチなニーズの重要性を示すロングテール理論が注目されています。AppExchangeは、アプリケーションビジネスのロングテール理論を実践するものです。この世にアプリケーションは数多く存在しますが、大多数の人が汎用的に利用できるのはほんの一部しかなく、多くの場合企業で独自に開発したりカスタマイズしたりするものです。そうしたアプリケーションをAppExchange上で共有すれば、同じようなニーズを抱えた他のユーザーが自社に合ったアプリケーションをユーティリティコンピューティング方式で利用できるようになるのです。

 もちろん、自社向けに開発したものでなくても、アプリケーションの販売を目的としてAppExchange上でアプリケーションを公開することも可能です。Salesforceのユーザー数は増加の一途をたどっており、CRM以外のアプリケーションに対するニーズも高まっていますから、アプリケーション開発ベンダーもAppExchangeで新たなビジネスを開拓できるのです。

--確かに、ユーザーは様々なアプリケーションを手に入れることができますし、開発者も自社向けに開発したアプリケーションを他社に販売する機会が与えられ、資産を有効活用できますね。しかし、Salesforceにとってのメリットはどこにあるのでしょう。AppExchangeのビジネスモデルを教えてください。

 AppExchangeで提供されるアプリケーションは、Salesforce.comのプラットフォーム上で稼動することが前提となっています。つまり、幅広いアプリケーションが用意されれば、それだけSalesforceのユーザー数が増えることになるのです。

 われわれが今提供しているオンデマンドサービスは、ほぼCRMに限定されています。他のアプリケーションを提供したくても、一社のみの力ですべてをカバーできない場合があります。そこで、パートナーの力を借りて数多くのアプリケーションを提供し、ユーザー数を伸ばすという考えです。

 わかりやすい例を挙げましょう。米CNET NetworksもSalesforceを採用していますが、当初はSalesforceのCRMのみを利用していました。しかし現在では、法務部門で利用できるアプリケーションをCNETが社内で独自に開発したため、営業部門のみに限られていたSalesforceのユーザーが、法務部門にも広がったのです。つまり、AppExchangeで公開されるアプリケーションの数が多ければ多いほど、Salesforceのユーザー数が拡大する可能性も高いというわけです。

 パートナーの開発したアプリケーションは、パートナーが自由に料金をつけて販売できます。Salesforceとしてコミッションを取ることもありませんから、販売したアプリケーションはすべてパートナーの売上となります。現時点で70のアプリケーションが用意されていますが、1年後にはアプリケーションの数が1000以上に到達するのではないかと見ています。そのうち、100程度は日本発のアプリケーションとなればいいですね。

--なるほど。今後Salesforceは、オンデマンドCRMベンダーからオンデマンドプラットフォームベンダーへとなるわけですね。そうなると、競合として意識する企業も変わってくると思いますが、今一番の競合として見ているのはどこですか。

 Microsoftです。MicrosoftはPC上のプラットフォームベンダーですが、SalesforceはAppExchangeでインターネット上のプラットフォームベンダーとなります。Microsoftの製品は、あまりインターネットと親和性が高くありませんから、われわれが入り込むチャンスも大きいといえます。

--これまでSalesforceの一番の競合とされていたSiebel SystemsがOracleに買収されましたが、Oracleはなぜ買収に踏み切ったのでしょうか。この買収に何かメリットはあると思いますか。

 Oracleにとっての唯一のメリットは、Siebelの顧客のメンテナンスフィーが手に入るということでしょう。ただし、顧客にとってこの買収は全くメリットがありません。今回の買収でOracleはCRM関連製品として、自社のものやPeopleSoftのもの、J.D. Edwardsのもの、そしてSiebelのものを抱えることになりました。Oracleは、PeopleSoft製品とJ.D. Edwards製品を統合するため「Project Fusion」に取り組んでいますが、あれはまさに「Project Confusion(混乱)」と言えます。

 これだけのCRM製品があると、全てが生き残るとは思えませんし、Oracle自身それぞれの製品への投資には慎重になるはずです。各製品のビジョンや方向性があいまいですから、顧客も自分の利用している製品がいつなくなるか不安に思うでしょうし、新規顧客を獲得することも難しくなるでしょう。

 今回の買収では、むしろわれわれにメリットがあるといえます。Oracle傘下となったSiebelに不安を感じて、Siebelの顧客がSalesforceに流れてくる可能性がありますからね。

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