EMCジャパンは10月6日、1ペタバイトまで拡張可能なハイエンド向けストレージシステム「Symmetrix DMX-3」と、ミッドレンジ向けストレージ「CLARiXシリーズ」の機能拡張、またオンラインでのデータ移行を実現するソフトウェア「EMC Open Migrator/LM(Live Migration)」および「EMC LDMF(Logical Data Migration Facility)」を発表した。これらの製品は、同社が推進するILM(情報ライフサイクル管理)戦略を実現するためのものだ。
Symmetrix DMX-3は、1台で約2000個のディスクを接続しても、パフォーマンスをほぼ同レベルに保てるよう設計されている。また、2006年初めに提供開始予定の低コストなファイバーチャネルディスクドライブをサポートしており、アレイ内階層型ストレージが使用可能となるため、複数階層のストレージを単一の筐体に実装できる。Symmetrix DMX-3の価格は、最小構成で1億8300万円(税込み価格は1億9215万円)からで、同日より提供開始される。
CLARiXシリーズでは、障害検出や切り分け機能を提供する「UltraPointテクノロジー」が標準搭載となった。また、これまでのAC電源に加え、DC電源へも対応するようになった。さらに、レプリケーションソフトウェアの「SnapView」および「MirrorView/S」においては、最大2倍のLUN(Logical Unit Number)をサポートできるようになったほか、VMware環境からレプリケーション機能が動作できるようになった。CLARiXシリーズは、機能拡張された後も価格に変更はなく、最小構成で238万952円(税込み価格は250万円)となっている。
「EMCには企業体力もある」とEMCジャパン執行役員の古谷幹則氏 |
これらのストレージ製品に加え、EMCではオンラインにてデータ移行が可能となるソフトウェアを発表した。Open Migrator/LMは、Windows環境およびUNIX環境における異機種混在のストレージシステム間でオンラインデータ移行が可能となるもので、LDMFはメインフレーム環境でのオンラインデータ移行が可能となるものだ。これらのソフトウェアにより、従来ダウンタイムが派生していたデータ移行がオンラインのままスムーズに実行できる。
EMCではILM実現のために、ストレージというIT基盤を提供するのみならず、アプリケーションやデータの管理までを顧客に提供すべく、ここ数年にわたってソフトウェア関連企業の買収を頻繁に続けてきた。今回発表したソフトウェアも、LDMFはSoftekとの共同開発によるものだ。
このように買収や協業でソフトウェアにも注力するようになったのは、「コンプライアンスやコンテンツ管理、災害対策などビジネス的な要求が高まっていることや、市場トレンドとしてデータ量が増加していることなどで、ILMが企業にとって重要な課題となっているためだ」と、EMCジャパン 執行役員 マーケティング兼パートナー営業統括本部長 古谷幹則氏は説明する。また、EMCがこうしたニーズに応えるだけの企業体力があることも古谷氏は強調し、今後の戦略として「パートナーとの協業でソリューションを強化すること」、「営業体制を細分化し、顧客対応を強化すること」、「日本法人の人材やサービスメニューを拡充し、“日本化”を推進すること」の3つを挙げた。