Microsoftがグリッドを利用した処理能力の向上より情報の共有に力を入れているのは、学問界や研究コミュニティがこれを欲しているからだと、Heyは話す。
Heyは、学問に利用されているグリッド技術は、ビジネスアプリケーションにも応用できると、米国時間4日にボストンで開催された「GridWorld」カンファレンスにおいて発言した。
Heyを雇用し、Windowsの高パフォーマンスコンピューティング版に投資をしているという事実は、Microsoftがグリッドソフトウェア市場に本腰を入れ始めたこと意味すると、グリッドソフトウェア企業Platform ComputingのCEO兼創業者Songnian Zhouは指摘している。
「Linuxに高パフォーマンスコンピューティング分野を制覇されたくないというのが、Microsoftの本音だ。同社はグリッドコミュニティに積極的に関わってこなかったが、Heyは真摯な態度で彼らと協力していこうとしている」(Zhou)
一方IlluminataのアナリストJonathan Euniceは、Microsoftが他ベンダーのようにオープンスタンダードを取り入れるとは考えにくいとしている。
「Heyがオープンスタンダードを支持しているのは非常に興味深く、わたし自身は重要なことだと認識しているが、信用に足る発言ではないと思う。Microsoftが利益を得られる範囲内で支持するといったところだろう」(Eunice)
Euniceは、Microsoftがオープンスタンダードに本気で取り組んでいることを示すには、まずはWindows上で「Globus Toolkit」(複数マシンのグリッドを動作させるアプリケーションを開発するための標準ベースソフトウェア)を稼働できるようにすることだと述べている。だがMicrosoftはまだこれに着手していない。
Microsoftのグリッドコンピューティング分野における主製品は「Windows Server 2003 Compute Cluster Edition」で、同社はこれが発展性に富んだLinuxの代替製品となることを望んでいる。9月に同社が主催した「Professional Developers Conference」では、64ビットプロセッサに対応し、ジョブスケジューラを搭載する「Windows Compute Cluster Solution」のベータ版がリリースされている。
Microsoft会長のBill Gatesは来る11月、シアトルで開催される「SC/05」スーパーコンピューティングカンファレンスで基調講演をする予定だが、これも同社が高パフォーマンスコンピューティング分野への取り組みを進めている兆しと言えるだろう。同カンファレンスは、Association of Computing MachineryとIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)が共催するイベントだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ