開発コミュニティへの歩み寄り
Ubuntuの人気が高まり始めたのは、Linux分野を扱う営利企業が、一般に「オープンソース開発コミュニティ」として知られる巨大で一定の形を持たないグループとの連携に力を入れるようになったころのことだ。こうしたコミュニティでは、大企業から教育機関、財政難の新興企業まで、さまざまな組織の新人/ベテランプログラマが活躍しており、その活動は世界規模に及んでいる。コミュニティでは、各人の才能を生かすことで、新機能を開発したりバグを発見したり、利用者の基盤を固めたり開発に際しての優先事項を定めたりするのが容易になっている。
Red Hatのコミュニティプロジェクト「Fedora」はいくつかの問題を抱えていたが、プロジェクトと同社の関係は少しずつ改善されてきていると、CEOであるMatthew Szulikは述べている。またNovellも同様のプロジェクト「OpenSuse」を運営しており、同社の広報担当Kevan Barneyによれば、Novellは、OpenSuseはUbuntuより「はるかに規模の大きいユーザーコミュニティを抱えている」と考えているという。Sun Microsystemsも自社のUnixを「OpenSolaris」と呼ばれるオープンソースプロジェクトに作り替えており、そうしたアプローチが同社に利益をもたらすものと信じている。
しかし、Ubuntuの成功で最大の恩恵を得られるのは、断固として非商用プロジェクトの道を歩むDebianだろう。UbuntuはDebian Sidの技術を利用しており、またUbuntuのプログラマは、「GNOME」デスクトップインターフェースソフトウェアおよび「X.org」の初歩的なグラフィックサポートの開発にも共同で当たっていると、Waughは話している。
Ubuntuの普及具合を数値で表すのは難しい。例えば、インストール用のCDを送付してもらう場合も含め、Ubuntuの利用は無料なので、IT専門調査会社IDCの収益グラフなどに記録されることがないのだ。だが、その人気を示唆する証拠は存在している。第一に、Ubuntuソフトウェアの変更を承認することを許可された開発者は60名を数え、修正を提供できる開発者となるとこれをさらに上回る。また、「Warty Warthog」と呼ばれるUbuntuの第1版は、実に140万本も配布された。Linuxディストリビューションの目録を掲載するサイトDistroWatchでも、Ubuntuはユーザーの関心度を表す順位表でトップにランキングされている。
Ubuntuに足りないものの1つに商業的なパートナーシップが挙げられるが、これにも変化の兆しが見え始めている。同一のコンピュータ上で複数のオペレーティングシステムを稼働させるソフトウェアの提供企業VMwareが、顧客の要望に答え、「VMware」バージョン5のベータ版でUbuntuサポートを実験的に採用している。またHewlett-Packardは、Ubuntuを搭載するノートブックPCを欧州およびアフリカで販売しており、同社の広報担当Nita Millerによれば、同地域ではデスクトップにもUbuntuを採用していく計画だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ