東京エレクトロンは11月1日、米Brocade Communications Systemsが開発したWAFS(Wide Area File Services、広域ファイル・サービス)機器「Tapestry WAFS」を出荷する。価格は120万円(10クライアント構成)から。初年度売上目標は5億円。同社は販売促進で、米Brocade Communications Systemsの日本法人であるブロケードコミュニケーションズシステムズと協力する。
広域ファイル・サービスWAFSとは、WAN(通信回線)を経由してファイル・サーバを利用できるようにする高速化技術を指す。高速化の仕組みは、データ・センターと遠隔拠点の双方にWAFS機器を設置することで、WAFS機器間に発生する通信を減らすというもの。転送済みデータのキャッシュやデータ圧縮による転送データ量の削減のほか、TCPコネクションの集約によるネットワーク・プロトコルの簡略化などを施す。
WANを超えたファイル・アクセスであるWAFSが生まれた背景には、各拠点に分散していたファイル・サーバをデータ・センターに一元化して集中管理したいという企業の需要がある。資源の集中化には、古くは運用管理コストの削減、最近では情報漏えい対策などセキュリティ上の目的がある。ただし、WANはLANと比べて遅延が大きく帯域も狭いため、ファイル・サーバをそのままデータ・センターに移行しただけでは満足のいくファイル・アクセス性能が出なかった。
Tapestry WAFSは、CIFS(Common Internet File System)やNFS(Network File System)などコンピュータが利用するネットワーク・ファイル・システムへのアクセス用プロトコルを、「SC/IP」と呼ぶWAN用に最適化した独自開発プロトコルに変換する代理装置である。遠隔拠点に設置したTapestry WAFSは遠隔拠点のコンピュータから見るとプロキシ・サーバとして振る舞い、データ・センターに設置したTapestry WAFSは、データ・センターのファイル・サーバから見るとリバース・プロキシとして振舞う。