ESPは、企業内のさまざまなシステムに検索機能を組み込めるように、検索機能の呼び出しや検索結果の表示については各システム上にアダブティブに組み込みや連携ができることを目指している。従来は企業内の検索ツールとしては「検索エンジン」という概念がそのポジションを担ってきたが、ESPは、このアダブティブに各システムに組み込めるという特長によって検索エンジンとは一線を画するものである。
ESPの概念
ESPの概念図を下に掲げる。ESPを一言で言うと「企業内に存在するすべての情報(コンテンツ)やデータを対象に検索機能を提供するプラットフォーム」となる。ユーザーはESPを利用することでデータが社内のどのシステムに保管されていようとも、いつでもどこからでも簡略化された同じインターフェースから欲しい情報を呼び出して再利用できるようになるのである。
具体的なイメージがわかりにくい読者は、GoogleやYahoo!がインターネット上で提供している検索ツールバーを想像してもらうと良い。検索ツールバーはブラウザに組み込んで利用するものであるが、ユーザーはこの検索ツールバーを導入するとネットサーフィン中であればいつでも、そこの検索窓にキーワードを入れるだけでインターネット上の欲しい情報を探し出すことができるのである。ESPとは、これと同じことが社内システム上で可能となることを目指す概念である。すなわち社内のどのシステムを使っているときでも検索窓がシステム上に組み込まれており、そこに検索条件を入れれば、たちどころにその情報が社内システムのどこに保管されているかの結果が表示され、それを再活用できるのである。
以上のように非常に便利なESPであるが、これは今までにあった他のツールや概念とはどう異なるのであろうか? 次回は、この違いについて解説をする。
みずほ情報総研 吉川日出行
技術士(情報工学部門)・ITコーディネータ